【東京】最前線の医師にマスク寄贈 住民ら「活動ありがとう」
政府チャーター機の帰国者やクルーズ船の乗船者など、新型コロナウイルスに感染した100人以上の患者を受け入れてきた東京都立駒込病院(文京区)に、3月末から4月初めにかけて住民や団体から千枚近い医療用マスクが寄贈されたことが3日分かった。
「日々の懸命な医療活動ありがとう。東日本大震災の際に購入したマスクです」との手紙が添えられたものもあった。
新型コロナとの闘いを最前線で続ける同病院の今村顕史(いまむら・あきふみ)感染症科部長は「小さな奇跡だ。マスクを購入するのが大変なことは全てのスタッフが知っている。涙が出るほど感動した」という。
同病院は感染症指定医療機関だが、感染症専用のベッドは30床。1月からチャーター機やクルーズ船に加えて都内の新型コロナ患者を受け入れた。都内では3月下旬から患者が急増し、重症者も増加。10人以上が入院する日もあり、ベッドが足りなくなって他の病棟の16床を追加した。
24時間態勢で診療に当たる医療スタッフには疲労が蓄積し、追加したベッドも埋まりつつある。マスクの備蓄はあるが供給の先行きは不安だ。
そんな中、3月末以降に都内や他県の5人から、手術用マスクやウイルスを通さない目の細かいマスク、使い捨ての防護服などが相次いで郵送されてきた。団体からの寄贈を合わせるとマスクは千枚近くになる。病院の窮状をニュースで知って送ってくれたらしい。
石井隆史(いしい・たかし)庶務課長が今月1日のミーティングで医師や看護師らに伝えると、最初に驚きが広がり、自然に拍手が起きた。勇気づけられて「頑張ろう」との声も上がった。病院は感謝の手紙を送り、寄贈者のリストや手紙を院内に飾ることにしている。石井さんは「現場の励みになる」と喜んでいる。