令和4年8月22日
熊本県
商品「交流」で直売所活性化=運送ルートは4倍に
熊本県は、直売所間での商品の輸送を活性化し、品数を増やして地産地消を進めるプロジェクトを加速させている。
こうした「商品交流」を行う直売所は2021年度の11カ所から、22年度は15カ所に拡大。
直売所を結ぶルートは、9から37と約4倍に増えた。
県全域で農産物ネットワークを構築するのは、全国的に珍しいという。
上天草市の道の駅から輸送された生花を持つ熊本県物産館等連絡協議会の鮎川高明会長(右)
流通アグリビジネス課によると、山間部の直売所は、地域住民にとってスーパーのような役割を果たしている。
だが出荷者が高齢化し、季節によって閑散期が生じ、品ぞろえが偏るという課題を抱えていた。
県は、直売所の活性化を目的に、21年4月に「くまもと県産農産物ネットワーク構築事業」を開始。
各直売所の関係者が話し合う場を設け、その交通費の一部を補助するなど、関係強化を支援した。
直売所の魅力を高めるため、商品を輸送し合って仕入れる案が出たことから、実行に移した。
21年9月には、直売所が参加する「熊本県物産館等連絡協議会」を設立。
22年3月まで試験的に11の直売所を九つのルートで結び、直売所の関係者が野菜や果物など58品目を輸送した。
県は取り組みをさらに後押しするため、商品輸送のプロジェクトを
「The unity of Kumamoto ぐるっと くまもと」と命名し、ブランド化を目指している。
輸送に掛かる燃料費を一部補助し、専用のロゴマークを作製。ロゴを印刷したのぼり旗およそ150本を準備した。
各直売所は、他の直売所から輸送を受けた商品を陳列する特設スペースを新設し、専用のロゴを目印に販売を行っている。
7月28日、熊本市北区の直売所「道の駅 すいかの里植木」では、上天草市の直売所から生花が運ばれてきた。
協議会の鮎川高明会長は「(事業により)それぞれの地域の旬が集まる。地域の農産物などをPRし、取り組みを広げていきたい」と語った。
9月には南阿蘇村で、それぞれの直売所の商品を集め、販売する合同販売イベントも予定しているという。
商品交流をする直売所の増加が品ぞろえを強化し、顧客の増加につなげる。さらに直売所の参加を促す好循環につなげたい考えだ。
流通アグリビジネス課の担当者は「時期により農作物が集まりにくかったり、反対に一つの品ばかり集まったりすることがある。
さまざまな地域の農産物を交換交流し、直売所の魅力を高めたい」と話している。