温泉クンの旅日記

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卯建のある町のわらび餅 岐阜・美濃

2010-08-11 | 食べある記
  <卯建のある町のわらび餅>

 岐阜県の夏は、<炎天下>という言葉がぴったりくるほどまことに暑い。



 美濃の卯建(うだつ)のある古い町並みである。重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。



 昼時なので、食事するところを探して美濃の町をぶらぶらと歩く。こう暑いと、食べたいものが思いつかなくて困る。



 どことなくすっきりして感じられるのは、電柱をなくして電線を地中に埋設してあるからだ。



 歩いているとたしかに立派な卯建があちこちの屋根にみかけられる。卯建はもともと防火が目的なのだが富裕の象徴でもある。和紙で繁栄したころに造られたものだ。そういえば海野宿の卯建も立派だったな。



 いい感じの食事処をみつけて入ろうとすると、入り口に「本日貸切」の札がかかっていた。残念。もうすこし探すとするか。

「あそこのわらび餅は、そりゃあめっぽう旨いんで評判なんだ」
「なら、食事のあとにぜひそこにいきましょう」
 すれ違う中年グループの男性がその店のあるほうを振り返りながら、連れの女性たちに言っている言葉が耳にはいる。
 さきほどの貸切の食事処にでもきっと行くのだろう。

(ふーむ、わらび餅か・・・甘いものにはまったく興味がないが、ちょっと行ってみるか)

 きっと食事が終わったら団体でその店に移動するのだろうな。
 昼飯をおいといて、さきにその店を覗いてみよう。わたしはナマのクチコミに滅法弱いのである。



 さっき言っていたのは、きっとこの店だろう。
 建物は江戸末期の和紙の問屋だった民家を改装したそうだ。老舗和菓子が経営する甘味処である。



 わらび餅は、わたしはまず食べない。きな粉が苦手なのである。いつまでも喉の奥にはり付いているような心もちになってなんとも息苦しいのだ。
 ま、他にもメニューはあるだろうし、とりあえず入ってみる。
 店内は自然光をうまく取り入れた落ち着いた空間になっていた。



 先客はカップルと、家族らしいグループの二組しかいなくて空いていた。きっと食事したあとにここは混むのだろう。
 さりげなくテーブルの上をチェックする。
 座ってメニューで確認すると、やはりわらび餅が一番人気のようだ。
 近くのカップルが食べているのをチェックすると、どうやらきな粉は別皿で供されるようだ。それならなんとかなりそうだ。
 意を決して、わらび餅を注文する。
 
 わらび粉は蕨の地下茎を叩きほぐして洗出して精製するデンプンであるが、同じ方法でクズの根から得られるデンプンの「葛粉」以上に原料の採取や製造に手間がかかる。
そのため最近のわらびもちは、わらび粉の代わりにサツマイモやタピオカから取られたデンプンや葛粉で製造したものがほとんどであり、本物のわらび粉で作ったわらび餅は高級品だそうだ。本来のわらび粉だけのものは茶色がかっていて、他のものは無色透明なものだそうだ。
 
 禁煙であるので間が持てず、冷えた麦茶をゆっくり喫しているうちに、運ばれてきた。



 氷が敷きつめられていて涼やかだ。無色透明ではない。色からいくと本物といえる。
 こわごわと、氷にのった貴重な大間のマグロの赤身みたいなわらび餅を口に運ぶ。
 冷たさとほんのりした甘さが清涼を携えて口中に広がった。薄い羊羹のような歯ざわりもなんともいい。

(これは、いける。きな粉を付けないのなら、ぜんぜんだいじょうぶだ)
 驚いた。うむ、うむ、たしかに旨いものだ。
 三色白玉をひとつつまんでこちらもぱくついた。冷たさともちもちとした弾力感のみで無味である。
 こちらはあと二個を、粒餡をちょっとだけ付けていただいた。

 気に入った。・・・が、珍しく甘いもの食べたので食欲がなんとなく失せてしまった。 
 わらび餅・・・ここと同じようなものだったら、わたしは甘党ではないがいつでもオッケーだ。


    →「海野宿」の記事はこちら

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