温泉クンの旅日記

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渋温泉 外湯巡り(1)

2010-03-28 | 温泉エッセイ
  <渋温泉 外湯巡り(1)>
    一番湯~四番湯


「夕食のお時間・・・六時、六時三十分、・・・でしょうか」
 ううむ。やっぱり外湯巡りをしようか。どうしょうか。どこも熱いからなあ。
「六時で」
 心ここにまったくあらず。
 仲居さんの言うことはほとんど耳にはいらないが、想像がつくので適当に答えてしまう。
「かしこまり・・・お食事の際・・・」
「熱燗を二合で」

 やっぱり、いこう。せっかくだものな。
 仲居が去るやいなや、着ているものを脱ぎさってバトル・スーツ(浴衣)を装着する。
 タオルを持って準備完了。
 煙草に火を点けて、心を静める。
 よし、いくぜ。
 フロントで外湯の鍵を借りて下駄をカラコロ鳴らして一番湯に向かう。



 長野の北のほうに渋温泉というところがある。
 温泉街を貫く道と路地裏に九つの外湯が点在していて、湯巡りができる。



 源泉の違いによって異なる効能をもつ外湯は、九湯すべてを巡って九(苦)労を流し、巡り終えれば満願成就につながると伝えられている。



 ・・・これがジツはなんとも「荒行」なのだ。
 どの湯もかけ流しで高温、平均湯温六、七十度の熱湯の源泉である。掛け湯をするのにも火傷しないように細心の注意を払わねばならない。もっとも掛け湯をする温度にまず下げるのがひと苦労なのだが。

 九州は杖立温泉の、百度近い共同浴場ももの凄いが、この湯巡りも空恐ろしいのである。
 のんびり温泉にでも浸かって・・・などとは遥かほど遠い。ハシゴ酒ならぬ、ハシゴ温泉だ。これは修行と心得たほうがよろしい。

 さて、気合をいれて鍵をあける。
 一番湯の「初湯」、胃腸に効く。



  『奈良時代の僧「行基」が発見した湯で、胃によく効くことから別名胃腸の湯とも
   呼ばれている。内部は素朴な木造で、木の湯船から溢れ出る湯は薄く白濁して
   おり、ほのかに鉄のような香りがする』

 よし。次、いってみよう。
 二番湯は「笹の湯」、湿疹に効く。



  『笹やぶから温泉が湧出していたため「笹の湯」と呼ばれ、効能は湿疹だけでなく、
   病気の快復時にも効果があるので「仕上げの湯」とも呼ばれる。壁も湯船もタイル
   張りで、温泉は初湯とおなじくほのかに鉄の香りがするが、無色透明である』

 外の空気がおいしい。
 三番湯「綿の湯」、効能は切り傷、皮膚病、子宝。



  『切り傷やおできの「わたわた」が取れるところから「綿の湯」と名付けられ、切傷や
   皮膚病などによく効くといわれている。石造りの湯船に溢れる透明な湯には、「綿」
   を連想させる白い湯の花が漂う』

 汗みどろになる。バトル・スーツ(浴衣)でつくづくよかった。

 まだまだ。ここにはいったら休むぞ。
 四番湯「竹の湯」、痛風に効く。



  『地獄谷からの引湯に成功したのを祝って、「松竹梅」のうちの一文字をとって命名
   された。ゆっくりこの湯で痛む患部を温めると効果があるといわれる。木の樋から
   湯が掛け流されていて、ここに板をはめて湯量を調節できる』

 汗がとまらない。自動販売機の冷えたミネラル・ウォーターをごくごく飲んで、水分補給をする。

   ― 続く ―
  →「杖立温泉」の記事はこちら
  →「ハシゴ」の記事はこちら

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