八坂神社の石段下はものすごい人だかりだった。夕方からはじまる八坂神社の神輿渡御の儀礼を見学する人たちである。この日の午前中に行われた山鉾巡業とはまた違ったピリピリした雰囲気だ。祇園囃子の中、ゆっくりと行列する山鉾と、「ワッショイ、ワッショイ」の神輿では見る側の緊張感や気持ちもだいぶ違う。
夕方6時過ぎに三基の神輿が揃うとき、祇園祭の緊張感はピークに達する。白い衣装に身を包んだ担ぎ手たちは、屈強な男性達ばかりだ。トランス状態に入る直前のような異様な雰囲気が会場全体を包んでいる。数百人の担ぎ手が祈願を行う儀礼の数十秒の沈黙が、それまでの喧騒を一瞬忘れさせる。そして儀礼が終わるや否や再び訪れる爆発的な音の嵐。こちらまでその音世界に引き込まれそうだ。
祇園囃子はたくさんの鉦の金属音であるコンチキチンが、その特徴であるが、神輿にはこうした囃子はない。しかし八坂神社の神輿からは、担ぎ手の掛け声や怒号とともにさまざまな金属音が発せられる。一基に数百はつりさげられている大小の鈴、そして担ぎ棒につけられた小型のシンバルが、神輿を上下するたびに激しく鳴り響く。
儀礼空間における金属の音は神聖な音だ。バリと京都では、その儀礼の方法も内容も違うが、金属の音の力だけは共通している。この音は、この儀礼の間にやってくる目には見えない超自然的存在に捧げられるだけでなく、その空間を共有する人間である私たちにも幸せをもたらしてくれるものだから。
夕方6時過ぎに三基の神輿が揃うとき、祇園祭の緊張感はピークに達する。白い衣装に身を包んだ担ぎ手たちは、屈強な男性達ばかりだ。トランス状態に入る直前のような異様な雰囲気が会場全体を包んでいる。数百人の担ぎ手が祈願を行う儀礼の数十秒の沈黙が、それまでの喧騒を一瞬忘れさせる。そして儀礼が終わるや否や再び訪れる爆発的な音の嵐。こちらまでその音世界に引き込まれそうだ。
祇園囃子はたくさんの鉦の金属音であるコンチキチンが、その特徴であるが、神輿にはこうした囃子はない。しかし八坂神社の神輿からは、担ぎ手の掛け声や怒号とともにさまざまな金属音が発せられる。一基に数百はつりさげられている大小の鈴、そして担ぎ棒につけられた小型のシンバルが、神輿を上下するたびに激しく鳴り響く。
儀礼空間における金属の音は神聖な音だ。バリと京都では、その儀礼の方法も内容も違うが、金属の音の力だけは共通している。この音は、この儀礼の間にやってくる目には見えない超自然的存在に捧げられるだけでなく、その空間を共有する人間である私たちにも幸せをもたらしてくれるものだから。