Mr.トレイルのオーディオ回り道

「音質アップ」を目的として、
システム全体の「基礎的項目の見直し」に、
重点を置いて試行錯誤や実験をしています。

サンスイ SP-707J は非常に鳴らし難いSP

2010年10月26日 | ピュアオーディオ

707j1

サンスイ オリジナルの状態では SP-707J SPは未完成のSPです。D130(中期型)+175DLH+N1200ネットワークの組み合わせで出来ています。

Sp707j4

オリジナルの状態ではD130の質感があまり良くありません。8Ω仕様の中期型では音の深みや音数が足りません。中高域の175DLHも1200Hz以上を受け持つ様に設計されていますが、エネルギー感も音数も高域の伸びもまったく足りません。175DLHはツィーターでしか有りません。この為中域の音が奥まって聴こえます。ネットワークのN1200も今一の音質です。

Sp707j3_2

SPの全体の姿では、菱格子のサランネットと、しっかりした作りの箱で非常に魅力的に見えるSPですが、オリジナルそのままではとても価格に見合った性能は有りません。私は単純に「ウーハーボックス」として捉え使っています。

Sp707j1

そこで、私のシステムではD130は16Ω仕様の初期型、中域は#375+ゴールドウィング+ハイルドライバー、高域は175DLH+#2405+デッカSW8+ビクターリボンにしています。ネットワークは#3160+#3105に変更し、内部を音質対策しています。

Sp707j5

ここまで対策しても「低域の量感」が不足します。このサンスイ707J箱のバックロードホーンは箱鳴りはするのですが「低音が出ない」箱です。その代わり、箱臭さは随分と少ないと思います。どちらかと云えば「深みの有る軽い低音がする」と表現した方が良いと思います。

このSPシステムを初心者の方が使ったら、「ダメSP」の烙印を押して直ぐ様放出される事でしょう。このSPは長いオーディオ人生をして、難しいSPを鳴らせるテクニックを持った人でないと手元には残らないSPだと思います。まだ私も挑戦中の段階です。アキシオム80と似た様なSPだと思っていただければ理解が早いかもしれません。

箱やユニットで出せる低音に限界が有りますので、ケーブルやアンプで不足分を補う必要が有ります。よほどアンプやケーブルを充実させないと使い物になりません。

ケーブルの試作品を評価するには逆にもってこいのSPでも有ります。ケーブルの低音性能が悪いと「低音が出ない」症状になります。高域性能が悪いと「バランスと質感が揃わない」症状になります。

今回の試作ケーブルもこのSPでの評価が最終的な判断になります。今回もこのSPへの水平展開段階で中断になりました。機器やケーブルの交換にものすごくシビアに反応します。

バックロードホーンと云えばタンノイのオートグラフやウエストミンスター等で「低音が豊か」な方式だと思われますが、こと707J箱ではD130との組み合わせも有ってなかなか「低音豊か」とは申せません。先にも言った様に「低音が出難い」箱です。

しかし、上手く鳴らし切ってやりますと「家庭で使うにはもってこいの質感」を出します。軽く弾む低域と豊かな中域、ヌケ切った高域の組み合わせを目指したいと思います。肩ひじ張らずにクラシックもJAZZも気楽に高音質で楽しめます。