温泉クンの旅日記

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上州名物、焼きまんじゅう

2018-03-11 | 食べある記
  <上州名物、焼きまんじゅう>

 強力な願望実現パワースポットである「榛名神社」の参詣をすませて、参道の坂を降り始める。
 店先に行列をつくっていた焼きまんじゅうの店だが、いまは誰も並んでいない。



(ちょっとばかり腹が減ったな・・・)
 そうだ、焼きまんじゅうといえば、このあいだこんなことがあったっけか。

「群馬県って行ったことありますか?」
 わたしがとんだ旅狂い人間なのを知らない同僚女性に訊かれた。なにしろ旅ブロガ―なのを知っているのは、ほんの数名しかいないのだ。
「ん、何回かはね」
 自慢げに「群馬なんぞ百遍以上行っとるわい」と喉まで出かかったのをかろうじて止めた。
「だったら、焼きまんじゅうって食べましたか。群馬名物の」
 くそ。いつかは投げつけられる質問と覚悟していたが、やっぱりきたのね。しかあーも直球で。
「いや、それはない! 酒呑みだから甘いもの苦手だし・・・」
 そんなもの、あるわけなかろーが。
 温泉まんじゅうでさえたった一個で満足しちゃうのに、あんな銀座の老舗パン屋の餡パン(もちろん餡は入っていないので厚みがないが)みたいのを、ボンッボンッボンッボンッと四個もダーッと並べて串にさした甘そうなヤツ、誰が喰うか。腹が一杯になっちまうわ。
 にべもなく怒り気味にきっぱりと言い切られ、話の接ぎ穂をなくした同僚はそそくさと逃げるように去っていったのであった。



 嫌いな行列もないし、ここはいっちょ騙されたつもりで食べてみるか。
「一本ください!」
 あいよ、と一本焼き台に乗せる。



 両側をさっと炙るだけで渡すのかと思えば、そうではなかった。ジツに焼き名人なみの丁寧な仕事ぶりである。あちらで座って待っててという。
 片面を一分ちょっと、軽く焦げ目がつく程度に焼く。焼まんじゅうをこんがり焼いて甘辛い味噌ダレを塗りつけるのだ。決して焼きすぎない。弱火でじっくり焼くと固くなるらしい。冷えると風味を損なうので焼きまんじゅうはお土産にならない。それにしてもインパクトある大きさである。あの両棒(ぢゃんぼ)餅ならいったい何個分になるだろうか。

「お待ちどうさま!」
 熱々のを一本受取って、疑心暗鬼の態で、慎重に、小さめにかぶりついた。



 まるで焼き立ての軟らかで素敵なパンのような、ふわぁっふわな噛みごたえで、甘じょっぱくて、とにもかくにも香ばしい逸品だ。



 ははは。顔が勝手に微笑んでしまうくらい、こいつは、なんともはや「うまい」のひと言につきる。
 四個も喰えるかとか言ってしまったが、熱々大好きだから、あっと言う間に喰ってしまう。

 焼きまんじゅう・・・あんなのを喰ったら腹一杯になっちまうわい、とも言ったがなんと食欲増進、走りだしてすぐの眼についた食堂でカレーライスをペロリと平らげちまったのだった。





 もっと早く、上州焼きまんじゅう試せばよかったと、後悔しきりのわたしであった。



   →「榛名神社(1)」の記事はこちら
   →「榛名神社(2)」の記事はこちら
   →「両棒餅」の記事はこちら


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