いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

翼とともに去りぬ。 gone with the wing

2020-01-02 20:03:46 | 日記
 (1)とんだ初夢を見せられた2020年元日のゴーン被告からのレバノンにいるという新年のメッセージだ。厳しい保釈条件の中で国内にとどまることが前提の中で、新年のレバノンにいるという驚きのゴーン被告だ。

 そもそも仮釈放で道路工事整理員スタイルに変装してのそれでも見え見えのゴーン前会長そのものの刑務所出所だったが、それで油断させたのか、今回はまんまと日本の検察、弁護側をあざむいて出し抜かれた日本出国、レバノンにいる表明だった。

 (2)出国記録はなくミステリー小説まがいの出国ストーリーの解明はまかせるとして、日本と犯罪人引き渡し条約のないレバノンにそのままいれば日本司法の人質取調べとして批判的だった欧州などの擁護論も背景にゴーン被告の身柄は安泰というのが一般的な見方で、そのまま居座るのか、裁判、公判に向けて日本に戻るのか、これまでのように無実、無罪を主張するなら日本に戻って裁判で主張を証明するしかないが神出鬼没のところをみせられてはすぐにはわからない。

 (3)ゴーン被告には日本の司法、検察の取調べへの不満、不信はある。今回の検察捜査、取調べでは日産内部者との司法取引きから始まってなにがなんでも事件を立証すべく検察が取り組んで、しかし取調べではゴーン被告が全面否定、無実を主張して対立し、勾留期限が迫ると検察はあらたな容疑を持ち出して取調べを続行するという手法で執拗な制裁的な取り調べは日本の刑法の報復主義をとらない理念からは外れて、ゴーン被告が長く生活した欧州のメディアからは日本の人質司法として批判されている。

 (4)欧米の証拠主義に対して日本の検察取調べは供述、自白の裏付けを証拠として求める傾向が強く、拘留しての取調べが長い傾向はある。
 当然に厳しい条件があるとはいえ、検察が反対する中で裁判所がゴーン被告の保釈を認め国内での社会生活は保障されていたにもかかわらずにミステリー小説ばりにレバノンに逃亡した理由は、「人質にならない」という日本の司法への不満、不信以外に裁判、公判からの忌避、逃避が考えられるものだ。

 (5)無実、無罪を主張するのであれば裁判、公判で主張すればいいことで、その機会を保釈中の海外逃亡で自ら失うというのは主張と相いれないもので、裁判、公判からの忌避、逃避とみられて当然だ。

 ゴーン被告の保釈は取り消されて国際手配されるのか、日本政府はレバノン政府との交渉の必要性を述べているがレバノン政府は早急には応じることはなく、ゴーン被告の身柄を確保できなくては裁判を維持できないので可能な限りゴーン被告はレバノンに滞在することが考えられる。

 (6)自身の高級マンション(日産が負担との疑惑)もあり生活には不自由しないだろうが、いつまでもレバノンに滞在し続けるということも考えられずに、ゴーン被告としてはむずかしい選択を求められることになるだろう。

 弁護側は今回の司法取引きを違法として公判準備をしているので、まずはゴーン被告の日本帰国を説得するだろうが、今回の出し抜けの事件(海外逃亡)で信頼関係が続くのか問題で、裁判開始は見通しがつかない事態だ。

 (7)ゴーン被告は欧州メディアが批判的な日本の司法、検察の人質取調べをたてに捜査、取調べの違法性を機会あるごとに主張するとみられるが、やはりレバノン政府の出方次第ということになる。

 レバノン政府がゴーン被告の立場をいつまでも擁護するということになれば、国際的批判の強まりも考えられて、不利益、お荷物になることもこれまでの事例からも考えられて、国外退去措置も選択肢にはあり、ゴーン被告の身柄もいつまでも安泰というわけにもいかない恐れはある。

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