石の王子/世界むかし話6ロシア 空飛ぶ船/田中 泰子・訳/ほるぷ出版/1979年初版
ロシアの昔話にのっているが、クルジャは、どうも中国、新疆ウイグル自治区にある都市。
グリム「三本の金の毛のある悪魔」と同じ話型で、他の国にも同じようなものがあり、冒頭に予言があるのが普通ですが、このお話には予言がでてきません。しかし後半は同じパターン。
ようやくのことで、子どもを授かった王さまが、王子に何か悪いことがおきるのではと心配し、高い塔にすまわせます。外に出してもらえない王子に、太陽がほほえみかけて慰めようとしますが、王子はそれに気がつかず、太陽のほうをちっともみようとしません。おこった太陽は、王子を石にかえてしまいます。
これを助けようと王子の息子が、太陽の母をたずねていきます(つまり、太陽が二つ)。
旅の途中で、三つのお願いをされます。
一つ目は、一台の鋤を九頭のお牛にひかせるが、お牛がほとんど前にすすむことができないわけ
二つ目は、羊の大群がほとんど前にすすめないわけ
三つ目は、トナカイに大きな角がはえて、身動きできないのをどうすればいいか
王子の息子は、太陽の母と太陽の話を聞いて、石の王子をいきかえらせ、また旅の途中で、お願いされた答えをだしますが、なるほどと思うのは、その答えで、日常の生活と結びついています。
<お牛が動かないのは、馬具が鉄で重すぎるので、皮製のものにかえなさい>
<羊が動けないのは、毛がのびすぎているからで、毛をかりとりなさい>
<トナカイが雪解け水でからだを洗えば、頭から角が落ちますよ>
馬具が皮製でできていること、羊毛で毛糸をつくるようになったわけが、話のなかで説明されています。
王子は塔に閉じ込められますが、塔は邪悪?なものから防いでくれるという存在でしょうか。
この話型は、日本の昔話にはほとんどないということと、塔というのが、日本では、お寺をのぞけばでてこないのも面白いところです。
サンタさんからきたてがみ/たんのゆきこ・さく 垂石眞子・え/福音館書店/1989年初版
ねずみの郵便屋さんが、今日も、森のみんなに配達していますが、どうも元気がありません。
心配になったきつね、ふくろう、くま、うさぎ、からす、うさぎさんが集まって、郵便屋さんにたずねると
配達の途中で雪にころんで、手紙がちらばり、あて先がみえなくなった手紙が一通のこってしまったといいます。
その手紙には、ところどころみえるところがあって、その手紙のことで、みんなは、けんけんがくがく。
どうも、ねずみさんにきたみたいと、開けてみると、それはサンタさんからの手紙。
プレゼントを配るため、森のみんなをよく知っている、ねずみさんへ、道案内をしてほしいという手紙でした。
森のみんなは、サンタさんのそりに乗って、プレゼントが無事にとどけられるのを、見守ります。
森のみんながけんけんがくがく推理する場面で、はじめはみんなが自分のものじゃないかといいますが、ケンカにならないのがやさしい感じです。、
そして、サンタさんが、たくさんの光がかざられていりモミの木の前で、みんなをまっている場面が、今の時期にぴったりです。
文が長い感じもしますが、一度読んであげたら、小さい子でもかわいい絵をみながら楽しめそうです。