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「農業所得を10年間で倍増させる」という安倍首相の言葉・・・どうも納得がいきません。
日本の総人口の3%にも満たない約260万人が農業従事者・・・
その農業従事者の平均年齢は65.8歳で、30歳代はわずか数%で後継者不足というのが現状です。
10年後と言えば、平均年齢76歳です・・・果たして、倍増の意味はあるのでしょうか?
ここ20年間、国は販売価格が生産費を恒常的に下回っている作物を対象に、
その差額を交付することにより、農業経営の安定と国内生産力の確保を図るという
「農業者戸別所得補償制度」を通じて手厚く助成を行ってきました。
それが逆に、専業農家の意欲をそぎ、日本農業の衰退を招いた元凶となったという人も多いです。
つぎ込んだ国費は7兆円にもなるといいます・・・皆さんは納得できますか?
今朝は、「所得倍増」という言葉の裏側に焦点を当てたコラムを紹介しようと思います。
~以下、6月18日読売新聞朝刊より抜粋~
今日の
ノート
「農業所得を10年間で倍増させる」と安倍首相は言う。貿易自由化の裏側で自国農業を保護・強化するのは、多くの国が重視する政策だ。ただ「農業」所得を倍にしても、「農家」の所得が倍になる訳ではないところに、日本農業の大きな矛盾がある。ノート
農水省によると、コメ農家160万戸の平均所得は2011年に446万円あった。このうち最大の収入は年金で208万円、会社勤めなど農業以外の収入が187万円で続く。農業所得は50万円だった。
「所得倍増」の裏側
年金?そう。コメ農家の平均年齢は66歳と高く、10年もしないうちに100万人が離農するとの予測もある。大きな田んぼを抱える農家は別にして、農業で生計を立てる農家は少ない。後継ぎ不足などから、耕作放棄地は滋賀県とほぼ同じ面積に広がった。米価を高く保つために生産量を絞る「減反」を続けるためだけで、この20年間につぎ込んだ国費は7兆円に上る。納税者は高いコメの消費者としても負担を強いられてきた。
農業を守るために巨費を投じたはずなのに、この現状はどうだろう。農政は失敗だった。その認識から再出発しなければ、農業保護に納税者の理解を得るのは難しいのではないか。
日本の財政は海外からも厳しい視線を注がれ、安倍首相は17日開幕した主要8カ国首脳会議で再建への決意を試される。失政を続ける余資はもうない。
経済部長 石田尚久