ひびレビ

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「シュガー・ラッシュ」を観て

2015-05-18 07:45:39 | テレビ・映画・ドラマ
映画「シュガー・ラッシュ」を観ました。

 「シュガー・ラッシュ」の舞台はゲームの中。ゲームセンターの営業時間終了と共に彼らもまた活動を終了し、翌朝回転するまでの間、互いのゲームを行き来したり、悪役同士で交流を深めたりという、トイ・ストーリーのゲーム版のような世界が描かれています。私はそんなにゲームに詳しくないので、どれが何のキャラクターかを全て把握できませんでしたが、クッパやベガ、ザンギエフ、ソニック、パックマンなど見知った顔もちらほら。クッパとベガが悪役扱いなのは分かりますが、ザンギエフも悪役なのか・・・
 自分のゲームを住まいとして、互いのゲームを行き来する際は電源コードを伝ってセントラルステーション=電源タップに移動するという発想が面白かったです。トイ・ストーリー同様、自分たちの見ていないところでゲームのキャラクターたちはこんな風に過ごしているという想像を膨らませるのは楽しいですね。同じゲームが複数同時稼動していたらどうなるのか、なんて妄想もできますし。

 主役は「フィックス・イット・フェリックス」という古参のゲームの悪役・ラルフと、レースゲーム「シュガー・ラッシュ」の嫌われ者・ヴァネロペの2人。ラルフはいつもビルを壊してばかりで、メダルをもらうのは魔法のハンマーでビルを治すフェリックスばかり。ゲームの30周年記念パーティーに無理やり参加した際、自分もヒーローになれる、メダルをもらえると主張して別のゲームでメダルを入手しようとしたことから、物語が動き出します。
 「フィックス・イット・フェリックス」は30年前のゲームということもあって、出演キャラクターたちの動きがみんなカクカクしているのが面白い。ラルフがケーキを壊した際、ケーキがドット上に飛び散っているのもまたいいですね。その後最新ゲームの「ヒーローズ・デューティ」に飛び込むわけですが、30年前のゲームと今のゲームの違いの激しさに驚かされます。

 ラルフは「ヒーローズ・デューティ」のメダルを無理やりゲットしたものの、その世界の敵であるサイ・バグというウイルスの卵を孵化させてしまい、混乱の最中宇宙船に乗って、暴走の果てに「シュガー・ラッシュ」の世界に到着。そこでヴァネロペと出会うことに。

 「シュガー・ラッシュ」は、毎日レースに出場するキャラクターが変わるゲーム。そのため、毎日誰が出場するかを、ゲームセンター終了後にレースをして決めていました。しかしヴァネロペは不具合があるため出場させてもらえず、掛け金であるメダルも手に入らないまま。そこで偶然手に入れたラルフのメダルを自分がレースに出るための掛け金として使ってしまい、メダルは優勝しなければ戻ってこない。というわけでラルフは渋々ヴァネロペを手伝うことに。
 そんな中、ラルフはヴァネロペが不具合のためレースに出してもらえず、皆から嫌われているということを知る。ラルフは自分と彼女が同じ境遇にいると知り、彼女がレースに勝てるように協力し、友情を育んでいったものの、それを邪魔しに現れたのがシュガー・ラッシュの王であるキャンディ大王。
 プログラムをいじってラルフのメダルを取り返し、それを渡すのと引き換えにヴァネロペをゲームに参加させないように要求。ラルフは迷った末にそれに従い、一緒に作ったカートを壊すのですが、ここら辺は見ていて辛かったです。

 メダルを手に元のゲームに戻ったものの、フェリックスはラルフを探して出かけたままで、他の住民たちも慌てて避難した後でした。1人ぼっちの家から外の世界を眺めた時、目に入ってきたのが「シュガー・ラッシュ」の筐体、そしてそこに描かれていたヴァネロペの絵でした。筐体に描かれているキャラクターが出場していないのに、ゲームは稼動させていたのか・・・


 一方のフェリックスたちは、悪役のラルフがいないためゲームが成立せず、故障中と判断されてしまう羽目に。慌ててフェリックスは「ヒーローズ・デューティ」、そして「シュガー・ラッシュ」の世界に赴き、「ヒーローズ・デューティ」のカルボーン軍曹と共にラルフ、そしてラルフと共に逃げたサイ・バグを探すことに。ここでまさか、30年の違いがあるゲームのキャラクターの恋愛が描かれるとは予想だにしていませんでした(笑。最新ゲームのガルボーン軍曹と、往年のゲームのフェリックスでは大分身長差がありましたが、グラフィックの壁などなんのその。フェリックスは頼れる男としての一面を見せてくれます。カルボーン軍曹に任せるだけでなく、ラルフの後始末は自分の仕事だと主張し、反対されてもいくという男気も見せてくれました。
 ただ、後に牢屋に捕らわれた際、もろくなっていた格子を壊そうとして例のハンマーを振るい、頑丈な格子にしてしまったのには笑ってしまいましたがwこの作品で一番笑ったのがあのシーンでした。
 
 最新ゲーム、つまりこの世界における新人であるカルボーン軍曹が知らないことを、先輩であるフェリックスが教えるというシチュエーションはなるほどなと思いました。劇中、時折「ターボする」という言葉が出てくるのですが、その言葉を使うキャラクターは皆古くからいるキャラクターであるため、当初はその意味が説明されません。そのため、フェリックスがカルボーン軍曹に説明するという形で、初めて視聴者にも説明されます。
 「ターボする」とは「ターボタイム」というゲームの主人公、ターボが別のレースゲームに嫉妬し、そのゲームを乗っ取ったことが由来でした。この説明を聞いたときは「そんなこともあったんだ」ぐらいにしか思いませんでした・・・


 思いなおしたラルフは「シュガー・ラッシュ」の世界に戻り、ラルフの知り合いということで捕らわれていたフェリックスを救い、彼の力でカートも元通りに。そしてヴァネロペはレースに挑み、キャンディ大王との一騎打ちに。そこでキャンディ大王は執拗にヴァネロペを妨害しようとしますが、その正体は何とウイルスと化したターボ本人!これには非常に驚かされました。しかも正体が明るみに出たのは、ヴァネロペがレース中、妨害してきた彼の体に触れたため。上手いこと設定を使ってくるなぁと、ひたすら感心させられました。
 よくよく見返してみると、キャンディ大王がラルフと初めて出会ったシーンで、大王は既にラルフを知っていました。ラルフが彼を知らなかったのに、です。どこかで聞いていた可能性も考えられますが、正体を知ってから見返すと、この時既にボロを出していたようにも思えます。

 バグを使って何とかキャンディ大王=ターボをまいたものの、ラルフが連れて来てしまったサイ・バグが大量の卵を産んでおり、それが孵化。あっという間にシュガー・ラッシュの世界に溢れかえり、ゲームは崩壊の危機に。ここへきてターボはサイ・バグまでをも乗っ取り、ラルフたちを危機に陥れてきました。
 ここで役に立つのが、ラルフとヴァネロペが密かにレースの練習をしたダイエットコーラの火山、そして「ヒーローズ・デューティ」におけるビーコンの存在でした。ビーコンというと怪獣の方が思い浮かびますが、こちらはゲームが終了しても襲撃をやめないサイ・バグを集め・始末する光の塔のことでした。ラルフは火山を噴火させることで、それをビーコンに見立ててサイ・バグたちを消去。光に集まるというサイ・バグの性質までも吸収したターボもまたそれに引き寄せられて、今度こそ消滅、というラストでした。本当、劇中に登場したものをあますことなく上手く使う作品ですね。


 ラストではヴァネロペが王女としての姿を取り戻し、今度は皆と一緒にレースに出られることに。ラルフもリストラされた仲間たちと共にゲームに戻り、ゲームそのものの人気も復活。
 「俺たちはレトロ。つまり古くてカッコいいんだ」とはラルフの言葉。最新ゲームの魅力というのもありますが、古いゲームというのもまた魅力的なものです。数々のレトロゲームがあったからこそ、それを遊んで感銘を受け、自分もゲームを作りたい!と思う人もいたことでしょう。
 レトロと最新ゲーム、それぞれの魅力を一度に楽しめる。それがゲームセンターという場所なのかもしれません。

 ラルフは相変わらず悪役のまま。けれどももうメダルを欲することはなく、ヴァネロペと友達になれたことを宝物にしていました。ビルから落とされる際、ゲーム画面の向こうには「シュガー・ラッシュ」で頑張るヴァネロペの姿があるというのもグッときます。彼女との友情は、きっとどんなメダルよりも輝きを放つことでしょう。悪役であっても悪人ではないラルフの物語でした。


 ・・・よし、じゃあ続編は「実はラルフたちのゲームは希少価値が高い」ことが判明して博物館送りになって、皆がそれを助けに行く話だな!w
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