リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

90年代の作品(15)

2021年11月09日 19時59分13秒 | 音楽系
今回の作品は平成14年版S堂英語教科書のための音楽の最後になります。

Sun, sunny

フランジャーがかかったバス(ベース)は昔よく使われていたように思いますが、最近ではあまり聴かれません。なんか懐かしい感じがしますね。

英語ではsun - sunny のように、名詞に -ly をつけて形容詞を作りますが、そういう関係にある語(sun - sunnyのような)が歌詞になっています。歌詞自体は全体としては別に大きな意味はないのですが、音楽が全体として意味がないようで困りますので、途中で意味ありげに盛り上がって曲は終わります。

実は歌入り版では歌手の方が私が書いたこととは違う風に〽ラ~ララ~なんてやってるもんですから、クレームをつけました。でももう一回ロスで取るのは出来ないし、私が乗り込んで録音をスーパーバイズするのはもっと出来ないと言われて泣く泣くそれがそのまま製品版になるのを承諾したのでありました。


よみがえる古楽器

2021年11月08日 19時56分10秒 | ウソゆうたらアカンやろ!他【毒入注意反論無用】
日曜日のNK新聞に「よみがえる古楽器」というタイトルの日曜特集記事が掲載されていました。古楽器のことについて広く知ってもらうのはとても素晴らしいことで興味深く記事を読ませて頂きました。タイトルに続く冒頭の概要段落では、ピアノが生まれる前に使われた鍵盤楽器チェンバロや弦楽器リュートなどは古楽器と呼ばれる・・・で始まっています。リュートの名前が早速出てきているので期待感が大きいですが、記事の隣に掲載されている写真を見ると、ほとんどが弦楽器でかつ民族楽器に近いものとか特定の国で使われていた楽器ばかりが写っています。なんか私が考えている「古楽器(ピリオド楽器)」とは少しずれがあるような感じがしますが、さてどんな記事なんでしょうか。

記事を読んでの感想ですが、ひとつひとつの事柄についてはインフォーマティブではありますが、全体として見ると何か少し別の方向に、誤解を恐れずに言えば、間違った方向に誘導されてしまう印象を受けました。いろいろな定義はあると思いますが、簡単に言うと古楽器(ピリオド楽器)というのは曲が作られた時代の楽器ということでしょう。それらの中には、古楽器としてのヴァイオリン一族、フルートなどの管楽器、トランペットなどの金管楽器など今のオーケストラの楽器の大半に古楽器バージョンが存在しています。

何もご存じでない方が本特集を読めば、古楽器は遠く離れた地域の古の楽器だというロマンティックな想像をすることでしょう。リュートと言えば吟遊詩人を思い浮かべるのと同じです。これらはあくまでも空想の世界ですが、今や古楽器はルネサンス・バロック時代の音楽だけでなく、モーツアルトやベートーヴェン(あるいはもっと以降)の作品を演奏するための「一般的な」楽器というのが世界的な認識です。モダン楽器で演奏するときも古楽器の演奏スタイルを取り入れる時代です。

記事冒頭の写真にあるような楽器を使って、古っぽい音楽を演奏するのを聴いたことがありましたが、実は音楽自体は演奏している方の創作でした。でもそういうのが別に悪いと言っている訳ではありませんしジャズや邦楽や現代音楽とのコラボもいいでしょう、無国籍風の楽曲もいいでしょう。私自身リュートを使って自分の作品を演奏しますし。

でも古楽器が奏でる音楽というのはそういうものだという認識が広まってしまうのはまずいのです。やはり本来のその楽器が使われていた当時の楽曲を演奏する、という土台があっての創作音楽でしょう。「古楽器は作曲当時の再現を目指した演奏から2000年代あたりからはジャズや現代音楽との共演など多様な表現が出てきた」と記事は言っていますが、新しい潮流というのは別にジャズや現代音楽と共演しなくても見いだすことは可能です。作曲当時の再現から再創造の方向です。他のジャンルとのコラボは今のところキワモノでしょう。キワモノを普通の潮流だと言ってはいけません。もっとも私はキワモノ自体は大好きなんですが。

記事の中で大きな間違いがありました。「リュート曲の楽譜は数少ない」です。えっ?!っと思わず文字をしっかりと確認してしまいました。インタビューされた方がそうおっしゃってもちゃんとウラを取って下さいね、記者さん。その方は音楽の専門家ではないのですから。16世紀以降のリュート曲の楽譜をかき集めたら、ピアノやヴァイオリン曲よりずっと多いと思います。ヴァイスひとり分でもslweiss.comによれば853曲あります。

バロック音楽の旅14第3回コンサート

2021年11月07日 23時18分04秒 | 音楽系
バロック音楽の旅14講座コンサートが終了しました。今回のシリーズコンサートでは感染症対策として椅子の間隔をいつもの倍にし、最前列は演奏者から10メートルの距離を取りました。



客席は50席設置しましたが、例年と比べるとかなり少ないです。

今回のコンサートはヴィオラ・ダ・ガンバの上田牧子さんと私のテオルボによる通奏低音で次の曲を演奏致しました。



トバイアス・ヒューム(c.1569 - 1645)
優しく触れて、ホルストン公爵の楽しみ

ディエゴ・オルティス(c.1510 - 1570)
2つのレセルカーダ

マラン・マレ(1656 - 1728)
タタール人の行進、タタールの娘

デュフォー(c.1604 - c.1672)
ブランロシェ氏のトンボー、ジグ

ゲオルク・フレデリック・ヘンデル(1685 - 1759)
ソナタ ト短調(アンダンテ・ラルゲット/アレグロ/アダージョ/アレグロ)

------------------------------ 休憩 ---------------------------------

マラン・マレ(1656 - 1728)
戯れ

作者不詳(18世紀前半)
チャッコーナ ト長調、キャッコーネ イ短調

アントワーヌ・フォルクレ(c.1671 - 1745)
組曲第1番ニ短調
(アルマンド「ラ・ラボルド」、情感を持って優雅に/ラ・フォクレ、快活にかつ落ち着いて/ラ・ベルモン、味わい深くしかし遅くならないよう/ポルトガル人、明確にかつ落ち着いて)

アンコールはマレの田舎の宴を演奏しました。

今回のプログラムではフォルクレの作品がとても重厚で印象に残りました。実はフォルクレの曲の通奏低音をしたのは今回が初めてですが、同じフランスでもマレとは随分作風が異なり(時代的に少しあとだということもありますが)リュートに適している感じがしました。それとフォルクレの他の作品を見ていましたら、通奏低音ではなくてガンバのパートがそのままリュートソロになりそうな曲もありこれはちょっとした発見でした。一度時間を見つけてきちんとタブに直して「リュートソロ化」してみたいと思っています。

次回のコンサートは、第4回12月5日でギターの松尾俊介氏をお迎えしてのコンサートです。

ピンチ!?

2021年11月06日 20時11分11秒 | 音楽系
昨夜あと1曲だけ練習して寝ようかと思って、その曲の調のために8コースを半音上げましたら、プツンとペグのあたりで切れてしましました。月曜日に新品を張ったばかりですからねぇ、それになんと言っても日曜日は本番です。

新品の弦がこんなに早く切れてもらっても困るのですが、見方を変えると本番直前とか本番中に切れなくて良かったとも言えます。張っていた弦はアキラのCD150でした。75cmの弦長でFですので張力は3.72kgです。F♯にすると4kgを少し超えます。確か以前のアキラのHPに、CD弦の張力は4.5kgまでにして下さいとありましたので、それに基づいて弦をセレクトしているのですが、最近のHPにはそういう記述がありません。4.5kgまでにして下さい、と書くと4.5kgは保証するという意味に取られるのでそういった記述をやめたのかわかりません。

弦長71.0cmのバロックリュートでもCD弦を使っていますが、こちらは3kg少しのところで運用していますので、切れたことはありません。もっともCD弦発売当初はこのくらいでも切れまくりました。

さて切れた8コースですが、7コースも同じCD弦を張っていてG♯にするときもありますので、まだ切れていませんがこちらも交換することにしました。長いバス弦用のCDLという弦の予備があります。CDL弦は少し前の当ブログでCD弦とは素材が異なる旨書きました。それを流用することも可能ですが、これだとバス弦の予備がなくなるのでやめました。これはコンサートが終わってから試してみましょう。何よりも安全第一です。

替わりの弦はカーボン弦を張りました。手持ちのシーガー万鮪がありますので、同じくらいの張力のものを選びました。7コースは50号(1.17mm)、8コースには60号(1.28mm)を張りました。8コースは若干振動不良ですが、まぁ今回は緊急事態なので弦をセレクトしている暇はありません。カーボン弦だとリュートのバス弦程度の張力(せいぜい4kg)くらいでは絶対に切れないので安心です。そんなヤワな弦ではマグロは釣れません。そのかわり少し音がぼやっとしてしまいます。

張って一晩経ち午前中は弦を引っ張りまくり(ブリッジに力がかかるような引っ張り方をしないよう注意しないといけません)、昼からはそれなりに安定していきました。本番は明日の午後ですが多分大丈夫でしょう。

90年代の作品(15)

2021年11月05日 22時16分09秒 | 音楽系
S堂中学3年生用の英語教科書で使われた曲です。go - come のような反意語を覚えるためのページがあり、それを歌にしました。1年生用の曲と違い少しシックな曲想にしました。1年生はまだ小学生的なところが多分に残っていますが、3年生ともなると感性も随分大人びてきます。そういった精神的な発達段階に対応した曲作りをしたつもりですが・・・

Go Come

この曲はある夏の日、県の自動車運転免許センターにいたときに降りてきた曲です。今のセンターではなく、古い建物の旧センターでのことです。運転免許センターはそのすぐあとに今の所に新築移転されました。確か一度免許の更新を忘れていて、再講習に行ったことがあるのですが、多分その時です。こんなときに降りてきてもらっては困るのですが。

確認のために運転免許証を見てみますと平成4(1992)年に取得(ホントはと言うかその前は昭和46年)ということになっていて、作曲した時期とあっているのでその記憶は正しいです。炎天下の旧運転免許センターのボロ建屋にいた時に降りてきたこの曲ですが、曲のイメージとしては、秋たけなわのある日、黄色く色づいた銀杏並木が美しい散歩道をゆったりと歩く二人・・・まぁこんな感じです。降りてきた場所とえらい違いです。(笑)


来てます!

2021年11月04日 11時45分39秒 | 日々のこと
Windows 11の配信が近いので、コンピュータの電源を落とすときに、「設定」の「更新とセキュリティ」をときどき見るようにしています。この間までは、もうじき配信ですよ・・・みたいな表示が出ていましたが、昨日見てみましたら、来てました。



これが来ていると言うことはそれなりに安全にインストールできるということでしょうけど、まだちょっと様子見です。昨年夏に製作しました自作8号機のSSDはまだバックアップしていません。まずはそれをしてからです。

あと各種ドライバも対応できているのかも調べておく必要があります。TEACのアンプ付き統合型メディアプレイヤ(こういうのってなんと呼んだらいいのでしょう?)とかAntelopeのDiscrete4 なんか気になります。Discrete4なんかもともと不安定なのに。

Sibeliusも新バージョンにしてからよく落ちます。いままでで一番よく落ちるバージョンです。こういうような機器やアプリがあってさらに新しいOSという状態だといろいろ問題が起こってもどこに原因があるのかわからなくなります。反対にOSを最新のものにしたら全て解決したという場合もあるのですが。いずれにせよ、まだ様子見です。

90年代の作品(14)

2021年11月03日 14時12分23秒 | 音楽系
S堂英語教科書の英語の歌の続きです。

red や blue などの色を表す形容詞を学ぶための歌です。色の形容詞を覚えるには別に何も歌で覚えなくてもいいとは思いますが、そこは教科書を音楽化して楽しく学ぶという当時の編集主幹のM先生お考えがあったように思います。

この曲は中学一年生用の教材です。曲想はできるだけリズミックで楽しい感じのものしました。他の歌のコンセプトと同じく、伴奏やハーモニーはちょっと複雑なところがあってもメロディラインは極めてシンプルで歌いやすいを念頭に制作しました。

Colors

イントロ、2回繰り返し、またイントロ2回繰り返しという構成です。いかにも90年代初めの頃の音楽という感じですねぇ。

11コースが切れる

2021年11月02日 23時38分09秒 | 音楽系
テオルボの11コースが練習中に切れました。アキラのローデドナイルガット(CD125)弦です。1年以上使っていたので、切れる危険性が高まっていましたが、この間の日曜日の本番中とかその前だと大変でした。運が良かったです。

CD弦は音はいいのですが、長く使っていると切れてしまうというバス弦としてはちょっと困った特性を持っています。もっとも1年以内に交換しておけば切れることはないですが、今回はちょっとサボってしまって・・・

新しい弦は2セット分1ヶ月くらい前に購入していましたので、早速交換しました。購入してあるのはテオルボのバス弦用のCDLというタイプ。CDL弦は150cmあり、テオルボやアーチリュート用と銘打っています。袋から取り出してみるとなんか少し手ざわりがCD弦と異なります。CD弦よりつるっとした感じです。そして硬ささも違います。CDL弦の方が硬くカーボン弦に近い感じです。てっきりCDL弦は単に長いだけと思っていましたので、これは驚きでした。

アキラのサイトで調べてみると、CDLはテオルボやアーチリュート用でCDはバロックリュート用とは書いてありますが、まぁどうせ同じものでしょう、と思いがちです。でも実は材質が異なる弦だったた訳です。実際CD125とCDL125は実寸が異なります。ちゃんとHPの一覧表に表示されていました。テオルボやアーチリュートの弦長の長い楽器にCD弦を張ってはいけない理由がくどくど書いてありますが、そんなことよりそもそも材質が異なると目立つところに書いておいてほしかったですねぇ。

要するに弦長の長いコースにCD弦を使うとよく切れるということですが、実は私のテオルボのバス弦(116.5cm)にはCD弦を、そのままでは少し長さが足りないのでケブラー繊維の紐でつないで張っています。切れなかったのが不思議、というか運が良かったということですね。来週また本番がありますので、6~14コース全部替えることにしました。まだ本番まで日はありますので、それまでには落ち着くでしょう。

ちなみにプレーンガットの1.70mmと同じ張力を持つCD弦の実寸は1.39mm、CDLは1.57mm、カーボン弦は1.48mmです。細いほど質量があることになりますから、質量順だと(重い順)CD,カーボン、CDL,ガットになります。こうなるとカーボンがよさそうですが、釣り糸(呉羽の万鮪)だと精度が悪いのでサヴァレスのKF弦にすると、これが結構お値段がお高いのです。でもカーボンだと絶対に切れませんので、テオルボのバス弦はKF弦にした方がいいかも知れません。

秋晴れ

2021年11月01日 11時43分14秒 | 日々のこと
少し前、夏のような暑い日から一気に初冬になってしまった日がありましたが、その後は少し暖かくなり秋らしい日が続いています。2017年も夏から一気に初冬になりましたが、そのときはそれがずっと続き秋らしい日はなかったと記憶しています。17年とは異なり今年はまだしばらく秋らしい日々を堪能できそうです。

気象庁の予報を見てみますと、2週間天気予報名古屋では、今月前半は8日に雨、降水確率90%になっていますがその日以外は全て晴れ。気温も20度前後で多分湿度も少ないんでしょう。リュート日よりです。ガット弦も問題なく使えます。私は張りませんが。でもそんな先まで降水確率何%なんてよくわかるもんですね。スーパーコンピュータで計算しているのですよね。

一ヶ月予報では平均気温が平年並または高い確率がともに40%だそうで、過ごしやすい日々が続くとの予想です。ついでに三ヶ月予報も見てみますと、天候は平年並み、気温も平年並みとあります。

この予報通りであれば今年は順調に季節が推移して行き秋を満喫でき冬になるとそこそこ雪も降るのかな?台風は来ませんでしたが、台風が来ないと水不足になるという話があります。でも今年は水不足の話は聞いていません。陽気がいいというので行楽地の人出が増えるでしょうが、それがコロナの6波につながらないといいのですが。