表題の技法は対人コミュニケーションの一方法である。私はこの技法を、1978年にある学術雑誌に発表した。当時、重症の慢性統合失調症者との言語的コミュニケーションの難しさに苦しんでいた私は、苦し紛れに表題の方法を、非言語的コミュニケーションの一技法として考案した。
その後、九州大学のS医師を初めとして、いろんな「変法」が考案され、1980年台には盛んに利用された。そのうちに、私は慢性統合失調症者との付き合いが少なくなり、私自身、この技法を使わなくなっていた。
私はもうこの技法のことをすっかり忘れていた。そんな先日、25年ぶりにS医師から電話があった。私の所在はネット検索で調べたようだった。用件は「九州の若い医療者が先生(私のこと)に会いたがっているから、九州で講演をしてほしい」と言うものだった。
思いもよらぬ要望だった。私にとって表題の技法はもうセピア色になっている。でも、九州ではまだ行われているという。裁判所などで調査官が行ったりしているらしい。私は開業してしまって、九州へ行く時間がないこと、また私自身この技法を行っていないこと、などを述べてお断りしたが、タイムスリップしたように昔のことが思い出されてきた。
考えてみれば、対称図形を見せて何に見えるかを問うロールシャッハ・テストも、本人は原案を示しただけで、むしろロールシャッハ氏の死後、このテストは発展した。私がロールシャッハ氏に比肩するというのではないけれども、私の知らないところで、原法が改良されているのを散見して、悪い気分はしなかった。
S医師がネットで私の所在(電話番号)を調べたように、私もネットで「交互色彩分割法」を検索してみた。そうしたら、けっこう記事があるではないか。
精神医療の現場はもちろん、裁判所、学校などでも使用されているようだ。それも、原法のままではなく、例えば親子や家族でこの技法でコミュニケーションしてもらうとか、必ずしも医療場面でないところで使用されていることも分かった。
さらに驚いたのは、この技法が大学で教えられているらしいということだ。立命館大学の心理学科を初め、数校で教えている。もう考案者(私)は忘れられて、技法だけが一人歩きしているのだろう。
中国や台湾に紹介されていることも分かった。英語で検索をしてみたら、ロシア語の論文が1件ヒットした。
九州の若い人たちがこの技法を行い、たまたまS医師が考案者(私)と面識があることを知って、彼らが考案者に会いたいとS医師にねだった場面が想像されて、一日ほのぼのとした気分になった。
「交互色彩分割法」原著論文
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その後、九州大学のS医師を初めとして、いろんな「変法」が考案され、1980年台には盛んに利用された。そのうちに、私は慢性統合失調症者との付き合いが少なくなり、私自身、この技法を使わなくなっていた。
私はもうこの技法のことをすっかり忘れていた。そんな先日、25年ぶりにS医師から電話があった。私の所在はネット検索で調べたようだった。用件は「九州の若い医療者が先生(私のこと)に会いたがっているから、九州で講演をしてほしい」と言うものだった。
思いもよらぬ要望だった。私にとって表題の技法はもうセピア色になっている。でも、九州ではまだ行われているという。裁判所などで調査官が行ったりしているらしい。私は開業してしまって、九州へ行く時間がないこと、また私自身この技法を行っていないこと、などを述べてお断りしたが、タイムスリップしたように昔のことが思い出されてきた。
考えてみれば、対称図形を見せて何に見えるかを問うロールシャッハ・テストも、本人は原案を示しただけで、むしろロールシャッハ氏の死後、このテストは発展した。私がロールシャッハ氏に比肩するというのではないけれども、私の知らないところで、原法が改良されているのを散見して、悪い気分はしなかった。
S医師がネットで私の所在(電話番号)を調べたように、私もネットで「交互色彩分割法」を検索してみた。そうしたら、けっこう記事があるではないか。
精神医療の現場はもちろん、裁判所、学校などでも使用されているようだ。それも、原法のままではなく、例えば親子や家族でこの技法でコミュニケーションしてもらうとか、必ずしも医療場面でないところで使用されていることも分かった。
さらに驚いたのは、この技法が大学で教えられているらしいということだ。立命館大学の心理学科を初め、数校で教えている。もう考案者(私)は忘れられて、技法だけが一人歩きしているのだろう。
中国や台湾に紹介されていることも分かった。英語で検索をしてみたら、ロシア語の論文が1件ヒットした。
九州の若い人たちがこの技法を行い、たまたまS医師が考案者(私)と面識があることを知って、彼らが考案者に会いたいとS医師にねだった場面が想像されて、一日ほのぼのとした気分になった。
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