リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

リュートの調弦の仕方(9)

2023年09月27日 15時24分19秒 | 音楽系
それでは手順を踏んでいってみましょう。

1)うなりが3個~4個くらいになるよう2、3コース間を合わせます。
ここで全てが決まりますので、慎重にやってください。うなりを平均律の2個以上=メトロノーム60で2連符から4個くらい=4連符くらいにします。

2)3コースの5フレットと2コースの開放の音を比べます。
どちらも楽譜上はレの音ですが、3コースの5フレットのレと2コース開放のレとでは3コース5フレットのレの方が少し低いはずです。ここで音程の悪い3コースの弦を張っているとこの試みはなりたちません。

3)5フレットを平均律の位置からからブリッジ方向に移動して2コースと3コースの音程が完全に一致するにします。
フレットの移動といってもほんの少し、指板の上についている平均律の位置のボチの見え方がちょっと変わったかという程度です。1ミリもいきません。

4)5フレットを高くなる方向(ブリッジより)にずらした分、同じくらいの距離を他のフレットについても動かします。
1,2フレットはほんの少しだけナット方向(低め)に、4フレットもほんの少しだけナット方向(低め)、3フレットそのまま。6フレットは低め、7フレットは低め。いずれもほんの少し。それ以上のフレットはお好み応じて。実際に動かしたあとはオクターブが合うよう微調整します。どんなテンペラメントでもオクターブは合わないといけません。

まとめますと、

フレット 方向(←=ナット方向、→=ブリッジ方向)
1    ←
2    ←

4    ←
5    →
6    ←
7    ←

フレットを上記のように微修正し、調弦をします。手順は連載(5)で書いた方法と同じです。