温泉クンの旅日記

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草津よいとこ(1)

2013-04-28 | 温泉エッセイ
  <草津よいとこ(1)>

 年に、最低でも一度は草津温泉に行きたくなってしまう。



 江戸時代の寛政年間に初めて作られた「温泉番付」でも、東の最高位は草津温泉、西は有馬温泉である。もっとも当時の相撲番付では横綱がなかったので最高位は大関だが。
 それくらいの魅力と実力もある温泉だから、わたしが訪れるのも、ざっと二十回は超えているだろう。

 できれば老舗宿に、それも手頃な宿賃で泊りたい。
 時間をかけていろいろ調べて、格安のプランをみつけた。わたしが決めている二食付き宿賃の上限である一万二千円を、わずかに千円一枚ほど足すくらいの料金だが、夕食時に注文する酒を減らせば解決することだ。

 もうすぐ創業百年になる「草津ホテル」は、西の河原公園に近いところにある。



 湯畑から西の河原公園に続く細い路は、両側に土産物屋や商店が並ぶので観光客が多くて危ない。車も思うように進まずに、すれ違うのにも苦労する。だから近道を使うことにした。
 チェックインタイムの午後二時に、宿の急坂を登り、玄関前に車を乗りつける。



 せっかくの老舗宿に泊るのだから時間いっぱい滞在しよう、というセコイ魂胆である。

 部屋に案内され、とりあえずひと息いれるために、入れてくれたお茶で老舗「松むら」の温泉饅頭を美味しくいただく。
 仲居さんが襖を閉めて消えるやいなや、電光石火に浴衣に着替えて脱兎のごとく温泉に馳せ参じた。もういい歳の大人なのだが、温泉好きなのでここらへんは欲しかったおもちゃを買ってもらった子どもと恥ずかしながらまったく変わらない。

 内湯は二つあり、ぬるめの浴槽から入る。



 もちろん源泉掛け流しだ。湯が、湯畑を流れる湯のように白濁していないのは、西の河原の源泉を引いているからである。



 効能は強いのだが、女性や子どもにも優しい、柔らかな泉質である。だけど、ぬるめなのでわたしにはちょっとパンチ不足である。

 すぐに熱めの浴槽に移動する。



「うん、これだ、草津の湯は『これ』だって」
 誰もいないので、声にだして言ってしまう。

 外の露天風呂はちょっと狭いが、ひとりならば充分な広さだ。



 湯の熱さは好みの高めで、顔を拭うように風が冷気を運んでくれて、つい長湯をしてしまった。
 最後にもう一度、熱めの湯に軽くはいり、仕上げに掛け湯を何杯も浴びる。
 部屋に戻ると、温泉の強い効能のせいだろう、強烈な眠気に襲われた。ごろりと横になったらすぐにでも寝てしまいそうだ。
 眠気を振り払うために、浴衣を脱いで着替えると、湯畑まで散歩することにした。

 この湯畑の風景を、なんどみても飽きないのは温泉好きだからであろうか。



 この白濁した豊富に湧き溢れている温泉も、ジツに魅惑的である。



 次回には湯畑の湯を引いている宿に泊ってみようと、頭のなかのメモに書きつける。
 そろそろ、水割りを呑みたくなってきた。
 路で張っている強引な饅頭売りを、またも断固撥ねつけて宿に戻った。


   ― 続く ―


  →「番付」の記事はこちら

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