<博多・中州、掘りだしもん酒場>
(おっ! 「大衆酒場 酒一番」・・・か、なんかいい雰囲気の店じゃないか)
今夜は警固(けご)の辺で飲もうと思っていたのだが、入ってみるか。どちらかというと観光客目当てというより、もろに地元客御用達の店という感じである。あとで知るのだが昭和38年創業の老舗酒場だ。
博多の中州は、東京新宿の歌舞伎町、札幌すすきのと合わせて日本三大繁華街と称されている。高い店が多い中州だが、この親しみやすい感じの店ならそんなにボラレなさそうだ。
引き戸を開けると、熱気と喧騒に迎えられた。ドーンと長い逆L字型のカウンター席が並び、入口すぐ左にテーブル席がある。既に席は九割方埋まっている。
カウンターの空席に向かおうとすると、そこは予約席だそうで、入ってすぐ右にある二人掛けの卓を勧められた。席に坐りちらりと奥をみると、突き当りの階段から昇る二階席もあるようだ。どうやらこの店は女性だけで切り盛りしているようである。
ひとり客も多いようである。出張帰りかそれともこれから行くのか、新品のキャリーケースを脇に置いたサラリーマンがモツ鍋を肴に呑んでいた。
焼酎の水割りを頼むと、二合か一合かと量を訊かれたので一合と答える。運ばれてきた焼酎と2リットルの水ボトルで水割りをつくり、ひとり乾杯をしながらメニューを点検する。焼酎一合は360円となんとも嬉しくなる値段である。
とりあえず、茄子味噌炒めと山芋(290円)を頼む。
はた迷惑な大声で隣の若者に喋りかけている半白頭のオジサン客がカウンターにいた。常連客らしく女将ふうの女性が気にして「すみませんねえ、耳がよくないんですよ」と若者に謝っている。
このオジサンだが聴覚の不具合でで平衡感覚がおかしいのか、トイレに往復するたびにふらついて狙ったように女性客だけに触りまくっていた。
メニューを見ているうちに<バラ>を発見したので焼き鳥(80円)のバラと鳥身を二本ずつ注文した。
運ばれた焼き鳥はどちらかというと貧相で、嘘くさい美食家でも「見ただけで美味しいのがわかる」とはいわないだろう。
さにあらず、いい味なのである。焼き鳥もバラも絶品、絶妙の焼きと塩加減で脂ものって噛みしめると焦げの苦みも加わっていて問答無用、すこぶる美味だ。驚いた。
博多の飲兵衛はバラを十本とか二十本とか注文するというのが実感として納得する。機嫌がよくなり危険な濁り酒に切りかえてしまう。
バラをもう八本追加しようかな・・・それで博多人なみになるな。いや二本と熱燗の小一合(370円)にしとこう。若い女性ひとり客が、もつ鍋を持ち込みのミネラルウォーターで食べきると玉子焼きを追加して、横目で盗み見ていると旨そうなので真似して注文することにしたのだ。
色鮮やかな「めんたい玉子焼き(660円)」がきたので、熱燗の大二合(680円)を追加する。
食べきれるかなと心配したが杞憂だった。あえかに甘みのある玉子焼きがふっくらと抱きしめた、きりりと辛いめんたいこには得もいえぬ甘み・辛味・旨みが混ざりあって酒がすすむこと。
気がつけば、かなりの量を呑んでいた。
入口で断られる常連客も半端ないのでそろそろ切りあげることにした。
最後に、警固神社まえの路地でたしか「おいどん」とかいう居酒屋で締めた。
テーブルチャージ代わりのつまみは、焼き餃子380円が280円に割引(火曜割引)だったので、これ幸いとゴーヤおひたしとともに注文した。博多は餃子も旨いのである。
中州でのしたたかの痛飲のせいか、ホテルの部屋に辿り着くと、着替えもせずにベッドの上に倒れこむようにそのまま朝まで轟沈してしまった。
朝、一階のフロアに掲げられた額を見あげると、「やりたいことが見つからないなら まわりの人の夢を 応援することから始めればいい」と美しい字で書かれていた。
(オレにはまったくもって関係ないな・・・)
漸くのことに読めた情けない宿酔の頭でそう呟く、昨夜の二軒目で何杯呑んだかと餃子の味がまったく思いだせないわたしだった。
注)増税前の料金です
→「博多・天神、とびきり『鯛茶』」の記事はこちら
→「博多で餃子 福岡・大名」の記事はこちら
→「みやけうどん 博多・呉服町」の記事はこちら
(おっ! 「大衆酒場 酒一番」・・・か、なんかいい雰囲気の店じゃないか)
今夜は警固(けご)の辺で飲もうと思っていたのだが、入ってみるか。どちらかというと観光客目当てというより、もろに地元客御用達の店という感じである。あとで知るのだが昭和38年創業の老舗酒場だ。
博多の中州は、東京新宿の歌舞伎町、札幌すすきのと合わせて日本三大繁華街と称されている。高い店が多い中州だが、この親しみやすい感じの店ならそんなにボラレなさそうだ。
引き戸を開けると、熱気と喧騒に迎えられた。ドーンと長い逆L字型のカウンター席が並び、入口すぐ左にテーブル席がある。既に席は九割方埋まっている。
カウンターの空席に向かおうとすると、そこは予約席だそうで、入ってすぐ右にある二人掛けの卓を勧められた。席に坐りちらりと奥をみると、突き当りの階段から昇る二階席もあるようだ。どうやらこの店は女性だけで切り盛りしているようである。
ひとり客も多いようである。出張帰りかそれともこれから行くのか、新品のキャリーケースを脇に置いたサラリーマンがモツ鍋を肴に呑んでいた。
焼酎の水割りを頼むと、二合か一合かと量を訊かれたので一合と答える。運ばれてきた焼酎と2リットルの水ボトルで水割りをつくり、ひとり乾杯をしながらメニューを点検する。焼酎一合は360円となんとも嬉しくなる値段である。
とりあえず、茄子味噌炒めと山芋(290円)を頼む。
はた迷惑な大声で隣の若者に喋りかけている半白頭のオジサン客がカウンターにいた。常連客らしく女将ふうの女性が気にして「すみませんねえ、耳がよくないんですよ」と若者に謝っている。
このオジサンだが聴覚の不具合でで平衡感覚がおかしいのか、トイレに往復するたびにふらついて狙ったように女性客だけに触りまくっていた。
メニューを見ているうちに<バラ>を発見したので焼き鳥(80円)のバラと鳥身を二本ずつ注文した。
運ばれた焼き鳥はどちらかというと貧相で、嘘くさい美食家でも「見ただけで美味しいのがわかる」とはいわないだろう。
さにあらず、いい味なのである。焼き鳥もバラも絶品、絶妙の焼きと塩加減で脂ものって噛みしめると焦げの苦みも加わっていて問答無用、すこぶる美味だ。驚いた。
博多の飲兵衛はバラを十本とか二十本とか注文するというのが実感として納得する。機嫌がよくなり危険な濁り酒に切りかえてしまう。
バラをもう八本追加しようかな・・・それで博多人なみになるな。いや二本と熱燗の小一合(370円)にしとこう。若い女性ひとり客が、もつ鍋を持ち込みのミネラルウォーターで食べきると玉子焼きを追加して、横目で盗み見ていると旨そうなので真似して注文することにしたのだ。
色鮮やかな「めんたい玉子焼き(660円)」がきたので、熱燗の大二合(680円)を追加する。
食べきれるかなと心配したが杞憂だった。あえかに甘みのある玉子焼きがふっくらと抱きしめた、きりりと辛いめんたいこには得もいえぬ甘み・辛味・旨みが混ざりあって酒がすすむこと。
気がつけば、かなりの量を呑んでいた。
入口で断られる常連客も半端ないのでそろそろ切りあげることにした。
最後に、警固神社まえの路地でたしか「おいどん」とかいう居酒屋で締めた。
テーブルチャージ代わりのつまみは、焼き餃子380円が280円に割引(火曜割引)だったので、これ幸いとゴーヤおひたしとともに注文した。博多は餃子も旨いのである。
中州でのしたたかの痛飲のせいか、ホテルの部屋に辿り着くと、着替えもせずにベッドの上に倒れこむようにそのまま朝まで轟沈してしまった。
朝、一階のフロアに掲げられた額を見あげると、「やりたいことが見つからないなら まわりの人の夢を 応援することから始めればいい」と美しい字で書かれていた。
(オレにはまったくもって関係ないな・・・)
漸くのことに読めた情けない宿酔の頭でそう呟く、昨夜の二軒目で何杯呑んだかと餃子の味がまったく思いだせないわたしだった。
注)増税前の料金です
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