新型コロナウイルス対策で行う一律10万円の給付金について、公明党は23日、出生届が出されず戸籍の記載がない「無戸籍者」も給付対象とするよう総務省などに要望した。高市早苗総務相は対象に含める意向を示したという。

 10万円給付は、外国人を含む住民基本台帳への登録者が対象だが、要望書では「住民登録されていない無戸籍者が除外されてしまう恐れがある」と指摘。無戸籍者でも市区町村長の判断で住民登録できるが、要件が厳しく対象から漏れるケースが続出する恐れがあるという。

 無戸籍問題は「婚姻中に妊娠した子は夫の子」などとする民法の「嫡出(ちゃくしゅつ)推定」により、夫の家庭内暴力から逃れた妻が新しいパートナーとの間に子ができても、出生届を出さないことで生じるケースが多い。

 国が把握している無戸籍者は全国768人だが、実際にはさらに多いとみられている。要望書では、無戸籍者の把握に努力するよう政府に求めたほか、無戸籍者への二重払いやなりすましによる受給を避ける仕組み作りも要望した。(大久保貴裕)