年収800万円超で増税案 政府検討、子どもなし世帯
与党と調整しつつ今月下旬から議論を本格化させる。年収の線引き次第で世帯によって明暗が分かれるため、世論の反応も見ながら慎重に制度設計を進める見通しだ。
これまでの調整では、高収入な会社員ほど税負担の軽減額が大きい給与所得控除を縮小し、多様な働き方に対応した税制に改める方向だ。
これで得た財源を使って、全ての人が受けられる基礎控除を増額する。その一方で、富裕層は基礎控除を段階的に縮小し、格差是正につなげることを検討する。
年収800万円超で増税案 政府検討、子どもなし世帯
与党と調整しつつ今月下旬から議論を本格化させる。年収の線引き次第で世帯によって明暗が分かれるため、世論の反応も見ながら慎重に制度設計を進める見通しだ。
これまでの調整では、高収入な会社員ほど税負担の軽減額が大きい給与所得控除を縮小し、多様な働き方に対応した税制に改める方向だ。
これで得た財源を使って、全ての人が受けられる基礎控除を増額する。その一方で、富裕層は基礎控除を段階的に縮小し、格差是正につなげることを検討する。
厚労相交代で自民に妥協? 遅れる日本、批判も 「表層深層」揺らぐ受動喫煙対策
▽紛糾
「嫌な予感がしていた。典型的なざる法になるのではないか」。喫煙を認める店舗面積を当初の30平方メートルから5倍の150平方メートルに広げる厚労省案が明らかになったことに、たばこ対策に詳しい産業医大の大和浩(やまと・ひろし)教授は憤る。
対策を巡っては、厚労省と「吸う権利」を掲げる自民党のたばこ議員連盟(会長・野田毅税制調査会最高顧問)との間で厳しい交渉が繰り広げられてきた経緯がある。
今年の通常国会に健康増進法改正案を提出する計画だった厚労省は3月、改正案の骨子を公表。建物内は原則禁煙とし、小規模なバーなどに限って例外として喫煙を認める内容には、塩崎氏の強いこだわりがにじんでいた。
しかし、この方針を知ったたばこ議連のメンバーらは猛反発。同月の臨時総会では「分煙で十分」「たばこは禁止薬物ではない」などの反対意見が噴出した。自民党は茂木敏充政調会長(当時)の指示で新たに折衷案をまとめたが、塩崎氏は同意せず、改正案の提出は見送りになった。
▽擦り合わせ
8月の内閣改造で塩崎氏に代わって就任した調整型とされる加藤勝信厚労相は「(改正案を)できるだけ早期に提出できるように取り組む」と話すが、時期は明言していない。仕切り直して、厚労省と党の擦り合わせを水面下で進めているためだ。
ただ、時間の余裕はない。「20年に実施するなら、周知期間を考えると、来年の通常国会で成立させなければならない」と厚労省の担当部局は危機感を募らせるが、政府は働き方改革関連法案を優先する方針。「喫煙対策を議論する余裕はない」(自民党議員)との声が漏れる。
九州看護福祉大の川俣幹雄(かわまた・みきお)教授らが2月に行ったアンケートでは、例外なき屋内禁煙に7割の人が「賛成」または「やや賛成」との結果が出ており、議論が深まるにつれて世論の批判が強まる可能性もある。
▽鈍い動き
海外では既に約50カ国が職場や飲食店など、公共の場所での屋内喫煙を法律で禁止。世界保健機関(WHO)は日本に「たばこのない五輪」への取り組みを求めたが、政府の動きは鈍い。五輪開催地東京都の小池百合子知事は、不特定多数が利用する施設を原則、屋内禁煙にする、国よりも踏み込んだ条例を年度内に都議会に提案する方針だ。新たな厚労省案について小池氏は16日、「広さで言うと、かなり甘いという印象だ」と語った。
大和教授によると、韓国では喫煙を許容する店舗面積を段階的に小さくし、最終的には全面禁煙に持ち込んだ。バーやレストランでは例外的に経営側が喫煙や分煙も選べるとする法律が施行されたスペインでは、健康に悪影響が出かねない量の煙を従業員が吸い込んでいることが判明。例外規定は廃止された。
大和教授は「日本政府も、どう減らすかのステップを具体的に決め、全面禁煙を目指すしか道はない」と強調している。
長崎潤一郎、南日慶子
2017年11月18日03時13分 朝日新聞
会社員向けの減税措置である「給与所得控除」は現在、収入に応じて控除額が年65万円から増え、年収1千万円以上の年220万円が上限になっている。
財務省と与党はこの控除額を一律に縮小し、上限も引き下げることを検討している。代わりに所得税の納税者全員が受ける「基礎控除」を手厚くすることで、中・低収入の会社員が増税にならないようにし、増税対象を高収入の会社員に絞る方向で調整している。
ただ、高収入とはいえ、子育ての負担が重い人には配慮が必要だとの意見が首相官邸や公明党内で強まっている。官邸幹部は「政権が子育て支援をやろうとするときに、それに反することはしてはだめだ」と話す。こうした意見も受け、子どもを扶養している人は高収入でも控除の縮小幅を抑え、増税にならないようにする案などを検討する。
政府・与党内では、給与所得控除の上限を「年収800万円以上で188万円」にまで引き下げ、基礎控除はいまの年38万円から50万円へと引き上げるなど、複数の案が浮上する。与党税調は、子育て世帯を増税対象から外した場合の税収への影響を見極めたうえで増税対象の線引きなどの詳細を詰め、来月にまとめる来年度の税制改正大綱に盛り込むことをめざす。(長崎潤一郎、南日慶子)
83歳殺害「湯につけ5分見ていた」 容疑の元施設職員
捜査1課によると、死亡したのは藤沢皖(かん)さん。皆川容疑者は8月22日早朝、ホーム内の1階浴室で藤沢さんを空の浴槽に投げ入れてお湯を張り、溺死(できし)させた疑いがある。
皆川容疑者は「布団を何度も汚され、かっとなった」と動機を述べ「まゆ毛くらいまでお湯をはり、そのまま5分くらい見ていた」と供述しているという。藤沢さんは難病があり、日常的に介助が必要だった。同課は、皆川容疑者が衝動的に藤沢さんを殺害したとみている。
眼述記:脳出血と介護の日々/2 タイミング悪い善意 /福岡
脳出血で意識不明になった同居人(夫)と初めて意思疎通ができたのは、発症から実に126日後のことだった。自分がそんなに献身的だったとは思わない。でも毎日病院へ通い、音楽や落語を聞かせ、手や足をマッサージして刺激を入れていたら、この記念すべき第一声。意思のある言葉を聞けたうれしさをここでうまく文章にできないが、中身の間抜けさに笑えた。
あまりにうれしくて来られる看護師さんやリハビリスタッフに、私は大騒ぎして伝えた。「初めて言葉を伝えてくれたんですよ! でも『さわるな』って、ひどくないですか!?」
◇ ◇
皆さんは一様に喜んでくださった。「毎日お世話してくれてる奥さんに何ちゅーこと言うんですか」と、冗談交じりに同居人をしかってくれた。それを不本意に思っていたのか、少しずつ長い文を視線で伝えられるようになったその10日後、彼は「タイミングが悪い」と言ってきた。食後すぐのマッサージはやめてほしい、ということらしかった。
その頃、彼は鼻から胃までチューブを通して栄養剤を注入していた。彼は栄養剤が逆流して嘔吐し、誤嚥(ごえん)するのを恐れていたのだ。吐いたものが肺などに入れば肺炎などのきっかけになるし、最悪窒息してしまうかもしれない。
でもそんな彼の思いは私には伝わらない。もちろんマッサージはよかれと思ってするのだが、そんな私の姿を見て長男も手伝ってくれた。「二人掛かりで殺される」。同居人はそう思い「さわるな」になったのだった。
◇ ◇
同居人は入院中、4人部屋に入っていた。隣のベッドの人も栄養注入をされていて、そのたびに「逆流して誤嚥したら肺炎が怖いのでベッドを起こしますね」などと声をかけられていた。必要以上に誤嚥と肺炎を恐れていたようだ。脳血管障害の患者が入る病室は、何かしら麻痺がある人ばかり。頻繁にいろんな処置をされる様子が彼にはまる聞こえだった。(文、イラスト=タカクラミエ)
県立大:認知症看護充実へ 来年度、新教育課程 /島根
認定看護師は、緩和ケアや認知症など、特定の看護分野で熟練した技術と知識を持つ看護師を認定する資格制度で、公益社団法人・日本看護協会の審査に合格する必要がある。病院や訪問看護ステーションなどで、他の看護師の指導もしながら活動する。
県立大によると、認知症の認定看護師は全国に約1000人(今年7月現在)いるが、県内は6人にとどまっている。県立大出雲キャンパスの山下一也副学長は「県内は高齢者が多く、最も求められている資格。県西部や離島、中山間地域にも認知症の認定看護師を広げたい。認知症患者が在宅に移行するのに、中心的な役割を果たすことを期待している」と言う。
開講期間は7カ月。チーム医療論、認知症看護原論、認知症看護倫理などの授業がある。出願には看護師免許の取得後、5年以上の実務経験などが必要。出願期間は来年1月4~11日。入試は1月27日。定員10人。
今月15日午後1時半から、出雲キャンパス(出雲市西林木町)で、「認知症ケアの最前線」と題した講演会と、入試ガイダンスがある。参加無料。申し込みが必要(当日参加も可能)。
問い合わせは、県立大認定看護師養成部(0853・20・0537)へ。【山田英之】
内視鏡操作や縫合挑戦 邑智病院で矢上高生が体験学習
同校が町内の製造業や小学校など5カ所で行うインターンシップ(就業体験)の一環。生徒は看護師、薬剤師、診療放射線技師など多くの職種から、興味がある仕事を選んだ。
救急外来では、手術着姿の生徒3人が交通事故の発生を想定し、けが人役を救急室へ搬送して治療する業務を体験。矢上高出身の研修医から縫合の仕方を教わり、練習用キットで実践した。けが人役を敷地内のヘリポートに運び、ドクターヘリで移送する手順も学んだ。
また、大腸内視鏡の検査体験では、医師が「ポリープができてから大腸がんになる」と検診で事前発見する重要性を指摘。生徒たちは練習キットを使い、モニターを見ながらカメラを操作した。三沢丹悟さん(15)は「曲がっているところでカメラを通すのが難しかった。病院に興味があり、いろんな仕事を見てみたいと思い参加した」と真剣な表情で取り組んでいた。
特養の「みとり」報酬増 厚労省、多死社会に対応
15日開いた社会保障審議会の分科会で案を示した。終末期の高齢者が増える「多死社会」を迎え、病院などでの受け入れには限界があるとして、施設でのみとりを促す。
特養が地域の病院と協力し、利用者の容体が急変したら早朝や深夜でも医師の訪問を受けられるようにしたり、実際に利用者をみとったりした場合、報酬を手厚くするよう提案。医療処置にも対応できるよう、夜勤の看護師を配置した施設の加算を増やすとした。
現在、高齢者の8割弱が医療機関で死亡しており、住み慣れた施設や自宅で最期を迎えたいという高齢者の希望がかないづらいとの指摘がある。委員からは「本人や家族が望まないのに病院に搬送されて医療を受けることのないよう、意向をくみ取る仕組みが必要だ」などの意見が出された。
有料老人ホームについては、病院を退院した入所者が多く医療的なケアの必要性が高いとして、たんの吸引などが必要な利用者を多く受け入れる施設への加算を新設することを提案した。
乳がん読影普及20年…医師の技術底上げ
乳がん検診が国内で始まったのは1987年で、当時は医師が視触診で検診していた。97年11月には海外で主流だったマンモグラフィー検診の導入を目指し、日本乳癌検診学会など6学会によって、機構の前身となる「マンモグラフィ検診精度管理中央委員会」を設立。講習会と試験による技術向上に乗り出した。2004年、NPO法人化した。
設立当時、国内でマンモグラフィー検診ができる人材は少なかったが、同委員会が人材育成に努めた結果、2000年以降、乳がん検診に順次、マンモグラフィーが導入されていった。近年はフィルムに代わって、モニター画面での判定が増加するなど、医師らに求められる技術も多様化している。
超音波検査の併用もその一つ。乳腺の密度が濃く、画像では乳腺もがんも白く写る「高濃度乳房」の検査精度を高めるのが狙いだ。13年には技術向上を目指して超音波関連の3学会が加わり、現在の名称に改められた。講習会では、こうした最新技術も教えられる。
講習会後の認定試験では100症例が出題され、合格には80%以上の正しい診断が必要。合格率は60~70%で、認定後も5年ごとに受験して更新しないと失効する。17年3月末現在、計1万9134人が参加し、合格者は1万977人だ。
フリーアナウンサーの小林麻央さんが今年6月、乳がんで亡くなったことなどから若い世代にも乳がんに対する関心が高まっているという。機構の堀田勝平事務局長は「医療関係者や行政の協力で20年やってこられた。今後は研修などを充実させ、特に日本人に多い高濃度乳房の対策に力を入れていきたい」と話した。
マンモグラフィー(乳房エックス線撮影) 乳房を板状のプレートで薄くのばして挟み、撮影する。国の指針では、40歳以上の女性を対象に2年に1回、問診と併せた実施を推奨している。検診は、個人が希望して自費で人間ドックなどで受ける任意型もある。
喫煙可、150平米以下に 厚労省、当初案から後退 自民と調整、反発も 受動喫煙防止で法改正
ただ昨年厚労省が示した当初案の「30平方メートル以下」から大幅に後退する内容。医師会や患者団体に加え、自民党内にもより厳しい防止策を求める声があり、激しい反発が起きそうだ。
新たな案は、飲食店内は原則禁煙だが、店舗面積150平方メートル以下は喫煙可とできる。ただ新規開業や大手チェーンの店舗では喫煙を認めず、既存店舗の営業影響を考慮した臨時措置と位置付けている。見直し時期は設けていない。
厚労省は来春にも法を成立させて、啓発活動などすぐにできるものは夏から実施していきたい考え。150平方メートルよりも広い飲食店の場合、原則禁煙とするが、喫煙専用室を設置すれば喫煙を認める。専用室の工事期間として1年半程度の周知期間を設け、20年4月からの施行を検討している。医療施設や小中高校は敷地内禁煙とし、1年程度の周知期間を見込んでいる。
受動喫煙防止策を巡っては、今年3月、原則屋内禁煙にこだわった塩崎恭久前厚労相が30平方メートル以下のバーやスナックなどに限り例外的に喫煙可とする厚労省案を提示。しかし自民党がこれに反発して150平方メートル以下に緩めた対案を示し、協議は決裂した経緯がある。8月に加藤勝信厚生労働相が着任し、調整を続けている。
※受動喫煙
たばこの煙にはニコチンなどの有害物質が含まれている。他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙でも健康被害が起きることが分かっており、国立がん研究センターの推計では、肺がんや脳卒中などにより国内で毎年1万5千人が死亡している。学校や事業所、飲食店といった公共の場所での屋内喫煙を法律で禁止する国は約50カ国に上り、厳しい規制のない日本の遅れが目立つ。
婆は全くの悪法だと思います。
県立大:認知症看護充実へ 来年度、新教育課程 /島根
県立大は来年6月、認知症患者と家族の支援に関する最新の知識や技術を持つ「認定看護師」を養成する新たな教育課程を開講する。
認定看護師は、緩和ケアや認知症など、特定の看護分野で熟練した技術と知識を持つ看護師を認定する資格制度で、公益社団法人・日本看護協会の審査に合格する必要がある。病院や訪問看護ステーションなどで、他の看護師の指導もしながら活動する。
県立大によると、認知症の認定看護師は全国に約1000人(今年7月現在)いるが、県内は6人にとどまっている。県立大出雲キャンパスの山下一也副学長は「県内は高齢者が多く、最も求められている資格。県西部や離島、中山間地域にも認知症の認定看護師を広げたい。認知症患者が在宅に移行するのに、中心的な役割を果たすことを期待している」と言う。
開講期間は7カ月。チーム医療論、認知症看護原論、認知症看護倫理などの授業がある。出願には看護師免許の取得後、5年以上の実務経験などが必要。出願期間は来年1月4~11日。入試は1月27日。定員10人。
今月15日午後1時半から、出雲キャンパス(出雲市西林木町)で、「認知症ケアの最前線」と題した講演会と、入試ガイダンスがある。参加無料。申し込みが必要(当日参加も可能)。
問い合わせは、県立大認定看護師養成部(0853・20・0537)へ。【山田英之】
医師派遣、病床融通で効果 大田で導入病院が利点説く
同法人は、人口減や医師不足が進む中、効率的な医療の提供を目的に、4月の改正医療法施行を受け、都道府県知事の認可で設立が可能になった。
セミナーでは、野村ホールディングス傘下のコンサルティング会社、野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー(東京都)の中村大正社長が、同法人の導入で医師や看護師の相互派遣、若手医師の共同研修、病床の融通など効率的な医療サービスが提供できると強調した。
医療圏や県境、民間病院と公立病院との垣根を越えて連携することも可能と説き、「若い医師の受け皿、後継者がいない医療機関のセーフティーネットにもなり得る」と説いた。
広島県北部の3医療機関で4月に中国地方初の同法人認定を受けた「備北メディカルネットワーク」の中西敏夫代表理事=市立三次中央病院院長=は、医師の派遣元となる広島大などとの協議で、各病院が個別に臨むよりも交渉力が増す利点があると指摘。医師不足が深刻化する中山間地域では「地域として医療従事者を確保し、地域の中でうまく配置調整することが求められる」と述べた。
マダニ感染症にインフル治療薬、臨床研究で効果
来年にも、承認申請のための治験開始が検討されている。
現在、SFTSのワクチンや有効な治療法はない。研究には34医療機関が参加。昨年、患者10人がアビガンを5~14日服用したところ、血小板が速やかに増えるなどして8人が回復した。2人は死亡したが、研究グループは「すでに多臓器不全に至っていたため」と分析。ウイルス量が高まる前の治療が重要という。
SFTSは、6日から2週間の潜伏期間を経て、発熱や頭痛、 嘔吐おうと などの症状が表れ、重症化すると命にかかわる。国立感染症研究所によると、2013年以降、今月1日までに315人の患者が報告され、うち60人が死亡している。
研究グループは臨床研究を継続中で、同大の安川正貴教授(血液・免疫・感染症内科)は「症例数を増やし、さらに効果を検証したい」と話す。