どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

おばあちゃんの白い鳥~ガザのものがたり~

2024年11月09日 | 絵本(外国)

   おばあちゃんの白い鳥~ガザのものがたり~/マラク・マタール・作 さくまゆみこ・訳/講談社/2024年

 イスラエル軍の攻撃で、子どもたちが、未来を閉ざされているニュースを目にしたり、聞いたりしていると、なんとしてもこの戦争がおわってほしいと思う日々。

 この絵本は、パレスチナ・ガザ地区で生まれ育ち、2014年のイスラエル軍によるガザ攻撃で、約50日間も家に閉じこもることを余儀なくされたマルク・マタールが、自分をモデルに描いた絵本。そのときに描いた作品はSNSを通じて世界に発信され、外国からも招待状がとどいたというのですが・・・。

 

 マラクは、パレスチナのガザにすむ女の子です。

 毎週金曜日には、マラクたち家族はおばあちゃんの家を訪ね、世界一おいしいマクルーバ(炊き込みごはん)をごちそうになりながら、楽しい時間を過ごしていました。おばあちゃんがかっている白い鳥にえさをやっているとき、マラクの口からこんな言葉がこぼれました。

 「おばあちゃん、わたしたちって、この鳥みたいに、かごの中にとじこめられてるのよね」。おばあちゃんは寂しく笑いながら「だけど、夢の中では、どこへでも飛んで行けるよ」と答え、おみやげにキャンディをくれました。

 つぎの朝、休み時間に校庭で遊び、キャンディをみんなにあげているとき、とつぜん大きな恐ろしい音がひびき、学校の建物もぐらぐらゆれました。

 このあと、マラクの一家は、50日ものあいだ、外に出ることができず、学校へもいけませんでした。

 カバンをあけてみたマラクは、じぶんでかいた絵をみつけました。絵のことなどすっかりわすれていたのに、頭に浮かんだこと、家族のこと、ともだちのこと、とんでいる小鳥のこと、一日中絵を描いていると、恐怖を忘れることができました。ある日、マラクが絵を描いていると、一羽の小鳥が窓からのぞきました。おばあちゃんの白い鳥でした。お母さんが、おばあちゃんに電話をすると、「爆撃で家がやられて、なにもかもなくなってしまったよ。白い鳥もいなくなってしまった。」
 家族で、おばあちゃんのようすをみにいくと、町の建物は爆撃で壊され、にぎやかだった町は、死んでしまったかのようでした。

 やがて、安全に学校へ行ける日がやってきました。マラクはとじこもっていたあいだに描いた絵を、みんなに見せました。先生は、マラクの絵を見て、みんなにみてもらうため、校内で展覧会を企画しました。

 やがて、外国から国際的な展覧会に招待したいという手紙が届きました。しかし、ガザは封鎖され、国境がとじているので、外国に行くことはできませんでした。

 しかしその夜、マラクは夢の中で、白い鳥にのって世界中にとんでいきました。そして、あちことで絵を見せ、思っていること、考えていることを話していました。

 


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