<読んだ本 2013年4月>
今年の桜は早すぎて、どこで花見をしようかとノンビリと考えているうちに、わたしの都合のいい日と天候が折り合わずに残念ながら散ってしまった。
でもそれから十日ほど経って、四月中旬、満開の桜と伊香保で再会した。
思い切り曇っているので、ちょっと桜が映えないのが残念である。
広い牧場の隅にみつけた一本のミヤマツツジも、清楚に佇む着物の美人みたいである。
ひっそりと咲いているのだが惹きつけられずにはいられない魅力があった。
五月になるとすぐ躑躅が咲くが、GWを過ぎれば華やかに匂い立つ薔薇の季節になる。今年はどこかで観られるだろうか。
さて、今月に読んだ本ですが、4月は恥ずかしながらの5冊、累計で26冊です。
1.○残穢 小野不由美 新潮社
2.○萩殺人事件 内田康夫 光文社
3. ○汚れちまった道 内田康夫 祥伝社
4. ◎バーニング・ワイヤー ジェフリー・ディバー 文芸春秋
5. ○スケアクロウ (上) マイクル・コナリー 講談社文庫
まずは、「バーニング・ワイヤー」。
リンカーン・ライムシリーズの最新作だが、二重丸を二個あげたいくらいの傑作でとにかく面白かった。
高圧電力網や電線に流れる電気を使ったテロリストを、ライムやパートナーのアメリア・サックス達、いつものチームが追いつめていく話だ。
サックスが、電力会社のプロジェクト責任者サマーズに電気についてのレクチャーを受ける。
『・・・(略)・・・
「では、アンペア数の話に移りましょうか。アンペア数とは動いている電子の量です」
「はい」
「人を死なせるには、何アンペア必要だと思いますか。交流電流で100ミリアンペア。
それだけであなたの心臓は細動を起こす。あなたは死んでしまうんです。100ミリアンペア
は1アンペアのたったの十分の一ですよ。電気店で売っているごく一般的なヘアドライヤーは
10アンペア消費する」
「10アンペア?」サックスはかすれた声で訊き返した。
「そうです。ヘアドライヤー一つで。10アンペア。ちなみに電気椅子も10アンペアで職務を
果たします」
ヘアドライヤーの例だけで充分恐ろしいのに。
サマーズが続けた。「電気はフランケンシュタイン博士の怪物みたいなものです。余談ですが
怪物は稲妻によって息を吹きこまれた。電気は愚かでもあり、素晴らしく賢くもあります。
愚かだという理由は、一つの欲求しか知らないからです。生まれた瞬間、まっすぐ地面に還り
たがるんですよ。賢いという理由は、地面に還る最良のルートを直感的に探し出すからです。
もっとも抵抗の少ない帰り道をちゃんと選択するんですよ。たとえ10万ボルトの送電線に
ぶら下がったとしても、電気にとって地面に還る一番楽な道筋が送電線経由だとすれば、
ぶら下がっているあなたが感電することはありません。しかし、あなたが地面に通じる
もっとも優れた伝導体である場合には・・・」サマーズは結果を言葉で説明する代わりに、
険しい顔して一つうなずいた。・・・(略)・・・』
ヘアドライヤーの10アンペアで百人殺せるとは恐ろしい・・・。
犯人とライムの頭脳戦もあり、どんでん返しありでとにかく、凄く恐くて面白い大満足の小説であった。
「残穢」。穢(けがれ)が残ることで、ざんえ、と読む。
『・・・略・・・日本には古来、「触穢(そくえ)」という考え方がある。穢れに触れると伝染
する、という考え方だ。「穢れ」とは忌避すべき対象をいう。
・・・略・・・死はある種の穢れを生むのかもしれない。特に強い無念を残し、怨みを伴う死
は「穢れ」となる。だが、それは本来、無制限に残るものではないし。無制限に感染するもの
でもない。穢れに触れる我々も、呪術的な防衛は行う。死者を供養し、土地を浄める。
だが、あまりにも強いためにそれでもなお残る何かがあるとしたら。
「浄よめられずに残る何か――」』
うーん、まあ半分くらいは面白かったかな。
内田康夫の二冊は、「バーニング・ワイヤー」が図書館に届くまで暇だから二冊も読んだけど、先に届いたら読んだかどうか。
ひとつの事件を視点だけ変えて二冊書いているのだが、よほどのファンでなければ一冊読めば充分なのではないだろうか。
「スケアクロウ」は、「ザ・ポエット」の新聞記者が主人公の本で、なんとなくどんどん面白くなりそうな予感がする。
→「読んだ本 2013年3月」の記事はこちら
今年の桜は早すぎて、どこで花見をしようかとノンビリと考えているうちに、わたしの都合のいい日と天候が折り合わずに残念ながら散ってしまった。
でもそれから十日ほど経って、四月中旬、満開の桜と伊香保で再会した。
思い切り曇っているので、ちょっと桜が映えないのが残念である。
広い牧場の隅にみつけた一本のミヤマツツジも、清楚に佇む着物の美人みたいである。
ひっそりと咲いているのだが惹きつけられずにはいられない魅力があった。
五月になるとすぐ躑躅が咲くが、GWを過ぎれば華やかに匂い立つ薔薇の季節になる。今年はどこかで観られるだろうか。
さて、今月に読んだ本ですが、4月は恥ずかしながらの5冊、累計で26冊です。
1.○残穢 小野不由美 新潮社
2.○萩殺人事件 内田康夫 光文社
3. ○汚れちまった道 内田康夫 祥伝社
4. ◎バーニング・ワイヤー ジェフリー・ディバー 文芸春秋
5. ○スケアクロウ (上) マイクル・コナリー 講談社文庫
まずは、「バーニング・ワイヤー」。
リンカーン・ライムシリーズの最新作だが、二重丸を二個あげたいくらいの傑作でとにかく面白かった。
高圧電力網や電線に流れる電気を使ったテロリストを、ライムやパートナーのアメリア・サックス達、いつものチームが追いつめていく話だ。
サックスが、電力会社のプロジェクト責任者サマーズに電気についてのレクチャーを受ける。
『・・・(略)・・・
「では、アンペア数の話に移りましょうか。アンペア数とは動いている電子の量です」
「はい」
「人を死なせるには、何アンペア必要だと思いますか。交流電流で100ミリアンペア。
それだけであなたの心臓は細動を起こす。あなたは死んでしまうんです。100ミリアンペア
は1アンペアのたったの十分の一ですよ。電気店で売っているごく一般的なヘアドライヤーは
10アンペア消費する」
「10アンペア?」サックスはかすれた声で訊き返した。
「そうです。ヘアドライヤー一つで。10アンペア。ちなみに電気椅子も10アンペアで職務を
果たします」
ヘアドライヤーの例だけで充分恐ろしいのに。
サマーズが続けた。「電気はフランケンシュタイン博士の怪物みたいなものです。余談ですが
怪物は稲妻によって息を吹きこまれた。電気は愚かでもあり、素晴らしく賢くもあります。
愚かだという理由は、一つの欲求しか知らないからです。生まれた瞬間、まっすぐ地面に還り
たがるんですよ。賢いという理由は、地面に還る最良のルートを直感的に探し出すからです。
もっとも抵抗の少ない帰り道をちゃんと選択するんですよ。たとえ10万ボルトの送電線に
ぶら下がったとしても、電気にとって地面に還る一番楽な道筋が送電線経由だとすれば、
ぶら下がっているあなたが感電することはありません。しかし、あなたが地面に通じる
もっとも優れた伝導体である場合には・・・」サマーズは結果を言葉で説明する代わりに、
険しい顔して一つうなずいた。・・・(略)・・・』
ヘアドライヤーの10アンペアで百人殺せるとは恐ろしい・・・。
犯人とライムの頭脳戦もあり、どんでん返しありでとにかく、凄く恐くて面白い大満足の小説であった。
「残穢」。穢(けがれ)が残ることで、ざんえ、と読む。
『・・・略・・・日本には古来、「触穢(そくえ)」という考え方がある。穢れに触れると伝染
する、という考え方だ。「穢れ」とは忌避すべき対象をいう。
・・・略・・・死はある種の穢れを生むのかもしれない。特に強い無念を残し、怨みを伴う死
は「穢れ」となる。だが、それは本来、無制限に残るものではないし。無制限に感染するもの
でもない。穢れに触れる我々も、呪術的な防衛は行う。死者を供養し、土地を浄める。
だが、あまりにも強いためにそれでもなお残る何かがあるとしたら。
「浄よめられずに残る何か――」』
うーん、まあ半分くらいは面白かったかな。
内田康夫の二冊は、「バーニング・ワイヤー」が図書館に届くまで暇だから二冊も読んだけど、先に届いたら読んだかどうか。
ひとつの事件を視点だけ変えて二冊書いているのだが、よほどのファンでなければ一冊読めば充分なのではないだろうか。
「スケアクロウ」は、「ザ・ポエット」の新聞記者が主人公の本で、なんとなくどんどん面白くなりそうな予感がする。
→「読んだ本 2013年3月」の記事はこちら
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます