血管 立体的に確認 県立中央病院が最先端装置を導入
県立中央病院は今月、体内の血管の様子を立体的に確認できる最先端の装置を導入した。これまでは、2次元の血管造影の画像と3次元のCTの画像を基に、患部に向けてカテーテルと呼ばれる細い管を血管に通す経路を決めていた。導入した装置は血管造影とCTを一度に撮影し、さらにカテーテルを通す経路を自動的に選ぶ。同病院は、治療時間の短縮や撮影時の放射線被ばく量の低減で、より安全な治療につなげる。 (藤田愛夏)
県立中央病院はこれまで、血管造影とCTの画像をそれぞれ個別に撮影してきた。血管に造影剤を注入してエックス線撮影で状態などを調べ、さらにCTでもエックス線を使うため、患者の放射線被ばく量が課題となっていた。
新たな装置は1回の撮影で両方の画像を撮るため、患者の被ばく量を抑えられる。搭載された人工知能(AI)が効率的な撮影方法を判断するため、被ばく量を従来の半分から3分の1に減らすことができる。
血管造影とCTの双方の画像を基に、さまざまな角度から血管や患部の状況をすぐにデータ化する。これまでよりも高精細な画像を短時間で得られる。
がんなどの腫瘍や出血部分に向けてカテーテルを通す経路を導く機能もある。新たな装置の効果について、放射線診断科の望月健太郎部長は地図とカーナビに例えて説明する。「従来は紙の地図を基に運転していたようなもの。新装置は、カーナビのように目的地までのルートを選び、自車(カテーテル)の位置も表示することができる」
北陸で初導入となったこの装置は、カテーテルを使う治療のほか、体の深部からがんの疑いがある細胞の一部を取り出す際にも活用する。年間の利用件数は300~500件を見込む。望月部長は「患者や医師の負担を減らしていきたい」と話している。