いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

特定秘密と適性評価。 principle of secrecy and aptitude estimation

2013-12-05 19:35:20 | 日記
 (1)特定秘密保護法案では、具体的な国家秘密の指定は行政機関が決定する。行政機関の国家公務員はパブリック・サーバント(public servant)の意義から、職務上知り得た情報を自己利益や利益誘導に利用することがあってはならないから、規則上そもそも秘匿(ひとく)性が高く求められている。

 採用にあたってはそういう理念を前提に選考されているはずだ。現在でも国家公務員が勝手に国家秘匿情報を漏えいすれば最高1年以下の懲役刑が科せられる。

 (2)今度の特定秘密保護法案では、漏えいに対しては最高10年以下の懲役刑を科す厳罰主義が特徴だが、さらに「特定秘密を取り扱う」国家公務員の「適性評価(aptitude estimation)」を実施する念の入れようだ。

 国家公務員の採用となれば、いくら採用方針、基準、判定に許容範囲内の裁量の幅はあっても、国家公務員としての職務性質上(国家情報の企画、作成、執行)守るべき資質、能力にはふさわしい基準があって当然で、わざわざ国民投資(税)の予算をかけて一旦は実施する採用判定はいったいどういうものなのか、自己否定、疑心暗鬼を増す特定秘密保護法案の「適性評価」だ。

 (3)この特定秘密を扱う国家公務員の「適性評価」は、特定有害活動、犯罪、懲戒、薬物濫用、精神疾患、飲酒、信用、経済状況に関する7項目にわたり、およそ国家公務員の採用基準にも該当しない、ふさわしくない人格像で、さらに同法で行政機関の長による人格審査を加えて特定秘密取り扱いの適性評価を実施しようというものだ。

 裁判員裁判制度が実施されて、裁判を通して知り得た情報は非公開が定められておりその制約が相当のストレスになっているとの話も聞くが、国家公務員といえどもプライバシーをあからさまに調査されて評価されての特定秘密の取り扱いとなれば相当のストレスが働くことは予測される。

 (4)大音響、絶叫スタイルの国会周辺デモを「テロ」まがいと自身のブログで発信した石破幹事長は、「(酒を)1杯飲んだら何でもしゃべるような人に取り扱わせてはいけない。誰が扱うのか明確に定める」(報道)と述べている。

 実際こんなことを物理的、科学的に判断、判定することなど不可能なことで、周りの評判が適性評価に左右することになり、民主主義に逆行する「監視社会(picketing society)」を招くことになる。

 (5)国民に重要情報を知らせないことが国益になることの判断は、一握りの為政者の独善、独断、独占で決めることではなく、広く国民(選挙)がそして司法が判断することであり、特定秘密保護法案の趣旨、中身の是非とともに国家公務員の秘密取り扱い者の「適性評価」が人格侵害にあたるものかの判断、検証も必要だ。

 一旦国家公務員として採用したものの飲酒歴、信用度を特定とはいえ業務遂行のために調査し評価することなど人権侵害というものだ。
 採用の「二重基準」を示すもので自己否定、論理矛盾につながるものだ。

 (6)特定秘密保護法案は衆参両院与党で過半数を占めることから何としても今臨時国会で成立を図るだろうが、実用段階では国民の知る権利、取材の自由への制約とあわせて「行政機関の構造変化」にも注視が必要だ。
 民主主義、議院内閣制あえていうなら国民主権の危機でもある。

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