育休大臣、実現なるか 賛否両論、小泉氏に注目 男性国会議員の子育て
2019年9月13日 (金)配信共同通信社
初入閣した小泉進次郎環境相が、第1子誕生後に「育児休業」を取得するかどうかが注目されている。実現すれば「育休大臣」となるが、一部からは「仕事をしないのに歳費をもらうのか」と早くも厳しい意見が出ている。反対に「閣僚という立場だからこそ模範として率先して取得してほしい」と後押しする声もあり、賛否は分かれている。
▽両立訴え
「公務最優先、危機管理、妻の不安払拭(ふっしょく)、この三つを両立できる形を考えたい。閣議や国会に出ないことはありません」。小泉氏は11日、新閣僚の呼び込み後、官邸で記者団にこう語った。
厚生労働省の2018年度調査では、女性の育休取得率82・2%に対し、男性はわずか6・16%。20年までに13%にするとの政府目標にもほど遠い。厚労省は積極的に取り組む企業への助成を拡充。6月には自民党内に議員連盟が発足し、男性の育休取得義務化に向けた法整備の議論が始まるなど、男性の育児参加を促す流れは加速する。
ただ、国会議員となると、話が別になる。15年には宮崎謙介元衆院議員が育休取得を表明した。スキャンダルで議員辞職して立ち消えになったが、世論は二分。野党だけでなく与党内からも「国民が許すのか」といった声が上がった。
今回も「一般の労働者が育休を取れば所得が減るので取りたくても取れない人がいる。国会議員は何カ月取ろうと(歳費)満額を得られる。まずは国民が先だ」(泉健太・国民民主党政調会長)と慎重意見も強い。
▽メリット
一方、小泉氏にエールを送る人たちも。「育児を通じて生活者視点が広がり、子ども世代のためにより良い社会づくりをしようという志が高まるメリットがある」と話すのは、2回の育休経験がある東レ経営研究所の渥美由喜(あつみ・よしのぶ)主任研究員。広島県の湯崎英彦(ゆざき・ひでひこ)知事や三重県の鈴木英敬(すずき・えいけい)知事など男性首長が「育休」を取った事例を挙げ「短時間勤務のような形で副知事と連携をとりながら、1日のうち何時間かを育児に割く形もある」と勧める。
エッセイストの小島慶子(こじま・けいこ)さんも「国民の代表が取ることで、男性の育休取得への理解が深まるのではないか。『国会議員は別』では古い働き方は変わらない」と語る。
折しもニュージーランドでは先月、男性議員が連れてきた赤ちゃんを男性議長があやし、ミルクを与えながら議事進行したことが話題に。同国では女性首相が昨年出産し、産休を取ったことでも有名だ。
小泉氏は育休取得について「『検討している』と言っただけで、賛否両論含めて騒ぎになること(自体)が日本は固い、古い。ただ、せっかくの機会だから社会が変わり、環境をつくる一つの力になれば」としている。