Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

雨漏りはポツン、コツン

2010年09月15日 | バリ
 雨漏りで天井から落ちる水滴が、ぐっすり眠っている私の足に当たって目が覚めた。豪雨が赤瓦にあたる大きな音が部屋に響いている。ポツンとまた私の足に雫が落ちる。
 電気をつけると、ベッドの上には直径10センチほどの水で描かれたきれいな円が描かれていて、そのちょうど中心に水滴が、気まぐれのように不規則に落ちてくる。10秒で落ちることもあれば、1分くらいしないと落ちてこないこともある。なんだかボーっとしながら、そんな光景を見つめていた。
 「これじゃマットレスが濡れちゃうな」
 私はとっさに台所から小さな鍋を持ってきて、その中にタオルを入れて、シーツに描かれた円の上に鍋を置いた。水滴は確かにタオルの上に落ちるのだが、タオルに吸い込まれてなんだか面白味がない。 
 「そうだ、ベットを動かせばいいんじゃないか」
 私はベットを部屋の中心に引きずって移動させた。水滴は白いタイルの床の上にポツン、ポツンと音を立てて落ちる。ぼくはタオルをとった空っぽのアルミ製の鍋を雨が落ちる床においてみた。そうすると「雨漏りの音」がアルミに当たって、「コツン」と聞こえた。
 「いいなあ。この音は素敵だ」
 ぼくは電気を消して、ベッドに横になった。真っ暗な部屋に「コツン」とまた雨音がする。
 「いい音だ。でも、なんだか悲しい音……」
 雨漏りの子守唄を聞きながら、ぼくはいつのまにか再び深い眠りについた。