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【君を待つ日々】Wake Up,Girls! 第9話「ここで生きる」 感想

2015-09-21 | Wake Up,Girls!(アニメ)








夏夜は、
話始めの内はまゆしぃに顔を向けずに話していた
つまりそれほど本人にとっては辛い記憶を打ち明けている、って事なんですけど
その・・・あまりにも絶妙過ぎる演出には何度観ても唸らされるものがあります
真っ直ぐにはとても話せない、
まゆしぃの顔を見て話す事が出来ない、
それでも、話す。
本当の想いを打ち明けて、前に進む為に、話す。
なんてしなやかで逞しくて、そしてか弱い女の子なんだろう。って思いました。
ここまでの一連の流れで夏夜のWUGに於けるマザーっぷりは散々描かれて来たと思いますけど
今回のはWUGちゃんの心を根本から繋ぎ直す大仕事をやってのけてくれたな、と
本当は心にしまっておきたい自分だけの傷
でも、それを曝け出す事によって一つになれる
もっと素直に、心を通わす事が出来る・・・みんなの母親役ってだけではない
「夏夜」って女の子の素敵な部分だったり“強さ”がきっちりと描かれていた、もっと夏夜を好きになれる、
感情移入出来るような傑作回に仕上がっていたなあ、と素直に思いました。本当に、なんて素敵な女の子なんだろう。






自分が観ている限り、「震災後」をここまではっきり描いたアニメはWUGだけです
そしてそれを観た人の表情を描いているのもWUGだけだと思います
それだけで個人的に価値がある。とか思っちゃうんですけど
別にだから偉いとかそういう話ではなく、
確かに「ああいう現実」があって、忘れちゃいけない想いがあって・・・っていうのを描いてくれている事がとても嬉しいし頼もしい
だってそれは、絶対に目を背けちゃいけない事柄のはずですからね。
それをキャラに“背けさせなかった”というところにWUGって物語の誠実さが滲み出ていると思います。
こういうシーンがあるからこそ、今大手を振って「WUGが大好き、WUGを好きになってもらいたいなあ。」って感想を書いてる所もちょっとあります
みんなもう忘れてるかもしれない、だけど、現実は未だにこのアニメで描かれた風景そのもの
是非なんでもいい、なんでもいいから「何か」を感じ取って欲しいシーンの一つですね。

そういう「現実」があるってことは、
間違いなくその「現実」の割を食らった人間がいるってこと
その中の一人がかやたんこと菊間夏夜その人だったのです。





正直に書くと、ぶっちゃけ泣いてしまいました
別に普通に「泣いた」って書けばいいんでしょうが、
前回の話数でも泣いている為、ただ単純に俺がよくWUGで泣くだけ。って感じに映ってるかもしれないな、って(まあ実際これで3話目ですけど 笑)、
ただ・・・物凄く夏夜の心情が伝わりやすい演出と演技だったなあ、と何度も観返して思うんです。

町に帰って来た時の微妙な面持ちや、ふと立ち止まって感慨深く周りを見渡す仕草、
どう見てもまだまだ復興途中なのに「大分良くなった」としみじみと口にする姿を観ていると一気に涙線が刺激されました
それはきっと、夏夜にしか言えないセリフ、他のキャラは間違っても口に出来ないセリフ、
そして、「あの日」を経験した彼女だからこそ発言出来るセリフそのものでした
いっつも温かくみんなを見守って来たWUGのお母さん的存在の夏夜、
でも、心の奥に抱えきれない悲しみを背負って来たんだなあ・・・と思うと、ね・・・。

また、直接的に「あいつ」の事を説明したりしないのもこだわりの演出であり泣ける要因になっているな、と思いました
別に“亡くなった”だとか“好きだった”とか一言も言わない、言わせない脚本に“優しさ”を感じたのと同時に
だからこそ想像して、グッと感情移入出来る「隙間」が生まれているんだな、としみじみ感じます
ただ、ボロボロになったブイが届いただけ
でも、そういう事なんだろうな・・・って思わせる描写が個人的に堪らないのです
大好きだった町、大切な思い出、いつも勇気をくれた「あいつ」のこと・・・・・・・
あまりこれまで触れてこなかったデリケートないくつもの感情に向き合っている夏夜の姿を観て涙線が緩み、
そしてちょっと泣きそうな声色で「あいつ」の事を語る姿にはっきりと泣いてしまいました
どこかで「あいつ」も見てくれてるかな、
私だって、頑張らなきゃ。
そんな夏夜の気持ちと悲しみから前を向こうとする意志に完全に胸を打たれた、のと同時に
「震災」を取り扱った作品でもある以上、“そこ”から逃げなかった姿勢に個人的に大きく感銘を受けました
大切な誰かを失くして、好きだった町を失くして、それでも頑張ろうと今を生きている人がいる。
また再び立ち上がって、「あいつ」の声を聴いて、もう一度頑張りたい、諦めたくないって思ってる人がいる。
それだけで、ただただ美しい
逆にそれだけだからこそ、余計に美しい。
・・・実は今この感想を書きながらも泣いているんですが(恥ずかしい)
それくらいにああいう演出と奥野さんの渾身の演技は素晴らしかったと思うのです


「あいつ」がどこかで見てくれてるかな
いつか見てくれるかな
そんな風にしなやかに生きる夏夜はなんてきれいなんだろう
なんて美しいんだろう
そして、なんて儚いんだろう。
今も、「頑張ってるよ!」って、一生懸命生きて、歌って踊る夏夜の姿が尊いものに思えた第9話
きっとそれは、おばさん達にも、そして「あいつ」にも・・・消えない灯を宿すんでしょうね。

「辛い過去」を感じさせるにはただそういう事実だけではなく
顔を見て話す事が出来ない演出だったり、
徐々に震える声だったり、
そういう細かい仕事が重要なんだなあ。とつくづく感じました
それくらいに素晴らしい話数に仕上がってると思うので是非何かを感じて欲しいと思ってます。

でも、ロマンティックな事を書くと
あのブイ自体があいつが「頑張れよ!」って
夏夜に送ってくれたものだったのかもしれないですね。
だから、それに対して「がんばっぺ!」って返した夏夜は本当に偉いと思うのです
「あいつ」がきっと見てる、だから、頑張れる― 
こんな素敵なお話を紡ぐ事が出来るこのWUGというアニメ、
是非もっと評価されて欲しいし、愛されて欲しいな。なんて素直に思ってしまいましたね。


「あれ以来初めて来た」という夏夜の故郷の町、
そんな故郷に対する複雑だけど、でも確かな想いがセリフ以上に
演出や雰囲気で伝わって来るのがもう堪らなかったですね。
「この子が幸せになって欲しい」と直に思いました。 また、今度は笑顔でみんなと来れるといいね!





白木の言ってる事もあながち間違いじゃないでしょう
ファンの皆様が恋人、だからこそ「アイドル(偶像)」って呼ばれるんでしょうし
あの一件に関しては彼が正しい部分もあるとは思います
だけど、あまりにシステマチックに管理され過ぎていて
修行僧っていうか
奴隷っていうか、
「人間らしさ」は感じられないのもまた事実と言えば事実なんですよね
理想とは大分かけ離れた修行僧のような展開に息苦しくなってアイドルが嫌になっていたまゆしぃ
だけど、WUGは違った
WUGはつまずいてもまた立ち上がる事が出来る場所
誰も置き去りになんかしない優しさがある場所
だから、まゆしぃも徐々に好きになって
「ここでなら」と想いを確かにした
だからこそ、負けたくはなくて空回りしてしまった・・・んでしょうね
それはきっとWUGの正しさを、WUGというユニットの素晴らしさを証明したかった気持ちから来たのかもしれない。
「私たちは絶対に負けない」って。

まゆしぃは、親への罪悪感もあった分
変に同情されたくなかったのかもしれません
同情されても余計に辛いっていうか・・・。
それは自分の解釈ですけどね。
誰にも話せなかった想い、
誰にも話したくなかった悔しさ。

最後に、よしのに「頼りないリーダーかもしれないけど」って前置きした上で「なんでも相談に乗るから」って言われた時
まゆしぃは涙をこぼしていましたが、本当はそんな風に“絆”を感じさせるアイドルグループがやりたかったんでしょうね
本気でお互いを想って、一緒に成長出来る、そんなアイドル然としたグループがまゆしぃの理想で
グリーンリーブスはそれを「やらしてくれる」事務所だった、という話です。

まゆしぃの本心を知ったからこそ、よしのもまたまゆしぃに素直になれた
ようやくWUGという生命体が真の意味で一つになれた瞬間だったのかもしれないですね
悲しい事があったら、辛い事があったら、なんでも話してよ。私が聴くから・・・!っていう。
どこかで一人で背負い過ぎてしまう悪癖のあるまゆしぃ、それを他人に委ねる事もいつか出来たなら、
きっとそれは今の彼女の“成長”と呼べるのかもしれないですね。
話してくれなきゃ、伝わらない事も、進めない事も、きっとある。





ななみんは、そんな風に「真剣にWUGをやっている」みんなの話を聞いて
一人だけ「さあ、期間が終わったら光塚だ!」ってモードの自分がしょうもなく思えたんでしょうね
本気でこのユニットに賭けているこんな人々がいるのに、片手間気分の自分は何なんだと。
それはご多分に感化されたのもあるんでしょうけど、
でも元々「これでいいのかな?」って気持ちも抱えてたのは明白でしょうから
至極自然な流れでとても良かったかと思います
むしろ、ななみんをその気にさせるとしたらみんなの“本気”を見せるしかないでしょうからね。
ただ、そんな風に「このユニットでいく!」と決意したななみんも正直格好良かったです
その後のみんなで海に入ったりするシーンは正に“青春だなあ・・・”って感じでした(笑

夏夜の重くて、そして感動的な独白から始まり
まゆしぃが見た「現実」とそこからの「再起」を描き、
それに影響されてななみんまでも腹を括る・・・と
正に最大限にWUGらしさを感じさせる傑作回だったと思います
みんな不器用で、でも一生懸命で、かつての傷から立ち直ろうとしているからこそ感動的に映る
よりグッと来て今作に陶酔する事が出来るんじゃないかな、と深々と思った回でしたね。大好きです。













しかし松田も宿に着くなり(遊びじゃない事を分からせる為に)早速トレーニング促したり結構やることやってるじゃないか(笑
スケジューリングもきっちりやってたり時々抜けてる以外はちゃんと縁の下やってたりもします。

そして、間違いなく“「あの日」以降の風景と人々”を過不足なく描けている“「あの日」以降のアニメ”だった、とも思います。
いつか、風の便りで夏夜とあいつが再会する日が訪れますように。






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