軽井沢からの帰り道

　今回、軽井沢へは高速道路を使わずすべて一般道で行った。
　朝六時に出て午後三時に到着したので、約九時間運転しっぱなしであった。

　連休直前のすいている静かな避暑地で一泊ゆっくりした時間を堪能し、往復浮か
せる高速料金を転用してどこかでさてもう一泊、と思いあちこち電話したがさすが
に連休のためまったく宿がとれず、空いていても法外な高料金の部屋で、あきらめ
また一般道で横浜へ帰ることに。

　埼玉県にはいり16号を横浜方面に走り始めたところで、広大な雷雲につかまって
しまった。
　数秒ごとに空を引き裂く稲妻と轟く雷鳴、高速ワイパーも役に立たない豪雨。
突風がときおり巻き起こり、道路沿いの立ち木から豊かに茂った枝葉を無造作に
もぎとっている。

　事故をさけるため走行している車は次々とライトを点灯する。前がみえない。
　すさまじい雨をさばききれずに水溜りと化す国道。
　稲光と同時に落雷する轟音が重なりはじめたとおもったら、車の屋根にぼこぼこ
と音を立てて石ころが落ちてくる。ボンネットに踊っているのをよく見ると、ヒョ
ウだ。これには肝をつぶした。どこかに避難したのだろう、歩道には見渡す限り
誰もいない。

　大渋滞を起こした国道。隣の車をみると、不安そうな顔が窓ガラスごしにみえ
る。いろいろな悪条件でのドライブを経験しているが、雷雨にプラスしてのヒョウ
は生まれて初めてだ。
　もうしょうがない、覚悟をきめて楽しむか。そう思ったら、嘘のように晴れて
きた。
　このおかげで帰りは10時間以上かかってしまった。