サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

See More Glass/Galileo Galilei

2015-05-17 | アルバム感想








ほんとうの私なんかは
なんにももっていないですから (バナナフィッシュの浜辺と黒い虹)


“いまを生きる”なんて
こんなもんだって知ってたよ (Mrs.Summer)











ガリレオガリレイが去年出したミニアルバム(っていうかシークレットトラックで2曲入ってるから実質全9曲でほぼアルバムサイズ)を
最近よく聴いています もう発売からは半年以上経ってる訳ですが、ただアルバムのテーマ的にもむしろこれからの時期によく似合う、
ぶっちゃけ秋というよりは夏に聴く方が全然良いような「夏のサウンドトラック」的作品に仕上がってるんですよね
歌詞にも「夏」だったり「ビアガーデン」だったり「浜辺」だったり夏を連想させる言葉が多い
とはいえ冬も春も定期的に聴いてはいたんですが(笑 
これからの季節に聴くのも楽しみだな、って事で。

前述のように夏の情景や雰囲気を彷彿とさせるフレーズ、サウンドのオンパレードで、
でも死語かもしれませんがそんなに「イケイケ」な感じはなくて
どっちかと言えばもっと切なくてノスタルジックな印象の、
“夏の儚さ”に焦点を当てた良い感じの作品集になっていると思います
夏の雰囲気と共にあった憧憬やちょっと上手く行かなかったセンチメンタルな記憶だったり
ある意味「遊ぶ」とか「盛り上がる」とかいうのとは対極にある作中観の楽曲が多く収録されてるので
そういった夏に付随するちょっとしたセンシティブな感情表現や心情描写を味わいたい方にはうってつけのアルバムかと思います
また全体的にアンニュイな空気も流れていて夏のサントラ云々を抜きにしても良い具合に沁みて良い具合に気分が良くなる類のアルバムであるかと。

頑張れば報われる、とは言うものの実際は報われるかどうかは色々な要素が絡み合って生まれるある種の奇跡のようなもので
正直な話頑張ったとしても行動に移したとしても「なんか上手く行かないな」「ちょっと違うな」という
そんなパターンがかなりの割合を占めてるもんだったりするんですよね(体感的に)
個人的にはそういう心情に於いてのサントラでもあるなあ、と
何か持っているようで
その実その感触は今ここにはない
気付いたら“空っぽ”を感じてしまっている自分
散々頑張っても「結局こんなもんか。」ってなってしまう現実
でもそれを悲観的に歌うのではなくあくまで情景と混ぜて歌われているので
アンニュイな感触はあるけれど、でもダークまでは行かない・・・みたいな絶妙なバランスがガリレオガリレイらしい、とも言えます
そういう煮え切らない今の心情と、それでも確かにそこにある情景、、、的な作中観がツボなのだと聴いてて思いました
全体的にメロも雰囲気も夏っぽくて爽やかなアルバムですけど、そこに込められた気持ちはどれも切実で。
だからこそただ単に「夏っぽい」だけの印象に留まらず深く聴き応えのある作品になってるんじゃないかと



勝ちを得たい 奪っていたい
全てをひっくり返せるから
何がしたいかを考えてよ (プレイ!)
 

君にわかってほしかったんだ
ほんとは頷いてほしくて (親愛なるきみへ)



だけど、ロックバンドならではの“ロール感”にも長けているアルバムだとも思います
それは後半の曲になればなるほど顕著になっていくんですが、
「プレイ!」という曲のハイテンポなビートに乗せられて歌われるがむしゃらで必死な想いに
「親愛なるきみへ」では“人それぞれ”なんてきれいごとじゃ済まされないリアルな心情が歌われていて
聴いていて心が熱くなってしまう作用があったりもして、アンニュイでノスタルジックな作中観のナンバーに加えて
そういった強い想いを吐き出す類のナンバーがあったりもするこの辺のバランス感もまたネガポジ的によろしいと思います
アレンジも夏っぽさ全開の前半からビートが効いたロックチューンだったり壮大で神秘的なアレンジに変化していくので
さり気に飽き難いアルバムとして成り立っている、それも自然に・・・っていうのがまた凄い作品であります
兎角一曲を取りだすのも全然アリですが、流れで聴くとより良い具合に楽しめると思うので
季節がら的な意味合いも含めて興味があったら是非。

個人的にはいかにも「夏!」って感じのコーラスワークが超気持ち良い、けど焦燥感も同時に表現している「Mrs.summer」と
多分今作で一番アンニュイでこじれてる心情を歌っていると思われるAimerさんがガッツリ参加の「バナナフィッシュの浜辺と黒い虹」、
それとメロディと弾けるようなギターサウンドがめちゃくちゃポップで気持ち良い「プレイ!」がお気に入り
「プレイ!」に関してはそんな解放的な音に相反して歌詞の方はすごく足掻いてる感じがするんですよね
それでいてちょっと青春の匂いもするのがツボでめちゃくちゃ大好きな一曲です
最後の「親愛なるきみへ」も正直聴いてて頷きまくってしまう歌詞に壮大なアレンジも光る名曲だし、
「山賊と渡り鳥のうた」はガリレオガリレイらしからぬ哀愁が沁みてて好きだし・・・
って、まあ、正直言って「全曲好きです。」という答えに最終的にはなりますね(笑
でもそれくらい粒ぞろいの傑作ミニアルバム
ついでに書くと冒頭でちょろっと記したシークレットトラックの2曲までも良いんですよね
一曲は打ち込みポップ、もう一曲は弾き語りと正にシークレットトラックならではの曲調になってるのもプラスポイント
爽やかだけど、どこかさびしげでアンニュイで、だけど確かな情熱もあって・・・というガリレオガリレイの記名性がよく出ている作品でもあるかと













逃げよう いつだって
そうやって生きてきただろう (山賊と渡り鳥のうた)


ベッドの上で知ったふうにさ
言うほど僕らは“おとな”じゃない
だからさなんでもしゃべってよほら (プレイ!)



あくまで個人的に、なんですが
自分の欲しい言葉を的確にくれるから今作本当に大好きですね。
それと尾崎くんのボーカルが年々艶っぽさ、男らしさを増してるのにも注目です。