「ワクチン証明書」申請受付始まる 世界でも導入本格化
2021年7月26日 (月)配信朝日新聞
海外渡航のため希望する人を対象に、新型コロナウイルスワクチンを接種したことを証明する「ワクチン証明書」の申請受け付けが26日、全国の市区町村で始まった。イタリアやトルコなど5カ国で入国後の隔離や陰性証明書の提出が免除される。
希望する人は、自身のワクチン接種券を発行した市区町村の窓口で申し込む。郵送のみの自治体もある。接種券や接種済み証、パスポートなどが必要となる。証明書はA4サイズ1枚で、氏名や接種を受けたワクチンの種類、接種年月日が記載される。発行手数料は無料。
証明書があれば、イタリアでは入国後に課せられている10日間の隔離などが、トルコでは入国時のPCR検査による陰性証明書の提出が免除される。ほかの3カ国はオーストリア、ブルガリア、ポーランド。
また、韓国では隔離免除に必要な書類のうちの一つとして扱われる。エストニアは日本の証明書を認証するが、入国後の隔離などはワクチン接種の有無にかかわらず不要としている。外務省は今後、日本の証明書が利用できると判断した国については随時、同省のホームページで公表する。
一方、他国が発行しているワクチン証明書を持参した入国者について、日本政府は隔離免除などの措置は取っていない。
■世界でも導入の動きが加速
世界でも、ワクチン接種が進む国や地域を中心に、接種を証明する「ワクチンパスポート」導入の動きが本格化してきた。
27カ国が加盟する欧州連合(EU)は1日、「EUデジタルコロナ証明書」の運用を正式に開始した。証明書があれば国境をまたぐ移動の際、原則として隔離や検査を課されない。「自由で開かれた欧州を注意深く取り戻すシンボルだ」(フォンデアライエン欧州委員長)と位置づける。
スマートフォンのアプリへのダウンロードのほか、紙に印刷して持ち歩くことも可能だ。QRコードがついており、システムにアクセスしてワクチンの接種や感染からの回復状況、検査結果などを確認できる。
コロナ禍で昨年春からの1年間、域内のホテルなどの宿泊数が前年比6割減となり、観光産業の復活に向けて期待は大きい。国外でバカンスを楽しみたい市民も多く、すでにEU人口の6割を超す2億8千万の証明書が発行された。
域外の国も関心を示しており、9日にはスイスとシステムが接続されるなど、計31カ国で通用する。日本からもアプローチを受けているという。