どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

空飛ぶじゅうたん

2012年10月03日 | 昔話(中近東)

    空とぶじゅうたん/子どもに語るアラビアンナイト/こぐま社/2011年初版
    

 アラビアンナイト。題名だけは聞いたことがあるという話は多いが、これもその一つ。

 一番めずらしい宝をもちかえった者を王女の花婿にするという王さまの考えで、三人の王子が旅に出まする。
 一番上のフセイン(どこかで聞いた名前)はビスナガル(インド)にでかけ空飛ぶじゅうたんを、二番目のアリーはシーラーズ(イラン南西部)で自分が見たいものを思うものを見ることができる望遠鏡を、三番目のアフメッドはサマルカンド(ウズベキスタン シルクロードを代表するオアシス都市)で重い病気をなおすリンゴを手に入れる。

 三人の兄弟がでてくると上の二人が悪玉で、末が善玉という話が多いが、このお話では三人とも同じように描かれ、結末も王女と結婚するのは二番目で、一番目は神に仕える道を選び、末のアフメッドは別の道を選ぶことに。悪玉が一人もでてこない ほっとする話。

 三人がでかける町をウイキペデイアで調べると、今はそれほど注目されていないが、歴史の香りがする町ばかり。

 「空飛ぶじゅうたん」や「どこでも見える望遠鏡」など「ドラえもん」の世界。「ドラえもん」もこんなお話がベースにあったかも。


    空とぶじゅうたん/マーシャ・ブラウン再話・絵 松岡享子訳/アリス館/2008年初版

 マーシャ・ブラウンの再話ですが、末の王子のアフメッドがアーマッド、王さまのめいヌールンナハール(朝のひかり)がノア・アルニハ(夜明けのひかり)、王子フセインがビーシャンガーに旅するというあたりが異なっているほか、王子たちが旅した都の豪華さや、王女の魅力にもくわしい。

 微妙な表現のちがいも参考になります。