パートの健保加入拡大検討 25年改正、手当充実狙う 年金と同時、企業反発も
政府はパートら短時間労働者の公的医療保険を巡り、健康保険組合などへの加入拡大の検討に入る。会社員らが入る健保組合などは、自営業者らが加入する国民健康保険(国保)と違い、けがや出産で仕事を休んだ場合の手当制度がある。短時間労働者を国保から健保組合に移行させるなどし、保障を充実する狙い。2025年の通常国会で関連法改正を目指す。
現役世代の公的医療保険は被用者保険(健保組合、全国健康保険協会など)と国保がある。短時間労働者が被用者保険の対象になるかどうかの基準のうち、勤務先企業の規模の要件撤廃を軸に検討する。被用者保険の保険料は労働者と企業の原則折半となるため、負担が生じる企業の反発が予想される。政府は厚生年金の加入拡大を進めており、企業要件などが厚生年金と同じ健保組合なども、同時に議論する。
被用者保険は加入者本人が病気やけが、出産で仕事を休めば給与の3分の2を支給する制度がある。政府は企業規模要件「従業員501人以上」を、24年10月に「51人以上」に緩和することを既に決定。短時間労働者が被用者保険に入るかどうかは年収や勤務時間の要件もある。対象外の場合、国保に入るか、配偶者らが加入している被用者保険が適用される。
将来的にはパートらだけでなく、企業と雇用関係のないフリーランスの被用者保険加入も課題になりそうだ。
※公的医療保険
病気やけがでかかった医療費の原則1~3割を患者が窓口で支払い、残りを保険料と税金で賄う仕組み。全ての人が加入するが、働き方や年齢によって加入先が異なる。大企業の社員らが入る健康保険組合、中小企業の社員のための全国健康保険協会(協会けんぽ)のほか、75歳未満の自営業や無職の人、一部の短時間労働者らが加入する国民健康保険がある。75歳以上は後期高齢者医療制度に入る。民間企業の商品である「がん保険」などは公的制度ではなく、希望者が加入する。