Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

お気に入り

2010年09月21日 | バリ
 バリのクルンクン県、県庁所在地のスマラプラの近くにニョマン・グナルサ博物館という実にマニアックな博物館があります。グナルサ氏は現役の画家で、バリでは知られた文化人。絵を描くだけでなく、多くの美術品や骨董品のコレクターとして有名で、そのコレクションが3階建の建物にびっしり展示されています。とにかく、たくさん「雑然と並んでいる」というのが印象で、ちょっぴり展示品が並ぶ「州立バリ博物館」と対極をなしているといっても過言ではありません。
 さて、この博物館で発見したお気に入りは、亀のワヤンでした。「いいなあ」「かっこいいなあ」「欲しいなあ」とこのガラスケースの前に釘付け。何がいいかって、この亀の表情と頭です。なんだか火をふいているような頭飾り?が実にすばらしい。
 本来なら自分で制作すべきところですが、この写真をプリントアウトして、今度、スカワティのダランのところにもっていき、同じ人形を作ってもらうつもりです。これがあると「浦島太郎」が上演できるかも?

EXPO'70パビリオン

2010年09月19日 | 
 金曜日の夕方から出張で大阪に出かけた。今日の午前中、研究会会場の近くにある3月にできたばかりのEXPO'70パビリオンに寄ってみた。この会場は大阪万博では、「鉄鋼館」だった建物である。
 実は、大阪万博当時、小学校2年だった私は父とともに、この会場に足を運んでいる。私はそのときの様子を漠然と覚えている。とても暑かったこと、今まで見たことのないほど多くの人がいたこと、そしてドミニカ館に行ったこと。たいへんな思いをして息子を万博に連れていってくれた父には申し訳ないのだが、そんな記憶だけである(それでも、私は大阪万博に連れていってくれた父に感謝している)。
 大阪万博がいかに大規模なイベントだったのか実感したのは大学院に入ってからだ。来客者数ではなく、これが文化的なイベントとして先駆的だったことに驚いた。このEXPO'70パビリオンとなって生まれ変わった「鉄鋼館」では、さまざまな現代音楽の委嘱作品が演奏されている。武満徹、高橋悠治などの作品のライブは、今もCDで発売されていると思う。その会場(スペースシアターホール)が、このパビリオンの中にかつてのまま保存されているのだ。よく壊さずに保存していたものだと感心する。
 ところで、この会場にインドネシア館のパンフレットが展示されているのだが、その表紙のデザインがたいへん気に入った。きっとさまざまなHPには、EXPO'70パビリオンの写真は掲載されているだろうから、私は、このパンフレットに描かれたロゴを掲載することにした。

自分へのおみやげ

2010年09月18日 | バリ
 友人と入ったおみやげ屋で、ジャワの古い馬のワヤンを見つけた。バリのワヤンの馬に比べると、皮も厚く、ひと回り大きい。私はバリのワヤンを購入することが多いが、コレクションというよりは、自分が使うことを前提に購入する。バリのワヤンを上演する私にとっては、ジャワのワヤンを買うことはない。ちなみに、ジャワのワヤンは、授業やレクチャーなどで使うラーマとシータの二体のワヤンしか持っていない。
 この馬の人形を見たとき、「これは使える」と思った点が一つ。なぜならこの馬の人形は、首の部分が指の操作によって上下に動くだけでなく、ワヤンを上下させただけで首がやわらかく動くのである。バリの伝統的なワヤンの馬の人形は、一枚の皮でできているので、どこも動かない。人形操作によって、いかに生きているように動かすかということが重要なのである。
 先日、新作のワヤン・リステリックを上演したとき、馬を使ったが、舞踊家が影の馬の頭をなぜるシーンがあった。もし再演が決まれば、この人形は最適である。迷わず、「おねえさん、この人形、もっと安くなるよね。」と値段交渉を始めたのだった……。

形だけ風鈴

2010年09月17日 | バリ
 ウブドのモンキーフォレスト通りにある、高級な骨董と上品な布や小物を扱う「マチャン・ティドゥル(眠れる虎)」なる店の看板の下におもしろい飾り物を発見しました。バリにも風鈴らしきものがあるんだ、と思いきや、ほとんど音はなりません。強く振れば鳴るのだけれど、これは音を鳴らすための音具ではなさそうです。
 でも不思議とこんな飾りがあるだけで、この場所の空気が心なしか涼しく感じます。「風鈴の音」は日本人に涼しさを感じさせるといわれますが、聴覚的な要素だけでなく、視覚的な要素にも涼しさを感じさせる何かがあるのかなと思った次第です。

那覇はまだ風鈴の季節

2010年09月16日 | 玄関飾り
 今日から東京は急激に気温が下がって、すっかり秋めいた季節がやってきたそうです。朝の気温は20度だそうで、羨ましいと思うばかり。まだまだ沖縄はクーラーが必要な季節。昼間の日向はお肌の大敵!
 13日にインドネシアから一ヶ月ぶりに自宅に戻ると、玄関の手ぬぐいがかわっていました。なんと「夏」らしい風鈴なのでしょう。8月に出る前はまだ梅雨の季節の手拭いでしたが、かみさんは、キジムナーフェスタ出演や東京への帰省、子どもの学校のテニスの父母会などでとても忙しくてかえられなかったのでしょう。(「君が自分でやりなさい」、という天の声がどこからか聞こえてくるぞ!)
 この手ぬぐいは、京都の有名な手拭い屋さんで、京都に行くたびに買っているもので、季節に合わせたいろいろな絵柄があります。わが家にも、今後、秋に向けた手拭いがいくつかストックされているはず。でも、当分、那覇は「夏」だな……。

雨漏りはポツン、コツン

2010年09月15日 | バリ
 雨漏りで天井から落ちる水滴が、ぐっすり眠っている私の足に当たって目が覚めた。豪雨が赤瓦にあたる大きな音が部屋に響いている。ポツンとまた私の足に雫が落ちる。
 電気をつけると、ベッドの上には直径10センチほどの水で描かれたきれいな円が描かれていて、そのちょうど中心に水滴が、気まぐれのように不規則に落ちてくる。10秒で落ちることもあれば、1分くらいしないと落ちてこないこともある。なんだかボーっとしながら、そんな光景を見つめていた。
 「これじゃマットレスが濡れちゃうな」
 私はとっさに台所から小さな鍋を持ってきて、その中にタオルを入れて、シーツに描かれた円の上に鍋を置いた。水滴は確かにタオルの上に落ちるのだが、タオルに吸い込まれてなんだか面白味がない。 
 「そうだ、ベットを動かせばいいんじゃないか」
 私はベットを部屋の中心に引きずって移動させた。水滴は白いタイルの床の上にポツン、ポツンと音を立てて落ちる。ぼくはタオルをとった空っぽのアルミ製の鍋を雨が落ちる床においてみた。そうすると「雨漏りの音」がアルミに当たって、「コツン」と聞こえた。
 「いいなあ。この音は素敵だ」
 ぼくは電気を消して、ベッドに横になった。真っ暗な部屋に「コツン」とまた雨音がする。
 「いい音だ。でも、なんだか悲しい音……」
 雨漏りの子守唄を聞きながら、ぼくはいつのまにか再び深い眠りについた。

ゆっくりと、でも確実に「戻って」います

2010年09月14日 | 那覇、沖縄
 インドネシアから戻ってまだ二日も経っていないのだけれど、向こうにいた1ヶ月が遠い過去の体験だったような気がしてなりません。でもそれでいいのです。調査とは、調査したプロセスとその結果が大事なのであって、ぼくの個人的な経験や想いなんて、日本に戻るとともに、その記憶は徐々に薄れていくものだから……(ちょっぴり自虐的になっているかもしれません)。
 そうしてぼくは、ゆっくりと、でも確実に、こちら側へと「戻って」います。ただ、気のせいか、今回はちょっとそのスピードが速い気がしてなりません。それとも記憶の薄れる速度が去年より増して速くなっているのかしら。どちらにしても、消去しなければ、記憶容量はもはや増設できないのです。それどころか、その記憶容量スペースは時間とともにわずかづつ溶けて消えているのだから。でもパソコンのデータみたいに、自分の意思で消せるものを選べたらもっといいのに、とつまらぬことを考えたりするのです。
 
 

帰国しました

2010年09月13日 | 
 本日、インドネシアから帰国しました。若いころは、深夜便というのは「寝ていれば朝に着く」と考えていましたが、だんだん年を重ねると深夜便もきつくなります。昼間だと寝れるのに夜だと意外に寝むれないものです。前後でいびきをかいて寝ている乗客をうらめしく思いました。
 まだ関西空港にいます。午後からは出勤。いろいろ頭の整理をしなくてはならないことがたくさんありますが、事務仕事(これがポイントです)に精を出さないといけません。チェンジ、チェンジ!(チェンジの前に沖縄便で夜眠れなかった分を取り戻さないと)
 インドネシアでお世話になったたくさんの方々に心から感謝。

ラスト・スパート

2010年09月07日 | バリ
 大学も本格始動したようで、次々にメールが来るため、とうとうパソコンを持ってFree Wifiの場所にきて仕事をしています。
 帰国まで今日を入れて6日になりました。10日から断食明けの祭日でインドネシアは休日が続くので(バリのヒンドゥー教徒には無関係でありながら、休日です)、公的機関で調べ物ができるのはあと数日。ラスト・スパートに入っています。目的の儀礼の調査は無事終了しました。11日には、北部山間部のムンドゥッ村にもう一度行ってこようと思います。健康第一であと6日、がんばります。