院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

このたびの地震に寄せて(20)

2011-04-15 11:52:14 | Weblog
 「寄らしむべし、知らしむべからず」という言葉は現在では悪い意味とされる。しかし、元来はよい意味で使われていたのである。

 つまり、民衆が「あの殿様に任せておけば大丈夫だ」と感じるように政治をせよという教えであって、瑣末なことは民衆に知らせなくても、信頼を勝ち得ることはできるということだ。

 民主主義では、知らせることは基本である。でも、やはり「寄らしむ」ことも重要である。

 今回の災害で、政府は「寄らしむ」ことができなかった。だから、徹底的に知らせなくてはならない。なのに、「知らしむ」ことさえできていない。

 「知らしむ」ことにマスコミも協力していない。専門家に聴けば分かりきったことが多いにもかかわらず、あとで批判されることを恐れているのか、大切なことを報道せず、枝葉末節ばかり報道している。

 大本営発表以外に戦争報道をしなかった戦前のマスコミの態度が、今のマスコミの態度に重なって見える。アメリカ海兵隊がパラシュート部隊で仙台空港に侵入し、重機を次々と持ち込んで1ヶ月で空港が使えるようにしたことを報道しない。

 台湾が人口当たりの金額としては、アメリカよりも多い額の義捐金を寄せたことを報道しない。

 前から思っていたけれども、マスコミはアホであるばかりでなく偏向していることが、このたびの災害でよく分かった。