Mars&Jupiter

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フェルディナント・リースの交響曲変ホ長調WoO30を聴く

2022-01-10 12:23:50 | 古典~現代音楽ドイツ編
今回は1784年ドイツ生まれのフェルディナント・リースが、
1822年に作曲した交響曲(第8番)変ホ長調WoO30である。
この交響曲は作曲されたが、出版されず作品番号のない作品である。
本来であれば交響曲第6番となるはずだったかもしれない。
今回でリースの交響曲についてはすべてブログで触れたことになる。
聴いたCDはハワード・グリフィス指揮、
チューリヒ室内管弦楽団の演奏のものである。
第一楽章アダージョ・コン・モート-アレグロ・ヴィヴァーチェは、
序奏の部分は金管楽器とともに力強くゆったりと始まる。
弦楽器に木管楽器や金管楽器が絡みながら、壮大な感じで進み、
提示部に入ると弦楽器が生き生きとした主題を奏でていく。
対照的に陰影のある力強い主題も現れて、
まるで序曲のような劇的な展開をみせて盛り上がっていく。
ベートーヴェンの序曲を聴いているような感じである。
展開部の主題の展開の手法にも少し熟練している印象も受ける。
旋律が流れるように進んでいき、再現部に入り、
一気に盛り上がりをみせて最後は力強く終わる。
第二楽章アンダンテ・コン・モートは、
弦楽器の優しい旋律で始まり、木管楽器の明るい旋律がいい。
ホルンの吹奏ものどかでいいが、金管楽器で盛り上がるところもある。
シューベルトを思わせるような歌うような旋律で、
時には行進曲風に進行していき、最後は穏やかに終わる。
第三楽章スケルツォ(ヴィヴァーチェ)は、ホルンの吹奏で始まる。
弦楽器がそれを引き継いで旋律を奏でていき、金管楽器と絡んで、
時に力強く荒々しくなり、スケルツォらしい部分がみられる。
中間部はやや影がありながら、対照的な感じである。
ホルンの吹奏で冒頭の主題が再び繰り返され、最後は力強く終わる。
第四楽章フィナーレ(アレグロ)は、弦楽器の生き生きとした主題で始まる。
主題は様々な楽器に引き継がれていき、盛り上がりをみせもする。
主題が流れていくところはシューベルトを感じさせる一方、
盛り上がりの部分はベートーヴェンを感じさせたりもする。
中間部では対位法的な展開も見られてなかなか興味深い。
ところどころではやはりベートーヴェンの序曲のように、
劇的な盛り上がりもあり、オーボエのあと静かになり、
主題が繰り返されるなどし、最後力強く終わる。
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フェルディナント・リースの交響曲第3番変ホ長調作品90を聴く

2022-01-09 12:49:53 | 古典~現代音楽ドイツ編
今回は1784年ドイツ生まれのフェルディナント・リースが、
1815年に作曲した交響曲第3番変ホ長調作品90である。
この交響曲はロンドン・フィルハーモニック協会で、
1815年5月15日に初演された作品である。
ロンドンで交響曲のジャンルでは最もポピュラーな作品となったが、
ドイツではあまりその名声を得ることはできなかったようである。
聴いたCDはハワード・グリフィス指揮、
チューリヒ室内管弦楽団の演奏のものである。
第一楽章グラーヴェ-アレグロは、
短調の序奏ではじまり、提示部に入ると長調に転じる。
生き生きとして流れるような二つの主題が奏でられ、
ところどころに陰影をつけながらも展示部は繰り返される。
展開部は長くなく、再現部に入り、最後は盛り上がって終わる。
第二楽章クワジ・アンダンテは、弦楽器の優しい旋律で始まる。
それに木管楽器が加わって牧歌的な雰囲気を与えたりする。
短いが全体的に幸福に満ちた楽章である。
第三楽章メヌエット(モデラート)は、
力強く優雅なメヌエットの主題で始まる。
中間部はヴァイオリンのソロが流れるような旋律を奏でていく。
再び冒頭の主題が繰り返され、最後穏やかに終わる。
第四楽章フィナーレ(アレグロ・ヴィヴァーチェ)は、
弦楽器が力強く流れるような主題を奏でて始まる。
木管楽器や金管楽器が絡みながら主題が繰り返され、変形され、
リズムなどベートーヴェンを感じさせるところもある。
最後は同じ音をトゥッティで鳴らして堂々と終わる。
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フェルディナント・リースの交響曲第2番ハ短調作品80を聴く

2022-01-08 11:06:12 | 古典~現代音楽ドイツ編
今回からは多くのあまり知られていない作曲家の交響曲を
地域を限定せずに取り上げていきたい。
まずは1784年ドイツ生まれのフェルディナント・リースの作品。
ブログでは交響曲第1番、第4番~第7番まで触れてきたが、
残り三曲の交響曲を順次取りあげていきます。
今回は1814年に作曲された交響曲第2番ハ短調作品80である。
この交響曲はヨーロッパのドイツ圏では最も成功した作品である。
作品はベートーヴェンに献呈されたようだが、
作品の出版をめぐっては苦労したようで、
4年後の1818年作曲家の友人のジムロックの力で、
ようやく出版されたようなことが解説書に書いてある。
聴いたCDはハワード・グリフィス指揮、
チューリヒ室内管弦楽団の演奏のものである。
第一楽章アレグロ・マ・ノン・トロッポは、
悲しみと怒りとも燃えるような主題で始まる。
そのあとは対照的で明るく生き生きとした力強い主題が現れる。
旋律の受け渡し方など随所にベートーヴェンの影響がみられる。
提示部が繰り返されたあと短い展開部に入る。
再現部で主題が繰り返され、最後は冒頭の主題で劇的に終わる。
第二楽章アンダンティーノは、ゆったりとした旋律で始まる。
何となくモーツアルト風な部分も感じさせる。
弦楽器と木管楽器中心に流れていく旋律の一部は、
ベートーヴェンの交響曲第3番終楽章の主題の一部を想起させる。
最後まで愛らしい感じで穏やかに終わる。
第三楽章メヌエット(アレグレット)は、
力強く激しく時に哀愁を漂わせた旋律が繰り返されて始まる。
ここもいかにもベートーヴェンの影響を感じさせるところがある。
中間部はオーボエなど木管楽器を中心に牧歌的な旋律が奏でられる。
それが金管楽器に受け継がれ盛り上がりをみせもする。
冒頭の旋律が再び繰り返され、最後は力強く終わる。
第四楽章フィナーレ(アレグロ・マ・ノン・トロッポ)は、
流れるような主題で始まり、力強く盛り上がりをみせていく。
このあたりは、シューベルトも思わせるようで歌うような旋律である。
主題は各楽器に受け渡されていき、最後は盛り上がったところで力強く終わる。
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ギーレン指揮のベートーヴェンの交響曲第4番と第5番、第7番を聴く

2022-01-01 18:39:32 | ベートーヴェンの交響曲・管弦楽曲
今日はベートーヴェン交響曲群をギーレンの指揮で聴いた。
すべてドイツのフライブルク・コンサートハウスでのライブ収録で、
バーデン・バーデン&フライブルクSWR交響楽団の演奏である。
交響曲第4番変ロ長調は、2000年1月に行われたライブ映像である。
第一楽章は、重々しい序奏とは対照的に提示部は生き生きとして躍動感がある。
第二楽章は、各弦楽器が中心となっており、各楽器の旋律の動きがよくわかっていい。
木管楽器や金管楽器や打楽器はそれを色彩を加えていく感じである。
第三楽章は軽快さと力強い部分が現れていくスケルツォである。
第四楽章は一気に駆け抜けていく楽章であるのだが、
ギーレンは冷静に的確な指示をしながら盛り上げて終わりにしている。
交響曲第5番ハ短調は、1997年12月に行われたライブ映像である。
第一楽章は、軽快なテンポで進んでいき、流れるように進んでいく。
だからといって表現は大人しいわけではなく、ダイナミックである。
第二楽章は、軽快なテンポの中、各楽器の動きが細部にわかっていい。
第三楽章も各弦楽器の掛け合いする部分の動きがよくわかっていい。
第四楽章は、力強く主題が高らかに歌われて始まり、
最後の高揚して終わるところまで一糸乱れず素晴らしい。
交響曲第7番イ長調は、1998年6月に行われたライブ映像である。
第一楽章は、序奏部で木管楽器など各楽器にゆったり旋律を歌わせて始まる。
提示部に入り、フルートの主題で始まるが、それが全体で力強く奏でられ、
展開部からコーダまで力強く推進力のある指揮で一気に聴かせてくれる。
第二楽章は、前楽章とは対照的に重く沈んだ変奏形式の楽章であるが、
丁寧にそして冷静に曲を進行させていき、ここもなかなかいい。
第三楽章は、軽快さとダイナミックな部分が現れるところで、
音やテンポのメリハリがつけられていてとてもいい。
第四楽章は音楽的にも素晴らしい楽章であり、展開部では弦楽器同士、
旋律のやりとりをすることろがみられる聞かせどころがある。
冷静に楽団をコントロールしながら、最後のコーダまで、
一気に聴かせていくギーレンの指揮もなかなかである。
今回は年末年始にベートーヴェンの交響曲全曲を、
3人の指揮者によるDVDを聴き比べで視聴した。
それぞれの指揮者なりの特性があって面白かった。
来年度はどうしようかはまた1年後になってかな。
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