いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

肉声の財津和夫。 fascinating a natural voice-k.zaitsu in mozart hall

2013-12-16 19:40:34 | 日記
 この日の財津和夫さんは変幻自在で実にステージを楽しんでいるのがよくわかりました。ステージが始まったのが午後7時過ぎで、かつしかモーツアルトホールはソールドアウトのオーディエンスが詰めかけました。

 音響のいいホールでいい音しています。今夜は財津さんの美しいマイクを通さない「肉声(natural voice)」も存分に聞くことができました。
 財津和夫さんの澄んだ声にいい発声、発音、前によく出る声が説得力のある歌にしてホールに伝わります。

 若い頃につくった歌は歌詞(lyrics)に意味など求めないで聴いてほしいと「届かぬ夢」です。
 ノスタルジック(nostalgic)な深く淡い水面が静かに流れるような印象的なメロディはすばらしく、パラドックス(paradox)として切実な若い日の現実的な言葉を引き立ててます。

 お金がほしいけど、それより大事なもの愛と友情、でもやっぱりお金がすべて、力がほしい、本気で愛したあの人は今は遠い空の下と、アマチュアとして福岡で音楽活動をしていた頃は食べるのも大変な時代(ライブハウスのギャラはパン)を過ごしていたと聞いていますので、余程当時の生活観がそうだったんだろうと身に沁(し)みて伝わってくる歌詞で、切々と心情を込めてしかしそこのところは力強く歌いきりました。

 歌い終わって財津さんは、でも若い頃の歌はエネルギーがあふれて感じられると述懐していました。

 チューリップとしてメジャーデビューした東芝レコード時代の話では、同じレーベルにいたはしだのりひこさんの歌もギターの弾き語りで数小節披露して加藤和彦さんの名前も出て、みんな新田和長さんのお世話(プロデュース)になった人たちと紹介しました。

 熱を帯びたトークの時間も自然にのびて10分の休憩のあと第2ステージが始まったのは午後8時15分を過ぎていました。
 「切手のないおくりもの」では、ホール全体合唱練習に力がこもりました。「あ~」の発声練習から始まってホール全員思いっきり息をのばして「みなさん肺活量すごいですよ」。

 財津さんはギターを抱えてステージ前方に出て、「あなたから わたしへ このう」と歌の歌詞途中とんでもないところで区切ってホール全員一瞬ピタッとそろう静寂を何度も楽しんで、たまにそれを飛び越えて歌うバルコニー席の人を指差してマイクを通さない「肉声」で「『た』まで言った!『た』まで言ったぞ」とおどけてみせました。

 それから今度は2階席とバルコニー席だけでの合唱となって、これがまた見事なコーラスとなってまた歌詞区切りも一瞬ピタッと見事にそろって、これに1階席からも大きな拍手が起こって、財津さんはバルコニー席に向かってマイクを通さない大きな「肉声」で「1階席の方からも拍手が来ましたよ」と伝えました。とても親切な財津さんです。

 このホールのバルコニー席は2階席よりさらに上部に設計されていて随分高い位置にあります。「切手のないおくりもの」は10分以上も続きました。
 財津さんの美しい「肉声」を存分に楽しむことができました。

 多くの不特定多数者が参加するコンサートは送り手と受け手の多様なコミュニケーションが基本で大事ですから、やはり肉声同士のコミュニケーションは親近感が伝わってよろしいです。

 「夕陽を追いかけて」のエンディングの静から動へのアレンジはよかったですよ。尾上くん(G)の最初アコギから始まって途中エレキに持ち替えてのフレーズに財津さんのキーボードを叩く、叩く、叩くは、指で鍵盤を左右にスライド(グリッサンド奏法)するは、するはで圧巻でした。こんなの(迫力)は初めて見ました。

 「wake up」、「青春の影」も安定したスケール(scale)のよくのびる高音で聴きごたえがありました。

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