ふしぎな文房具屋/安房直子コレクション2 見知らぬ町 ふしぎな村/偕成社/2004年初版 1982年初出
であいは突然という感じでしたが、読めば読むほどメルヒンの世界をあじわさせてくれるのが、安房さんの作品です。
小学校の教科書にも採用され、小学校時代に安房作品を読まれたかたも多いようですが、私は残念ながら安房さんの作品に触れることはありませんでした。
これまで4年弱、いろいろな人のお話を聞いていますが、諸先輩が安房作品を語っていないのが不思議なくらいです。語るには長すぎることもありそうですが、覚えたいと思うと、すんなりはいってくるのも特徴のような気がしています・・・。
朗読されている作品も多いようですが、あるブログの「大人のためのお話し会」のプログラムに「花豆の煮えるまで」をみて、聞いてみたいと思いました。
でもこの話も長いですね・・・。
安房作品に惹かれて、勉強会で「ひぐれのお客」を話したことがあります。比較的短いものですが、それでも20分はこえました。それにしても季節感が重要で、この話も11月か12月初めの頃がふさわしく語る時期に制約があるのが残念です。
「ふしぎな文房具屋」も、不思議な世界へいざなってくれます。
客が三人も入ればいっぱいになりそうな店には、なんとも不思議な文房具がおいてあります。
ほんものの花のにおいがする鉛筆、虹から色をもらった絵具、小鳥の声が聞こえる筆箱、なんでも消える消しゴム等々。
冒頭に、これだけのものがそろっていると、すぐに安房さんの世界へ。
一人の女の子が店にやってきますが、やってきたのは冬のひぐれどき。女の子はみぞれにぬれ、寒そうで、とても悲しそうです。春や夏ではなく、冬がぴったりです。女の子はなんでも消える消しゴムをくださいといいます。大事な猫を亡くし、心の悲しみを消そうとしたのです。
おじいさんが画用紙に猫をえがくと、それは女の子がかっていた大事な猫とそっくりです。しかし、その猫が病気で死ぬ前の猫だったので、女の子はすぐに消してとさけびます。
おじいさんが黄色いけしゴムで絵のうえをこすると、画用紙には、一面の水仙の花柄がひろがります。女の子が水仙をみつめていると、画用紙から猫の声が聞こえてきます。
女の子が、花畑に入りたいというと、いつの間にか花畑へ。そこには健康な猫がいます。しばしの楽しみ。しかし、猫は女の子をふりきって空にのぼってしまいます。
文房具屋さんのおじさんが、これはおまけといってわたしたのが、涙も吸い取ってくれる特性の吸い取り紙。こんな吸い取り紙がほしいですね。
ここにでてくるおじいさん、丸いメガネをかけ、なんでも見通している仙人みたいなおじいさんで、アニメにしたらどんなイメージになるか想像してみました。