リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ガット弦に思う(14)

2020年06月20日 19時55分49秒 | 音楽系
先に挙げた現代のリュート奏者以外にも沢山リュート奏者はいますが、とりあえずこのくらいにしておきましょう。

「ガット弦に思う」というタイトルで書き始めた頃はまだ梅雨直前でしたが、もうすでに梅雨に入ってしまってガット弦には都合の悪い季節になってしまいました。ガット弦について書くということは、裏返すとガット弦以外についても書いて行くということだと途中で気が付いてきまして、結局リュート(主にバロック・リュートですが)の弦全般に話が広がって行きました。

読んで頂いてお分かりいただけたと思いますが、紹介したリュート奏者皆さん全て弦に対するアプローチが異なっています。プロがこれだけ苦労して(多分)弦に対してアプローチをしているということは、なかなか決定打がないということの現れでもあります。

さすがにバロックリュートの5、4コースに金属巻弦を使う人はほとんどいなくなりましたが、7コース以下は奏者により様々です。

(1)昔ながら?の金属巻弦とナイロン弦

(2)フロロカーボン弦、ローデド・ナイルガット弦とナイロン弦

 (1)’(2)’オクターブ弦のナイロン弦がナイルガット弦やフロロカーボン弦に変わったバージョン

(3)プレーンガット弦

(4)ギンプ弦とプレーンガット弦

(5)ピストイ弦とプレーンガット弦

など

素材だけでもこれだけありますが、あと張力をどのくらいにするかすなわちどのくらいの太さの弦をどういうバランスで張るかというファクターもあり、もう考えると頭が狂いそうになってきます。(笑)

ノーコード/ローコード&ACID

2020年06月19日 13時28分27秒 | 日々のこと
ITの発達でアプリを制作する人が不足していることを背景に、難しいコンピュータ言語を使わずともアプリを作ることができる方法が開発されてきたようです。ノーコード/ローコード(no code, low code)と言うそうですが、コード(コンピュータ言語による記述)書く必要なし、または少しだけでいいということです。これならちょっとかじってみて、一儲けしてみようかという気になってきました。(笑)

音楽の世界では20年くらい前にACIDという音楽制作アプリ(そのころはアプリという言い方はなかったですが)が発表されました。コンピュータとDAW(digital audio workstation)を使って音楽を作るためには、全ての音を何らかの形で(楽譜に書いてもいいし、直接コンピュータに打ち込んでもいいです)全て指定する必要がありました。それがACIDにおいては数小節分(1小節でもOK)のデータをつなげていくとあら不思議、曲になってしまいます。もちろん単純にWAVファイルをつなげただけではまとまった曲にはならず、ACIDアプリで使えるよう音楽素材データを加工してあります。(そういう加工をすることをAcidizeと彼らは呼んでいました)

もちろんちゃんとした曲にするには音楽のことを知っていないといけませんが、何も知らない人でもそれなりに流れるつながりはすぐに作ることができます。現在バージョンを重ねて進化していますが、なんか「逆進化」みたいな感じで普通のDAWに限りなく近づいているような感じがしています。

ACIDを使って作った曲ってどんな感じの音楽になるの?って思われた方のために作例を聴いて頂きましょう。20年くらい前に三省堂の英語教科書のために作った音楽です。2/3くらいははACIDで作り、それをLogicというDAWに取り込み残りのパートは私が作りました。どのパートが私が書いたものか分かります?ACIDを使うと一見早く作れそうですが、音源のデータをついつい吟味しすぎてしまうので、実際には最初から全部書いた方が早く作れたかも知れません。

三省堂英語教科書リズムコーナーの音楽
(バロック音楽とは何の関係もない音楽です。念のため)

ガット弦に思う(13)

2020年06月18日 11時21分58秒 | 音楽系
ポール・バイヤー

彼はリュート奏者としては珍しくコンピュータの知識も豊富で、弦の張力計算などをするアプリとかタブラチュアセッティングのアプリを古くから開発しています。私も張力計算アプリを長らく使わせて頂いています。

本人によると彼の録音は現在に至るまで全てガット弦を使っています。2013年録音のアルバム(ロイスナー作品集第2集)のリーフレットには楽器のアップがあり(本人も顔半分が写っていますが)、弦の様子が見て取れます。(このエントリーの最後にあるナクソス・ミュージックライブラリ試聴でアルバムのカバー写真を見ることができます)このアルバムで使われている楽器はオランダあたりでよく使われていたタイプの楽器で、2014年に亡くなったスティーブン・ゴットリープ作のものです。この種類の楽器は、9~12コースが順に弦長が長くなっていきますので、弦は同じものをはることができます。

色の付いた7コース~12コースのバス弦はイギリスの弦メーカーGeorge Stoppaniのものということです。ローデド・ナイルガット弦と色が似ているのでひょっとして合成樹脂も使うようになったのかと思い、彼に聞いてみましたら違ってました。今では手に入らないアキラ社のローデド・ガット弦を使っていた時期もあったそうです。1999年のバッハ作品集では11コースまではプレーン・ガット、12と13コースはガムート社のギンプ弦を使ったとのことです。

ガット弦を使って録音を続けている奏者として日本では佐藤豊彦氏が知られていますが、彼は1994年頃「グライフ」というオリジナルの楽器を使用し始めて以降ガット弦を使っています。それまでは合成樹脂弦、金属巻弦を指頭ではなく爪を使って演奏していました。

佐藤氏とバイヤー氏の録音をそれぞれ聴いてみましょう。ロイスナーの組曲ト短調です。(それぞれ別のト短調組曲ですが)両方とも弦はオールガット、楽器は佐藤氏=グライフ、バイヤー氏=ゴットリープ2008年製)ナクソス・ミュージックライブラリの試聴ですので、冒頭の30秒だけ、計15分間です。この15分は一度に15分か一日に15分かはわかりません。

エザイアス・ロイスナー/組曲ト短調/佐藤豊彦(2015)
エザイアス・ロイスナー/組曲ト短調/Paul Beier (2013)


メルカラー

2020年06月17日 15時28分14秒 | 日々のこと
最近時間がたっぷりありますので、メルカリでいろいろ売っています。もうメルカラーです。(笑)

売り物は主にデジタル関係のもので、新しいものを買ったのでもう使わなくなった品です。こういうものはコメナントカとか祖父ナントカというお店に持って行くと場合によっては10000円くらいで買い取ってくれるときもあるのですが、大体は思いっきり買いたたかれます。ひどいときは買い取りもしてくれず、「引き取って処分だけはさせていただきますが・・・」なんて仰るときもあります。こちらも価値がないと言われたものを持っていても仕方がないので、「まぁ、では引き取って下さい・・・」と言ってションボリ帰ることもありました。

でもメルカリだと少なくとも0円ということはありません。先日なんかラッパーをやっている息子のお古でいただいた器材が3万弱で売れてびっくり。それも出した途端に「いいね」がつきまくりでした。今までメルカリに出した不要のデジタル、IT、オーディオ関係の品は全て買って頂きました。

最近は布ぞうりを売りまくっています。家内の母親が布ぞうりを作るのが趣味で、沢山もらってウチには山のように(あくまでも表現上のアヤですが)布ぞうりがあります。これを売ることを思いつきました。最初は一足1500円で出していましたが、ぜんぜん売れません。メルカリで調べて見ましたら、実は布ぞうりは毎日多数の出品があるのです。「布ぞうり界」は極めて競争激烈だという現実がわかりました。調べていくと800円から900円の廉価版が売れ筋だということがわかり、そのあたりで出しましたら今度は飛ぶように売れます。

特にここ2、3日はかかりっきりで袋詰め、梱包、配送などで大忙しですが、なにせ薄利多売なのでほとんど儲かりません。材料費と人件費をきちんと計算したらもうけなしかマイナスかも知れません。それでも皆さんに使ってもらって少しお小遣いにもなるので義母は大喜びです。

ガット弦に思う(12)

2020年06月16日 10時50分06秒 | 音楽系
ナイジェル・ノースです。

ナイジェル・ノースは30年くらい前に来日して岐阜で公演したとき、公演のお手伝いをさせていただきました。岐阜から名古屋へ私の車で彼を乗せて移動する際、いろいろなお話をお伺うことができました。また私がバーゼルにいた頃(2003年-2005年)彼がスコラに来てレクチャーやコンサートをしたこともありました。その時もいろいろお話をお伺いしましたが、話の内容もさることながら、岐阜公演時よりかなり貫禄がついていたのが印象に残っています。でも現在はかなりスマートになっています。

彼はライブでもレコーディングでもガット弦を使わず合成樹脂弦を使っています。一部のアマチュアの間では彼の音が美しいのはガット弦を使っているからだとずっと信じられているようですが、それは彼が美しく演奏しているからです。

彼は長らく合成樹脂弦、金属巻弦の組み合わせでしたが、2010年以降少し変化してきました。まずバロックの7コース以下のバス弦にサバレス社のKF弦(フロロカーボン弦)を使い始めたことです。ヴァイスの第3集(2012)のリーフレット写真を見ると、7コース以下のバスに、サバレスのKF弦を張っているようです。6コースはKFをユニゾンで張っているのかも知れません。


2016年のライブです。6コースはオクターブで張っています。

KF弦の直径1mm以上のものは研磨がかかっています。クレハの万鮪という鮪を釣る釣り糸とモノは同じですが、研磨がかかっているというところが異なります。鮪を釣るのに釣り糸を研磨する必要はありませんので。そのしばらく後に彼はアキラ社のローデドナイルガット弦を使い始めたようです。


2018年頃のレクチャーです。

実は私の「弦遍歴」は奇しくもナイジェルとよく似ていて、2014年頃から6~13コースに万鮪を使い始めました。そして2016年頃からローデドナイルガット弦に切り替えています。まぁ今日日手に入る弦は世界中同じですから、やることも大体同じになるということなんでしょう。

最近彼はLars Joensen氏の楽器をよく使っています。私もLarsの楽器をバロックを使っていますが、注文して届いた楽器には、フロロカーボン弦が6~13コースのバスに張られていました。それもかなり張力は強め。このあたりはナイジェルの指導が入っているのかなという感じがします。

ヨネックスマスク

2020年06月15日 12時20分10秒 | 日々のこと
ヨネックスのマスクが今日のお昼12時からオンラインで販売らしいので、チャレンジしてみました。このマスクは涼感素材のキシリトール配合夏用マスクです。商品名は「スポーツフェイスマスク」。汗に反応して熱を吸収する植物由来キシリトールを生地に配合した、ヨネックス独自の涼感素材「ベリークール」を採用とのことです。

この夏は暑くなりそうなので、ゲットできたらいいなと、まず昨晩のウチにヨネックスのオンラインショップのアカウントを作成。本日11時50分過ぎからヨネックス・オンラインショップにアクセスを始めました。オンライン販売は2500枚の限定、他の方法だと直接東京のお店に出向かなければならず、アクセスは集中するに決まってます。

最初はすぐにアクセスできましたが、だんだんできにくくなくなり(全国の皆さんがアクセスしているわけです)、でもまだアクセス可能でしたが、肝心のマスク販売のページは出ていませんでした。そして12時を過ぎる頃から全くアクセスできなくなりました。10分頃にはもう諦めました。でも13分頃念のためアクセスしましたら、マスク販売のページが出て来ました。これはいけると思い先に進んでみましたが、全然進みません。12時17分にやっとアクセスがすすみましたら、売り切れの文字が・・・ひょっとして諦めずにこの休んでいた3分間ずっと再読込をやっていたら上手くいったかも知れませんね。まんまとヨネックスの戦略に乗ってしまいました。

ガット弦に思う(11)

2020年06月14日 23時26分36秒 | 音楽系
ヤコブ・リンドベルイです。

彼は20年程前ロンドンのオークションでSixtus Rauwolfの楽器を手に入れました。もともとはルネサンスリュートとして作られたもののようですが、18世紀の初め頃にバロック・リュートに改修された楽器です。

その楽器の修復はマイケル・ロウなどが修復に携わりました。年輪年代学による測定だと、その楽器に使われている表面板は1400年代から1500年代にかけてに生育していた木だそうです。修復の完成祝いにヴァイスの11コース用の作品を録音しました。(ヴァイス作品集1、2004年)

次にRauwolfの楽器を使って録音したアルバムにはロイスナー/デュフォー/ムートン/ケルナー/ヴァイスの作品が収められています。(2016)続く2018年にはロジー伯の作品を収めたアルバムを出しました。

これらの3枚のアルバムでは弦のセレクションは同じだと思われますが、2枚目のアルバムのリーフレットには弦のセレクションについて書かれています。それによるとアッパーレンジ、ミドルレンジとオクターブ弦はガットですが、7コース以下のバス弦はなんと金属巻弦にラノリン(精製羊毛脂)処理をして減衰時間を「殺した」弦を使用しています。ラノリン処理金属巻弦は音色的にはとてもいい味が出ていますが、元が金属巻弦だけに、バス弦用のガットやローデドナイルガット、フロロカーボンと比べると減衰時間が少し長めではありますが、このソリューションは成功していると思います。

彼のソリューションはある意味もっとも手軽な方法なので、上の弦(オクターブ弦と5コース以上)にガットを使わず合成樹脂であっても結構いい味が出るのではと思います。

なお彼はヴァイスの作品集1の次に同作品集2(2007年)を録音しています。使用している楽器はマイケル・ロウによる13コースのスワン・ネックの楽器(1983年製)です。第2集の解説には弦についての言及はありませんが、写真とサウンドから判断しますと、7コース以下のバス弦は金属巻弦、6コースはユニゾンの金属巻弦、5コース以上は合成樹脂弦だと思われます。金属巻弦には「ラノリン処理」していない感じですが、していたとしても上記アルバム程音は「殺して」いません。

あと彼が若い頃(1992年)に録音したバッハ全集では、低音のバス弦にペルーフォ・ミッモ(アキラ社)製作によるローデド・ガット弦を使用していると解説にはあります。他の弦はガットなのか合成樹脂なのかはわかりませんが、音からは合成樹脂の感じがします。なお、楽器はマイケル・ロウの13コーススワンネック(1981)です。

ガット弦に思う(10)

2020年06月13日 16時51分52秒 | 音楽系
ロバート・バルトです。

彼はバーゼルのドイツ駅から10数分のドイツの小さな街、ローラッハ(Lörrach)というところに住んでいましたので、お伺いしたことがあります。その時のいでたちはまるでオールドロックンローラーのような感じでしたが、楽器や弦のことに関しては次のように語っていました。

「最近オレはガット弦と昔の演奏ポジションに興味を持っているのさ。昔の絵にあるようにブリッジのそばで弾いても綺麗になる楽器を製作家と相談して作らせているところなんだ。おめーもそういうのに興味はないかい?」(ロックンローラー風に意訳してみました)当時彼が使っている弦は合成樹脂弦、金属巻弦でした。

オールガットにしても右手の奏法がルネサンス・リュートのように横に寝た弾き方しているようでは全然ヒストリカルとは言えません。一番参考になりそうなのは、ルーブル博物館にあるシャルル・ムートンの肖像画(F. de Troy作)でしょう。その絵に描かれているあたりの右手位置・角度が典型的なバロック・リュートの弾き方です。



こちらは原画を元にしたGerald Elelinckによるエッチング版。オランダ、デン・ハーグのヘメーンテ博物館のコレクション。1976年にそこで複製版を購入しました。同コレクションのエッシャー作品も売ってしまったくらいですから、現在は同博物館にあるかどうかは分かりません。

ただ、ナイロン弦を張ることを前提として作られた現代の楽器では、ナイロン弦を張った場合はおろかたとえガット弦を張っても、「ムートン・ポジション」で弾いてもいい音はでないというのは彼の考え方のようです。

ちなみにムートンのこの楽器の構え方、絵画用のポーズと捉える向きもありますが、実はそうではありません。ストラップを使わない構え方としてはもっとも理にかなっています。私は足腰が硬い(短い?)のでこの構え方だと長続きしませんが、楽器の重心がちょうど膝のあたりにくるので、楽器はとても安定します。楽器がからだに接する部分も少なめですし、そもそも触れている部分が楽器の響きに影響が少ない部分(ブロックに近いところ)です。反対に、ギターのように左足を足台に乗せて、左右の足に楽器を置く構え方は、楽器が体にあたる部分が多く楽器が響かなくなるのでお薦めしません。もしギター式に構えてらっしゃる方がいらっしゃったら、構え方を変えるだけで一気に音量が増します。

さてもうロバート・バルトに会ってから15年近くたちましたが、彼はどうしているのでしょう?YouTubeに上がっているビデオクリップで比較的最近のものを見てもあまり以前と変わっていないような感じですが。

今村泰典マスタークラス(桑名)延期

2020年06月12日 15時50分42秒 | 音楽系
今村泰典氏からメールが届きまして、日本行きの飛行機のチケットがキャンセルされたとのことです。コロナ禍は沈静化しつつあるとはいうもののまだ厳しいようです。延期の時期は1年後にしました。会場も要項も同じです。ただ、来年の9月になってもまだ3蜜は避けた方がいいようでしたら、聴講はなしにして、受講生も順次レッスンを受ける形にする予定です。他の人のレッスンが受けられなかったり、終了後打ち上げができないのは残念ですが致し方ありません。

実は7月に娘一家がカリフォルニアからこちらに来る予定でしたが、こちらもこちらに来る便が飛んでいないので来ることができなくなりました。まぁ仮に来たところで、花火大会はないし、天下の奇祭「石取り祭」もないのでつまらないでしょうし、さらに2週間外出規制を受けますし、アメリカに帰国してまた外出規制ということで、まぁ要するに無理なわけですね。

ガット弦に思う(9)

2020年06月11日 14時11分37秒 | 音楽系
次にご紹介しますのは、師匠のホプキンソン・スミスです。向こうにいる間何度もコンサートを聴かせて頂きましたが、それらに使われていた弦は全て合成樹脂弦(バス弦=金属巻弦)でした。レッスンに使っていた楽器も合成樹脂弦(バス弦=金属巻弦)です。ガット弦は使わないのかと尋ねたところ、本番では使わないとのことでした。ただガット弦にはとても興味があり「トヨヒコが私のガット弦の師匠だ」なんておっしゃっていました。でも録音で使ったことがあるのかというと、バロック・リュートとドイツ・テオルボに関する限りはないようです。沢山アルバムを出しているので、いちいち尋ねたわけではありませんが・・・最新の、といってももう7,8年前ですが、バッハのチェロ組曲を録音したアルバムでも合成樹脂弦、バスは金属巻弦が使われています。

さて次はホプキンソン・スミスの弟子であり私の旧友であります今村泰典氏です。彼はガット弦に興味がない訳ではありませんが、録音もライブもガット弦を使用していません。
彼曰く、「響きのいい会場で5メートルも離れて聴いたら弦が合成樹脂なのかガットなのかはわからない」

うむ、なかなかいいことをおっしゃる。いい音を「出す」ことが重要で、ガット弦を張ったらいい音が「出る」わけではないということですね。でも高音弦に関してはおっしゃる通りだと思いますが、6コース以下の弦だと金属巻弦はガットと比べると音の減衰時間が3倍くらい長いので実ははっきりと違いがわかります。

最近では彼はヴィウエラにフロロカーボン弦を張っているようで(高音部も)、少し前細いフロロカーボン弦を日本から送ってあげたこともありました。彼はスイスの田舎に住んでいるので、釣り具屋さんは近所になさそうです。