ひびレビ

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相棒16 第3話「銀婚式」

2017-11-02 07:33:51 | 相棒シリーズ
相棒16 第3話「銀婚式」

 右京と冠城は峯秋からの依頼で、総合商社の専務、瀬川巧・楓夫妻宅前に灯油が撒かれた事件の調査に赴くが、時を同じくして車椅子に乗ってうとうとしていた楓が、巧が目を離している間に坂を下り始めてしまうという事件に遭遇。楓は無事だったが、右京は楓が自分が死に掛けたという実感が無いこと、車椅子を電動に上手く切り替えられなかったことが気になっていた。

 調査に乗り出した右京は2人の馴れ初めと、銀婚式の招待状を「思っていたのと、違っていたものだから・・・」という理由で出していないものの、デザイン会社に要望を出していないことを知る。冠城もまた、介護士の牧野がバイクの窃盗グループにいたこと、楓が顧問弁護士を訪ねていたことを突き止めていた。
 車椅子事故時の巧の対応も併せて、特命係は楓が離婚するつもりであり、それによって自らの地位が奪われることを恐れた巧が楓を殺そうとしたのではないかと推測。だが当の巧は山荘で階段から転げ落ち亡くなってしまう。

 巧の葬儀が終わり次第、楓は海外に行ってしまう。右京たちは急ぎ調査を行い、犯人が楓である証拠を揃えて彼女のもとへ向かい、観念した楓は全てを語り始めた。
 銀婚式の招待状が届いたあの日、玄関先で楓は片岡が巧との間に子供が出来たという事実を、インターホン越しに知ってしまった。だが巧はいつまでも離婚の話を切り出そうとせず、楓は離婚の準備を進めていたが、その矢先に車椅子の事故が起こり、楓は巧の殺意を知り、かつて落馬した際も同じ状況であったことを思い出し、巧が地位と金を手に入れようとしていたことに気づく。それでも楓は「愚かだと思われるでしょうけど、25年間、ずっと信じてきた愛情を法律で裁いて欲しくなかったんです」と、相談しなかった理由を語る。

 巧の死を悲しむ片岡と自分を比較して楓は「私にはもう、悲しむものもない」と呟くが、右京は「それでも・・・あなたの行為を悲しむ人はいると思いますがね」と口にする。
 全てを語り終えた楓の手を、彼女の母親代わりとなってきたセツが握り締め、嗚咽を漏らす。2人の側には出されることのない、銀婚式の招待状が置かれていた・・・


感想
 瀬川夫妻の昔の写真、凄く懐かしい感じがしました。ああいうのって、役者さん本人の写真なんですかね。

 さて今回は結婚25周年の銀婚式を目前にして起きた悲劇の話。落馬し半身不随となった楓の面倒を一生見させて欲しいと頼み込み、結婚に反対していた楓の両親を納得させた巧。しかしその時から既に巧は楓自身よりも、彼女が創業家の娘であったことが重要だったようで。
 車椅子に細工を施したうえで楓を事故死に見せかけようとしたものの、間一髪目が覚めて難を逃れた楓。本来であれば喜ぶか事故に驚愕すべきところを、巧の表情から嬉しさや驚きは全く感じられず、ただただ楓が死ななかったことを残念に思っていたように見えました。
 今回はその場面における巧の表情を初め、牧野が駆けつけてきた時の楓の驚愕の表情、楓の行為を心から悲しむセツの表情、そんなセツを見て自身にも悲しむものがあると気づかされた楓の表情など、登場人物の感情の起伏が表情によく表れていたと思います。

 「思っていたのと、違っていたものだから・・・」招待状のことかと思いきや、巧の愛情のことだったとは思いもしませんでした。それでも25年間信じ続けてきた愛情を法律で裁いて欲しくは無かったと楓。
 裁判ともなれば、巧の口から車椅子の事故に関することのみならず、落馬の真実や、片岡との関係についても明かされることになるでしょう。例えそれが真実であったとしても、法律や裁判によって信じ続けてきた愛情が「偽物」と断定し、25年間全てが偽りであったと決め付けて欲しくは無かった・・・そういった思いを込めての言葉かな。

 片岡に対しては自分と巧の問題だとは言いつつも、彼女が本当に巧を愛しているのであれば、巧を失うことこそが最大の悲しみだと言っていましたから、ある意味で復讐は行われていたのかもしれません。
 
 事故死に見せかけて遺産を手に入れようとなどとせず、素直に不倫と離婚のことを話していれば、楓は覚悟の上でしたから今回のような事件も起こらなかったでしょう。それが、車椅子事故を起こしてしまったがために楓の記憶と殺意を呼び起こす結果となってしまいました。

 淡々と事のあらましを語る楓には、銀婚式の招待状を楽しみにしていた時のような元気も無く、悲しむこともしなければ怒りを顕わにするようなこともありませんでした。
 そんな彼女に悲しむものがあると教えてくれたのが、母親代わりのセツの行動でした。例え巧の愛情が偽物であったとしても、過去を不問として「立派な介護士」だと言ってくれた楓に尽くしていた牧野や、ずっと側にいてくれたセツから彼女に向けられていた愛情は本物。落ち着いた楓のことですから、そのことにさえ気づけば殺意を踏みとどまれたかもしれません。

 25年。始めから仕組まれていた、全てが嘘・偽りだったと言われるにはあまりにも長すぎる時間です。

 次回はコンビニ店員の話?
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