サブカルチャーマシンガン

自分だけの「好き」を貫く為のブログ。

OWARASE NIGHT/フレデリック

2015-05-26 | アルバム感想








そんなにやさしくされたらとっても迷惑なんです
とっても迷惑なんです 心ゆらゆら迷惑なんです
返し返されゆりかごのように揺らされて
とても迷惑なんです 幸せの迷惑なんです (愛の迷惑)













先日、フレデリックのライブに行って来たんですけど(→ライブレポ)
その時既に披露されてた、上に音源も流れていたのが表題曲「オワラセナイト」でした
(っていうか他にもDNA、迷惑、セーターも披露してましたけどね)
で、その時から「オワラセナイト」のメロディを即座に覚えて口ずさめてたくらい今回もまたキャッチーな先天性を誇る新曲を作って来たなあ、という印象
この馴染みやすい上に音楽的にも面白いタイプのキラーチューンをポンポン作れる才能はやっぱり凄いと思います

そう、この新譜もめっちゃ良いんですよね
リフで押すタイプの楽曲が多くそれだけでも気持ちが良いんですけど
例えば表題曲「オワラセナイト」はクラブでも流せそうなエキゾチックなアレンジでありながら
サビのメロディは“和”を感じさせる、もっと言えば“祭り”を思わせるような仕上がりになっていて
正しく和洋折衷、
しかもどちらかが出っ張らずに絶妙なブレンドで聴かせてくれるバランス感覚が個人的にめちゃくちゃ好きなんですよね
誤解を恐れず書けばちょっと“童謡的”でもあるメロディセンスが初めて聴くのに凄く耳馴染みがあって
昔から日本人が好んで来たメロディラインにオルタナやダンスミュージックのテイストを加えて
すっごくオシャレにしました。みたいな・・・
そういう良さ、ストロングポイントが備わってるバンドだなあ。と改めて感じました
だからことメロディ、サウンドに関して言えば一般リスナーにも音楽マニアにも対応出来る抜群の仕上がりになっていると思います。

それでいて言葉遊びのようなフックのある歌詞がまた良い。
パッと見、意味があるようで、ないようで、でもやっぱあるんだろうな。って感じられるバランスがイイです
そもそも演奏がその曲の感情を語っている感覚があるのも好きだったりするんですけど
語感を重視した小気味良い歌詞でありながらきちんと感情移入の隙間も存在している
つまりはノリ重視でなくきちんと一つ一つにテーマやメッセージ性が備わっている奥深さがまた好きです。という話ですね
いつまでも引き摺っちゃってる惰性や過去の傷にとっととケリをつけろ、不幸な振りしても何も変わらない現実のこと、
中途半端な優しさや軽い興味で与えられた愛情は結果的に深い傷となってそいつに残ってしまう、という楽曲など(個人的な聴き方ね)
踊りやすいビートと口ずさみやすいメロディ、それらの武器に加えてしっかりと沁みる歌詞にもなっているという
あまり妥協を感じさせないこだわりっぷりが若さとは無縁で個人的に更に気に入る事が出来た新譜になってました
全体的に前作よりも臨場感重視でとても踊りやすい、かつ口ずさみやすい楽曲が多々入ってるので
その意味では2作目ではありますが案外今作のが入口にはいいのかもしれません
楽曲単体で言うならば「オドループ」が一番“名刺”には相応しい気がしますけどね(笑




振り向かないで1人で泣いてシクシク
どうにもこうにもなりません
振り向かないで2人で泣いてシクシク
どうにもこうにもなりません
振り向かないでみんなで泣いてシクシク
どうにもこうにもなりません (どうにもこうにも)



フレデリックの歌詞は、割と身も蓋もないというか、ある意味シビアというか
希望的観測や「頑張ろう。」って気持ちを微塵も感じさせないものが多いんですけど(笑
でも上記の楽曲では最後の方に“それでも何とかやってる。”という方向性にまとまっていたり
決して大げさな希望を歌わない代わりに決して絶望し切ってる訳でもない「強さ」があると思います
そしてあんまり“答え”を出さずに「そう感じたよ」って事象そのものを歌っている楽曲も多く
そういう“距離感”もまたあんまりベタベタしないような良さがあるんだと感じてます

個々の曲に話を移すと、
まずは何と言っても表題曲の「オワラセナイト」が最高ですね
なんかもうイントロだけで踊り出したくなる問答無用のビート感が気持ち良いですし
なあなあ、ではなく、きっちりと終わらせよう、気持ちにケリつけよう。というワンテーマに絞り切った潔さもまた伝わりやすいと思う
緩み切った惰性は時に自身の進歩や変化を拒む毒や足かせになっている、という曲だと個人的には解釈しています
2番のAメロでいきなり語りのようなボーカルに変化する柔軟さも聴いてて好きなポイントですね
 そして、そんなキラーチューンに対抗出来る曲もいくつか入ってます
抜群のインディー・ロック、オルタナ感満載の「DNAです」は人によっちゃこっちのが(今作で)一番好き、って人もいるかも
明るくも不穏さも感じさせるイントロとアレンジ、そしてサビの不敵なフレーズの数々は実にロック的で気持ち盛り上がる類の楽曲に仕上がってます
ひねくれててフックの強い楽曲なのにも関わらずポップ感も相応にあるのが先述している「バランス感」の絶妙さを感じさせてくれます
またある意味「オドループ」にも通じるアンセムのような歌詞の内容になっているのも注目、ですね
 バラッド調の「シャンデレラ」、小気味良く語感重視のフレーズの数々がフレデリックらしい「どうにもこうにも」も好みで
既にライブでも披露されていた「セーターを脱がさないで」は完全に言葉遊びのサビにも関わらず哀愁をも感じさせる、という
ある意味フレデリックにしか作れないんじゃないか、っていうくらい記名性の高い楽曲になってて最高ですね
ストレートなポップソング、と思わせつつ言葉はストレンジな「さよならカーテン」で終わる構成もいい

それと、その前に入っている「愛の迷惑」は名曲だと思います
途中で飽きて捨てられる程度の優しさや愛ならば単なる迷惑に過ぎない
中途半端に与えられた優しさの分だけ「なぜ?」という想いで傷口が深くなるだけ
無作為で何の意図も持たない八方美人や寂しいだけの馴れ合いに対する最高のカウンターソングに仕上がってて
正直、個人的に誰かにこういうテーマの曲を歌ってもらいたい。と心のどこかで思っている自分もいたので
その意味ではもうライブで聴いた時から既に大好きで愛着を持っていた楽曲の一つであります
こういう複雑で、でも人間らしい心情を歌えるバンドはそこまで多い訳じゃないので
その意味でもこれからのフレデリックのソングライティングに期待したくなる一曲だなあ、と自分的には。
軽快で、でもどこか哀しげなリフもまたイイんですよ。この曲と「DNAです」はことキャッチーさ、求心力では表題曲にも負けてないと思う。
つまり、それくらい粒揃いの新作と言う話ですね。是非またライブに行ってフレデリックの作中観に浸りたいです。














隣に住んでるマニュアル通りの存在 それもバイバイ (愛の迷惑)

ぼくら最終的に笑ってる 踊るDNAです (DNAです)


ひねたロックを聴きたい方には向いているバンドだと思いますけど、
今作ではそれに加えてそれだけには留まらないスケール感も受けれたのが嬉しかったですね
より進化したフレデリックを感じる事の出来る一枚、また癖の強い三原兄弟の声も聴いたら即座に分かる印象で大好きです(笑)。
今作も前作に劣らずめっちゃ中毒性の高い一枚になってるので気になったら是非是非、というところ。
若手らしからぬ完成度と音楽的趣向を感じさせる新作でした。