夜だけ開く精神科医院 大阪・ミナミ、心寄り添い
2019年9月30日 (月)配信共同通信社
大阪市の繁華街・ミナミに、夜だけ開く精神科医院がある。訪れるのは、不眠症や職場でのストレスといった悩みを抱えても昼間の受診が難しい会社員ら。病気の後遺症で左半身まひが残りながら診療する片上徹也(かたかみ・てつや)院長(35)が「駆け込み寺のような存在になれれば」と寄り添っている。
医院は心斎橋駅近くにある「OWL(アウル)クリニック」。古着店やエステ店が入る雑居ビル3階にひっそりとたたずむ。診療時間は火曜を除く平日午後7~11時。他の一般の医療機関と同様、健康保険が使える。
髪を染めた若者や会社帰りのサラリーマン、夜型の生活を送る風俗店の従業員らで出入りが絶えることはない。
「仕事を休むことになっても大丈夫ですよ」。勤め先の経営が傾き、不安で寝られず休職を考えている男性会社員(39)に片上院長は優しく言葉を掛けた。男性は残業も多い。「ここは夜遅くまでやっているので、仕事の後でも来られる。ありがたい」と診療後は落ち着いた様子だった。
片上院長が開業したのは5年前。アウルは英語でフクロウの意味だ。昼間に精神科に通えない人が多いことから「夜の守り神になりたい」との思いを込めた。若者が集まるミナミを選んだのは、同世代の悩みを知りたかったから。「リストカットをしてしまう」「死にたい」。20~30代を中心に約4500人の患者に向き合ってきた。
読んだ本に感化され高校生の頃から精神科医を志した片上院長だったが、研修医を終えた直後の2012年、突然頭に激痛が走り倒れた。くも膜下出血で手術は10時間以上に。半年間リハビリに励んだが、左半身にまひが残り、脚を引きずって歩く。
後遺症は今も完全に受け入れることができていない。それでも自分のクリニックを持つ夢は抱き続けていた。昼間は別の病院で勤務する多忙な日々。原動力は人への尽きない興味だ。時折笑い声も響く診察室で「患者さんが僕のことを自分と同じような存在だと思ってくれたらいい」と、穏やかな語り口で話した。
2019年9月30日 (月)配信共同通信社
大阪市の繁華街・ミナミに、夜だけ開く精神科医院がある。訪れるのは、不眠症や職場でのストレスといった悩みを抱えても昼間の受診が難しい会社員ら。病気の後遺症で左半身まひが残りながら診療する片上徹也(かたかみ・てつや)院長(35)が「駆け込み寺のような存在になれれば」と寄り添っている。
医院は心斎橋駅近くにある「OWL(アウル)クリニック」。古着店やエステ店が入る雑居ビル3階にひっそりとたたずむ。診療時間は火曜を除く平日午後7~11時。他の一般の医療機関と同様、健康保険が使える。
髪を染めた若者や会社帰りのサラリーマン、夜型の生活を送る風俗店の従業員らで出入りが絶えることはない。
「仕事を休むことになっても大丈夫ですよ」。勤め先の経営が傾き、不安で寝られず休職を考えている男性会社員(39)に片上院長は優しく言葉を掛けた。男性は残業も多い。「ここは夜遅くまでやっているので、仕事の後でも来られる。ありがたい」と診療後は落ち着いた様子だった。
片上院長が開業したのは5年前。アウルは英語でフクロウの意味だ。昼間に精神科に通えない人が多いことから「夜の守り神になりたい」との思いを込めた。若者が集まるミナミを選んだのは、同世代の悩みを知りたかったから。「リストカットをしてしまう」「死にたい」。20~30代を中心に約4500人の患者に向き合ってきた。
読んだ本に感化され高校生の頃から精神科医を志した片上院長だったが、研修医を終えた直後の2012年、突然頭に激痛が走り倒れた。くも膜下出血で手術は10時間以上に。半年間リハビリに励んだが、左半身にまひが残り、脚を引きずって歩く。
後遺症は今も完全に受け入れることができていない。それでも自分のクリニックを持つ夢は抱き続けていた。昼間は別の病院で勤務する多忙な日々。原動力は人への尽きない興味だ。時折笑い声も響く診察室で「患者さんが僕のことを自分と同じような存在だと思ってくれたらいい」と、穏やかな語り口で話した。