リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

作曲家S氏

2021年11月20日 23時22分11秒 | ウソゆうたらアカンやろ!他【毒入注意反論無用】
一昨日は作曲家野田暉行のギター協奏曲のお話をしましたが、また別の作曲家のお話をしてみましょう。野田氏と異なり世間的にはとても著名な方ですが、その方(仮にS氏としときましょう)について私がいつも気になることがあります。

それは先日の新聞でS氏のインタビューをしたという方の記事が載っていましたが、S氏はピアノもギターも満足に弾けないとおっしゃったそうです。ですので楽器を使わず全て頭の中で作曲するということでした。

楽器、特に和音が出る楽器を全く弾けないのに頭の中で作曲なんてできっこないのに、できるとおっしゃっているのがよくわかりません。楽器をバッチリ弾ける人が頭の中で楽器を再現するので、楽器を使わずに作曲ができるのです。バッハもベートーヴェンもそうでした。

まぁメロディくらいは作曲できると思いますが、オーケストレーションは無理でしょう。鼻歌を採譜してもらっている作曲家もいることだし。いいメロディを書くことができるのは大いなる才能ですので、別に楽譜が書けなくても楽器が弾けなくてもいいと思います。

でもそのS氏はオーケストレーションまでやっているのです。周りにいる人はわざわざ「S先生はいつも一人であれだけ沢山の曲を仕上げているのです」とおっしゃっていましたが、作曲はふつう一人でするものと違いまっか?まぁ分担する場合もあるでしょうけど。

私が推測するに、S氏が主要なメロディを書いて、スタッフ(きちんと作曲を勉強してオーケストレーションができる人)に全体の構成を指示して作っているのでしょう。佐村河内方式です。あ、この人もSですが、こっちはS2氏です。これって、別に恥ずかしいことでもなんでもないんですけどね。

ゴルゴ13は早くから分業体制を公言して確立しました。作者のさいとうたかを氏がなくなっても同じコンセプトで作品の制作を続けていくそうです。S氏の場合も早くから分業を宣言していれば、そのスタッフが同じような曲(オーケストレーションも含めて)を作り続けることができるのに、もったいない話です。あの雰囲気のメロディであればクリソツが達者な人ならいくらでもできるでしょう。

以上、あくまで個人的な感想です。実際の話とは異なることがあります。(なんかの栄養食品みたいですが。笑)

90年代の作品(17)

2021年11月19日 19時41分17秒 | 音楽系
白雪姫の劇伴音楽の続きです。

7人のこびとたちが登場するときの歌。AメロのところでHi ho we are dwarfs, happy dwarfs, happy dwarfs...と歌います。そしてBメロのところではひとりずつ自分の名前の自己紹介。

Hi ho

続いて Every dwarf has a beautiful name. What a beautiful name! What a beautiful name! と歌います。

A beautiful name

この当時ゴダイゴのビューティフルネームが大ヒットしていて、英語部の演劇をやってらしたT先生は、ゴダイゴの歌の替え歌にするからその曲の伴奏を作って!とおっしゃる。でもせっかく劇伴を作るのですから、ヒット曲をそのまま使うのでは芸がありません。それに耳コピするのも結構面倒くさい感じの曲なので、いっそ作ってしまおうということで作った曲です。でもゴダイゴのヒット曲があまりに有名すぎるので曲想が全く異なるというのもナンですので、リズム動機をいくつか拝借していわゆるクリソツにしてみました。

野田暉行 ギター協奏曲の楽譜

2021年11月18日 21時48分48秒 | 音楽系
野田暉行という作曲家はあまり世間では知られていないかも知れませんが、1940年三重県生まれの作曲家で長らく東京藝術大学
で教鞭を執られていた方です。バーゼル音楽院には東京藝大出身の人が何人かいましたが、野田先生に教えてもらったという方もいました。現在81歳ですが現役の作曲家としては一柳慧に次ぐ年齢の大家です。

氏がギター協奏曲を始め室内楽や独奏曲を作曲しているというのは知る人ぞ知るですが、録音されているのは多分山下和仁のギター、尾高忠明指揮東京フィルハーモニー交響楽団によるギター協奏曲だけだと思います。

この協奏曲は武蔵野音楽院創立30周年記念委嘱作品(1984)で樫本滋郎氏に捧げられています。この曲はいいですよ。前からぜひ楽譜も見てみたいと思っていましたが、なかなかこの手の作品が出版されることはありません。

最近ちょっとまた気になってネットで調べてみましたら、全音から出版されていたことがわかりました。ただすでに絶版になっていて入手は難しいみたいでした。ひょっとしたらメルカリに、なんて思い探してみましたら何とありました。それも半額以下の2000円です。メルカリには売り上げ金がありますのでそれを使ってゲットしました。


(斜めに入っている直線はそういうデザインです。誰かが書き入れたのではありません。念のため)

届きましたらなんと新品です。まぁ正確に言えば新品同様です。ページをめくった形跡もないみたいです。奥付を見ましたら2011年に第1版第2刷出版とあり送られてきたのは2011年のものです。ある意味とんでもない掘り出しものでした。

パソコンラック

2021年11月17日 16時37分23秒 | 音楽系
すっかり一新しましたウチのスタジオですが、メインとなったのはテーブルです。以前はというか2日前まではこのタイプのいわゆるパソコンラックを使っていました。



この写真のラックはまだ使いやすそうですが、私が使っていたのは柱が手前にもあって、さらに奥の下方には強度を支えるための薄い鉄板が左右に渡されていました。これらがパソコンの奥へのアクセスを妨げていて、普段は後ろ側を見ることはそうはないんですが、いざUSBに機器を接続したりLANのチェックをしたりするのがとても不便でした。でもパソコンのラックというのはこんなものだと思い込んでいたので、不便を受け入れてしまっていました。

現在のラックはもう30年くらい使っていましたが、ラックではなく大きめのテーブルに必要な機材を置いて、その下にタワー型のパソコンを置くというのがずっと使いやすいよくわかりました。そういやYou Tubeで見るミュージシャンのスタジオは皆この方式でパソコンラックなんて誰も使っていません。

自分の部屋がそのような感じで運用できるとはハナから思っていなかったのですが、よく見ると本棚や書類ケースを整理すればできるのではと遅まきながら気がついたのが3ヶ月くらい前でした。全く気がつくのが遅すぎますが、楽器も沢山置いてあるので無理だと思い込んでいました。かの整理のプロで有名なコンマリさんが私の以前のスタジオを見ていたらまずラックを使うのを止めましょうと言うのではないかと思いました。

でも引き出しの中身や本棚の整理から始めないと不可能なので恐ろしく時間も手間もかかりました。テーブルも、トップは7000円と塗料代で済みましたが、電動でデスクトップが上下する机の骨組みは5万円くらいしてちょっと経費がかかりました。でもリモコン操作でメモリされた高さに上下するのはとても便利。立ってデスクワークをするのは超快適です。最近はリュートも立奏でやってますし。

こうなったらウチの他の部屋も見直して見るといいかも。特に台所あたりは。

レッスン室 2.0

2021年11月16日 20時04分36秒 | 日々のこと
8月頃から始めていましたレッスン室兼スタジオの改装がやっとというかついに完成しました。もともとは昨年の夏にデスクトップコンピュータ周りを新調したのから始まっていますが、結局壁面の大本棚以外は全て改めました。

昨年の夏にはラックマウントされている機材も不要なものは売り払い、グレードアップすべきものはグレードアップしました。20年くらい前から残っているのは、ローランドのXV-5080だけになりました。このラックマウントシンセユニットは音がいいのではずせません。

とまぁこの位の刷新でやめておこうかと思っていたのですが、昔のカセットデッキやDATデッキを修理して使えるようしたりしているうちに、この際大本棚以外は全部やっちゃおうという気になってきました。その結果・・・

ビフォー


アフター



あふれかえっていた本や冊子を無印良品の本棚に整理して入れて、そして30数年使っていた小さくてちょっと使いにくかった机とパソコンラックと書類棚はお暇をやることにしました。よくこんなに長く使っていたものだと我ながら感心しますが、少々使いにくくてもだんだん無批判になっていき不便なまま使っていた自分に気づくことすらなくなって行きました。

今回の大改装で無駄なものを減らしたおかげで部屋が随分広くなった感じです。キーボード周りも70cm x 140cmもあるデスクトップのおかげで広々しています。このテーブルは電動で58cm から120cmまで上下できます。高さをメモリすることが可能で私は69cmと95cmのふたつをメモリして切り替えています。今は95cmの高さでこのブログを書いています。

テーブルトップは7000円でパインの集成材の板を買ってきて、オイルステインで着色しました。ちょっとしたDIYでした。どうやってオイルステインを塗るのか、どういうメーカーのものがいいのかはYou Tubeのビデオクリップを参考にしました。コンサートやレクチャーの時期と重なっていたので、毎日少しずつ進めていきました。一気にやれば多分数日でできるのでしょうが、時間もスキルもないので3ヶ月くらいかかっています。

それなりの投資も必要でしたが、今ここでちょっとしたアカ落としをしてこれからの30年を見据えるという意味では大改装して良かったと思います。コロナ禍がなければ多分やっていなかったと思いますのでこれに関してはコロナに感謝です。2年越しになった大改装完了です。

90年代の作品(16)

2021年11月14日 22時49分45秒 | 音楽系
英語劇Snow White (白雪姫)の音楽をいくつかご紹介していきましょう。四日市の中学校に転勤されたT先生がご自分の英語部の演劇用の音楽が必要だと言うことで頼まれて作った曲です。1990年の作品です。

ますメインテーマです。序曲みたいな感じで作りました。この曲のマスター・テープがDATとカセットの2種類作ってありましたので、両方ご紹介します。原音は同じですが、録音媒体が異なるので音質が異なるのがおわかりかと思います。カセットのノーズはあえて消さないで残しました。

メインテーマ(DAT)

メインテーマ(カセット)

ところでDAT版とカセット版とでは調が異なるのがおわかりになりますか?カセット版の方が半音高いのです。私の耳にはDAT版の調が自分が書いた楽譜の調のような感じがしました。調べてみましたらその通りで、DAT版がオリジナルの調です。これはA&DのGX-Z9100カセットデッキのせいかなと思い、別のカセットデッキで聴いてみましたら、やはり半音高い調になっています。

むむむっ、これはどうしたことでしょう。録音した段階で半音高かった?カセット版の録音に使ったのは、今残っているGX-Z9100を使ったと記憶しています。わざわざ半音高い版を作ったことは記憶にないので、多分機材的な問題でしょうが、30年前にもう一つ別のカセットデッキを使っていてそれが調子が悪かった?それとも関東が50Hz、関西が60Hzの問題がからむ?

何かよくわかりませんが、まぁとにかく気にせずにお聴き下さい。(笑)

新しい書類ケース

2021年11月13日 22時00分55秒 | 日々のこと
長らく使っていた書類ケースを新しい物に更新しました。いつから使っているのかは定かではありませんが、30年以上使っているのは確かです。DIYの鉄製の棚に段ボール製の書類ケースを組み込んだ物で底は粘着テープで固定してあります。



全て中身を出して空っぽにした状態です。引き出しは6段ありますが、文房具、封筒・切手、カセットテープデッキメンテ用機器、印鑑、カード類などが入っていました。そのときどきにいただいた写真の一部もここに入れていました。整理して不要になったものや使えなくなったものは捨てていくことにしました。その作業をやっていると30何年か分のタイムカプセルを開けているみたいでした。

段ボール製の書類ケースは弱そうですがよくもったものだと思いました。意外とタフです。そして廃棄時は簡単にリサイクルできます。買った当時も今も段ボールはリサイクルの方式が確立しているのです。鉄製のフレームは、当時のものはネジが多く、外すのがなかなか大変。しかもネジ、ナット、ワッシャの3点セットです。よくこんな面倒な物組み立てた物だと思いましたが、当時はこういうものしかなかったんですね。今も同じような鉄製の棚は売っていますが、ひとつの角は1本のネジで組みます。30何年経っているのでネジがさび付いて外れないものもありましたが、何とかばらすことができました。



そして新しいおうちがこちら。



アイリスオーヤマ製のキャスター付きプラスチック製書類ケースです。容量としては元の段ボール製書類ケースより多いので、古いカセットテープやDATもそこにしまうことにしました。

実は私の部屋の大改造を実施中で、この書類ケースの更新はその一環です。コンピュータラックや楽器を置くスペース、本棚が手狭になった感が出てきて久しいのですが、これからの30年を見据えて思い切って大改造に踏み切りました。完成したらまたご紹介致します。

ガソリン、軽油価格高騰

2021年11月12日 16時33分39秒 | 音楽系
最近車に乗る機会が少し減ってきたのでスタンドに行く頻度も減っていますので前回はいつだった忘れましたが、今回スタンドで満タンにしたら何と初の6000円超えでした。

10年くらい前までトヨタのエスティマというワンボックスカーに乗っていましたが、満タンでときどき10000円を超えることがありました。タンクが70リットルでしたからガソリン価格が143円を超えると10000円超えになります。(ちなみにエスティマは8km/Lです)

今私が乗っている車(Mini F60)はディーゼルエンジンですので、安い軽油を使っています。満タンにしても5000円でおつりが来るので喜んでいたのですが、最近では5000円はとっくに突破、ついに6000円超えになってしましました。Mini F60の燃料タンクは61リットルですが入れた軽油は44リットルくらいでした。軽油の価格がエスティマに乗っていた頃のレギュラーの価格に近づきつつあります。

この燃料高騰いつまで続くのでしょう。今月末にはリハーサルで横浜まで車で行くのですが、経費がかさんできそうです。

ビクター犬、楽譜、ロゼッタ

2021年11月11日 15時56分08秒 | 音楽系
メルカリに出してありました。ビクター犬が売れました。購入して頂いた方からは「とてもかかわいいので大満足」とのメッセージを頂きました。めでたしめでたしです。

小学生の時は当時の流はやりに流されて切手を集めてはいましたが、私は物をを集めるという趣味がもともとないので、ほしい方に喜んでもらってホントに良かったです。

そういうことを言うとおまえは楽譜や楽器を沢山集めているではないか、と突っ込まれそうですが、楽譜や楽器、CDもそうでしょうけど、ええ、沢山持っています。ある方が私のレッスン室に入るなり書棚を見て、「いやぁ、沢山楽譜を集められましたね」とおっしゃったのですが、私はあまりピンと来なくて「え?」。別にそれらを集めたつもりはないんですけど。必要なのでで購入していったら結構なボリュームになってしまったということにすぎません。

あと興味がないことと言えば、リュートのロゼッタのデザインも実は全く興味がありません。コンサートが終わったあと、楽器を見せて下さいと、聴衆の方が見に来られることがあるのですが、まず口にするのが「すてきな彫刻」ですねとおっしゃってロゼッタを愛でられます。私としては内心「そこかよ」といいたいところですが、そんなことは言わずに話を合わせることにしています。

生徒さん用の楽器を私が製作家に注文することがときどきあるのですが、私は気を回していろいろなロゼッタ柄を積極的に紹介することにしています。ロゼッタを買うわけではありませんが、恐らくロゼッタに多大の興味が多いだろうということを前提にした親切心のつもりです。でも中にはあまり関心がなくお任せという言う方もいて、人それぞれではあります。

望む、真摯な取材

2021年11月10日 22時02分17秒 | 日々のこと
おとついのエントリー「よみがえる古楽器」は、私が関わっている分野の内容で、メディアが誤情報あるいは誤解を招く内容を発信することがときどきあるのを危惧したものでした。

少し前だとフェルメールの絵画に描かれている楽器名が間違っていたり、描かれているバロック・ギターをルネサンス・ギターだと主張したりしていたコラムがありました。

もう定着してしまった、「主よ、人の望みの喜びよ」という邦訳のでたらめさとか、秀吉の御前演奏の曲についての誤った認識の広まりなどについては当ブログで深掘りしてみました。

しかしどうしてこの類いの話が出てきて広まってしまうのでしょうかねぇ。世間的な認知度が低く、専門家もとても少ないのが原因なのかも知れません。あと、ネットの普及もあるかも知れません。

以前名古屋某新聞社にいらっしゃった某芸能記者の方はとても古楽を含めた音楽全般に明るく、とても正確な記事を書いて頂いていました。また私の若い頃某放送局で私の話をきちんと聞いてくれた30分番組を作ってくれたこともありました。リュートの歴史とその音楽、といった内容だったと思います。何度も取材に来て頂き、妙な先入観など全くなく、真摯な番組製作態度であったと思います。余談ですが、その番組は朝の連ドラの再放送直後に放映されたので、恐ろしいような反響がありました。(笑)

かと思えばオチャラケみたいな調子の番組や、あらかじめ「コンサート開催を夢見る若き勤労青年」みたいな筋書きがあって、インタビューを切り取って筋書きの方向で番組を作った、というようなケースもありました。それらを見たときは驚きでした。

まぁ要するに制作、取材、発信する側の人がいい加減だといい加減なものになるということでしょう。最近どうもその「いい加減側」に寄っている人が多いような感じがしていますが気のせいでしょうか。