第7波で保健所逼迫 金沢市、1日800人に連絡 自宅療養の問い合わせ増
2022年7月28日 (木)配信北國新聞
●効率化、メールに変更
新型コロナの流行「第7波」で感染者が急増し、健康観察や相談対応に当たる石川県内の保健所業務が逼迫(ひっぱく)している。県や金沢市は応援職員の派遣に加え、感染者への連絡をメールに変更するなどして効率化に努めるが、業務量は拡大する一方だ。専門家からはコロナが全数把握の「2類相当」になっていることに関し、柔軟な運用をすべきとの声が上がっている。
「陽性との届け出があり、連絡しました」「濃厚接触の方はいますか」
27日午後4時半、金沢市西念の市保健所では、職員が感染者への連絡の業務に追われていた。電話のコール音が響く中、受話器を片手に聞き取った患者の状況などを書き留めていた。
感染拡大を受け、今月19日以降は1日当たり800人前後の新規感染者に連絡し、症状や重症化リスクの有無などを確認している。持病の有無や年代などを基に優先順位を決めており、連絡が2日後になるケースもある。自宅から医療機関への移送手配に関する業務がほぼなくなった一方、自宅療養の軽症者からの電話相談が増えているという。
市は、他部署からの職員派遣などで保健所の人員を通常の42人から62人体制に増強。感染者への第一報の連絡を携帯電話のSMS(ショートメッセージサービス)に切り替えた。
ただ、絶対的な業務量が増加しており、コロナ担当の地域保健課職員25人のうち17人は、7月の時間外勤務時間が既に過労死ラインとされる月80時間を上回っている。越田理恵所長は「日付をまたいで勤務したり、休日出勤したりする場合もある。応援職員の協力で何とか乗り切りたい」と話す。
一方、県保健所でも今月下旬から患者への連絡を電話からスマートフォンのメールに切り替えた。感染者が多い石川中央、南加賀の2保健所には、県庁から職員を派遣している。
●「インフル並みに」
県職員の一人は「感染者は今後も増える可能性があり、職員数は正直言って足りない」と漏らす。別の県職員は感染症法上の分類を2類相当から5類相当に引き下げる案について「現場の負担を減らすため、5類に引き下げ、インフルエンザのように定点把握に変えることも選択肢ではないか」と話した。