いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

スーチーさんの弁明。 a plea of aung san suu kyi

2020-01-25 20:09:01 | 日記
 (1)かって20年以上もミャンマー軍事政権により自宅軟禁状態に置かれていたアウンサンスーチーさんが、軍事政権の民主化選挙実施で自ら率いる政党が勝利して軍との協力関係の中で国家顧問兼外相に就任して実質ミャンマー政府代表として活動を始めて時間がたつが、今ミャンマー少数派イスラム教徒ロヒンギャ迫害問題で国際司法裁判所、同刑事裁判所からの厳しい命令、捜査に直面している。

 (2)スーチー国家顧問兼外相は「人権を保護する国連や非政府組織が根拠のない物語に依存する方法を改革する必要がある」(報道)と反論している。かっての反軍事政権闘争のスーチーさんであれば説得力もあったが軍と協力関係の政府代表としての発言では素直に受け入れられない事態だ。

 ロヒンギャ武装集団と政府部隊の衝突で大量のロヒンギャ難民が隣国バングラディシュに逃れていることに、ミャンマー政府は国連の現地調査を拒否して独立調査委を設置してジェノサイド(大量虐殺)はなかったと主張(報道)している。

 (3)かっては軍事政権迫害によるスーチーさんの人権擁護のために力を貸した国連(人権理事会)に対して今度は非協力的で排除する姿勢を示して、ミャンマー政府の立場を擁護する主張だ。
 時の移(うつ)ろいを感じるもので、スーチーさんがミャンマー政府の国家顧問兼外相となってからそのカリスマ性、政治力、過去の軍事政権の迫害に対抗した経験からミャンマー民主化に大きな影響力、指導力、前進が期待されたが、現実はミャンマー軍の圧力、影響力が残る中でか民主化が前進したともみえずにロヒンギャ問題を抱えて国際政治、社会からの批判、圧力を受けている。

 (4)最近、国家顧問兼外相として中国習主席との会談では香港支配、市民デモ問題を抱える中国の統治体制を支持する姿勢をみせて、中国との経済関係強化を目指してミャンマー民主化への期待に疑問符がつくものだった。

 軍事政権の長い自宅軟禁を強制されたスーチーさんが簡単に理念、主義を変えるということは考えられないが、スーチーさんが国家顧問兼外相就任でそれまでのミャンマー政治、社会がどう変わったのか伝わってこないが、ミャンマー軍との協力関係を背景にスーチーさんの理念、主義、信条が見えなくなった印象は強く、その象徴としてのロヒンギャ迫害問題の対応であり、弁明(plea)だ。

 (5)民族人権問題でスーチーさんの判断が注目を集めて、むずかしい政治情勢の中で指導力、政治力が試されている。

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