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アトピーのアドヒアランスを上げるには【小児臨床アレルギー学会2019】

2019年09月22日 12時33分34秒 | 大学
アトピーのアドヒアランスを上げるには【小児臨床アレルギー学会2019】
京都府立医大・加藤則人氏の報告
MMJ2019年9月20日 (金)配信 アレルギー疾患小児科疾患皮膚疾患

 第36回日本小児臨床アレルギー学会(会長・土生川千珠独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センターアレルギー科)が7月27、28日、和歌山市内で開かれ、27日には共催シンポジウム2「PAEからAEへ 成人科から見た小児アレルギー疾患の診療への期待」があった。京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学の加藤則人教授は「成人期アトピー性皮膚炎」と題して発表し、「寛解を維持するツールとして薬物療法があると患者に伝えることが重要」とまとめた。(MMJ編集長・吉川学)
ゴールを段階的に示して治療成果を賞賛すべき
 加藤教授はまず、アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返す搔痒のある湿疹を主病変とする疾患で、患者の多くはアトピー素因を持つという定義を紹介。乳児では紅斑、湿潤性紅斑などの急性病変が主体で、頭、顔から始まりしばしば体幹、四肢に下降するのに対し、成人では浸潤性紅斑、苔癬化病変など慢性病変が主体で、頭、頸、胸、背など上半身に皮疹が強い傾向があると話した。
 診断治療アルゴリズムを示し、しっかりしたと診断すること必要としたうえで、除外すべき診断として接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、疥癬、乾癬などをあげた。見分けが難しい場合もあり、皮膚T細胞性リンパ腫など、典型的なアトピー症状と異なる場合は皮膚生検で病理学的所見を検討することも大切だと述べた。
 抗炎症外用薬や保湿外用薬は、ベトベトするなどで治療アドヒアランスが低下しがちだと指摘。対策として、思春期以降はこれまで親を主体にしてきた説明を本人にして、理解を共有することだと話した。さらに、自然寛解も期待されること、そのために達成すべきゴールを段階的に本人に示し、治療の成果を賞賛し本人に成果の自覚を促すことだと述べた。
心身医学を意識したアプローチが奏効する場合も
 また、湿疹があることが最大の悪化因子であると指摘。皮膚の炎症により皮膚バリア機能の低下や被刺激性の亢進、搔破刺激によって湿疹がますます悪化する悪循環が起きるため、薬物療法で炎症を制御することがアトピー性皮膚炎の悪化因子を減らすことにもなると解説した。
 治療目標と予後については、症状がないか軽微で日常生活に支障がなく薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、それを維持することが目標とし、予後については一般に慢性に経過し適切な治療で症状がコントロースされた状態が長く維持されると寛解も期待されると述べた。
 最後に、正確な診断と抗炎症外用薬を中心とした薬物療法が重要で、湿疹が最大の悪化因子であることを患者と共有し、寛解を維持するツールとして薬物療法があると伝えることが重要としたうえ、成人のアトピー性皮膚炎では、薬物療法に加えて心身医学を意識したアプローチが奏効することがあるとまとめた。
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慢性痛が抑うつ状態を引き起こす脳内メカニズムを解明

2019年09月22日 11時36分06秒 | 大学
慢性痛が抑うつ状態を引き起こす脳内メカニズムを解明
北大、痛みの持続で脳内報酬系が持続的に抑制、抑うつを誘因
QLifePro 医療ニュース2019年9月20日 (金)配信 精神科疾患整形外科疾患その他

 北海道大学は9月17日、慢性痛が抑うつ状態を引き起こす脳内メカニズムを解明したと発表した。この研究は、同大大学院薬学研究院の南雅文教授らの研究グループによるもの。研究成果は「The Journal of Neuroscience」に掲載されている。
 痛みは体の危険を教えてくれる警告信号として、重要な役割を果たしている。しかし、慢性痛は警告信号の役割を果たした後でも痛みが続き、生活の質(QOL)を大きく損なうだけでなく、うつ病や不安障害などの精神疾患の引き金ともなる。さらに、慢性痛とうつ病の併発率が高いことが報告されており、慢性痛による抑うつ状態とうつ病との間には共通の脳内メカニズムがあることが推測されている。
 腹側被蓋野に細胞体を有し、軸索を側坐核に送るドパミン神経は、脳内報酬系において重要な役割を担っており、このドパミン神経の活動低下がうつ病と関連すると考えられている。これまでの研究などから、慢性痛でもこのドパミン神経の活動が低下することが明らかにされている。一方、不安・恐怖・抑うつなどのネガティブな情動の生起に関わる分界条床核から腹側被蓋野への神経経路が、脳内報酬系の働きを制御することが報告されている。
 研究グループは、分界条床核から腹側被蓋野への神経経路が慢性痛によってどのような影響を受けるかを調べるため、神経障害性疼痛モデルラットを作製し、4週間にわたる慢性痛を誘導した後、単一の神経細胞の活動状態を計測できる電気生理学的手法を用いて腹側被蓋野に軸索を送る分界条床核の神経細胞の活動状態を解析。その結果、腹側被蓋野に軸索を送る分界条床核の神経細胞は、慢性痛時に持続的に抑制されることがわかった。
 次に、このような慢性痛による神経回路の変化にコルチコトロピン放出因子(CRF)が関与するかを調べた。慢性痛モデルラットにおけるCRF遺伝子の発現量を調べると、分界条床核と、分界条床核との機能的な連関が知られている扁桃体中心核の2つの脳領域においてCRF遺伝子発現が増えていた。さらに、慢性痛による分界条床核の神経細胞の活動抑制にCRFが関与するかについて調べたところ、慢性痛モデルラットの分界条床核にCRFの効果を遮断する薬物を処置すると、分界条床核の神経細胞の活動抑制は解除された。これらの結果から、慢性痛時に分界条床核内のCRFによる神経情報伝達が過剰となり、腹側被蓋野に軸索を送る分界条床核神経細胞が持続的に抑制されることが示唆された。
 最後に、慢性痛時の分界条床核における過剰なCRF神経情報伝達の遮断が脳内報酬系に与える影響を検討したところ、脳内報酬系において重要な役割を担っているドパミン神経の活動が上昇することが明らかとなった。以上の結果と、慢性痛時にドパミン神経活動が低下しているというこれまでの報告をあわせて考えると、慢性痛によって分界条床核でCRFによる神経情報伝達が過剰となり、腹側被蓋野に軸索を送る分界条床核神経細胞が抑制されると、脳内報酬系で中心的な役割を担うドパミン神経が持続的に抑制されることが考えられ、このような脳内報酬系の抑制が、慢性痛による抑うつ状態を引き起こすとみられるという。
 慢性痛による抑うつ状態の脳内メカニズムを明らかにした今回の研究成果は、慢性痛による抑うつや不安を改善するだけでなく、うつ病の治療にも役立つ新しい治療薬の開発に貢献することが期待される。
 研究グループは、「慢性痛モデル動物において分界条床核にCRFの効果を遮断する薬物を処置すると、脳内報酬系の抑制が解除されたことから、CRFなどの神経ペプチドを標的とした創薬の可能性が期待される」と、述べている。
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地球温暖化、対策遅すぎる 日本の科学者らの訴え相次ぐ

2019年09月22日 10時51分02秒 | 
地球温暖化、対策遅すぎる 日本の科学者らの訴え相次ぐ
2019年9月20日 (金)配信朝日新聞

 日本学術会議(会長・山極寿一京都大学総長)は19日、地球温暖化に対する日本を含めた世界の取り組みが遅すぎるとして、「将来世代のための新しい経済・社会システムの早急な変革」などを訴える緊急メッセージを出した。
 23日に米ニューヨークで開かれる気候行動サミットを前に、山極会長から近藤智洋・環境省地球環境局長に手渡された。
 メッセージは、温暖化による生活や健康、安全の脅威を避けるには、世界の二酸化炭素(CO2)排出量を今世紀半ばまでに「実質ゼロ」とすることが必要だと指摘。多くの市民が消費行動などを通じて取り組みを加速することを求めている。
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