温泉クンの旅日記

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読んだ本 2012年4月

2012-05-02 | 雑読録
  <読んだ本 2012年4月>

 なんだ、こりゃあ!
 思わず、「太陽にほえろ」の松田優作・殉職シーンの物真似が出てしまった。



 とんでもないラーメンである。
 コラーゲンとな名ばかりの、味のない、あえていうなら骨の味(どんな味だ?)のポタージュ。もしくは味のない、あえていうなら骨の味がするバリューム(胃の検査のときに飲むやつだ)。

 平目、生湯葉など美味しい肴で呑んで、最後のシメにラーメンと思ったのが、これかよ。
 目指した店は「麺や 福一」だったのだが、なぜか「鶏の骨」という暖簾がかかっていた。



 ひと口で、席を立って帰ろうかと思ったが、もしかしたら最後の冷酒のせいかも知れない。水で舌を洗い、おそるおそるもうひと口いってみたが同じだった。
 前のテーブルに置かれた「紅しょうが」を大量に口の中に投入し、もはやこれまでと席を立った。

「いやぁー、このラーメンって病み付きになるんだよね」
 そんなヤツいるんだろうか。とても友達にはしたくない。
 わたしはラーメン好きだが、ラーメン通では決してない。
 この店のふだんの「ごく普通」のラーメンを食べたかったのだが、土曜の夜のみ暖簾が変わり、このとんでもないラーメンになるのである。ついてない。

 思い切り話を変えよう。



「吉田類の酒場放浪記」のある日の締めの俳句で「白菜や ばっさり恋の 後始末」というのが妙に頭に残っていて、呑んだ席でそれを言うと、鹿児島大好きな友人が「桜島 どかんと恋の 後始末」とすかさずパクってみせた。
 なかなかの出来で妙にわたしは感心してしまった。

 さて、読んだ本ですが、4月は7冊、今年の累計で28冊です。4月は一年で一番わたしが忙しい月であり、身内に不幸もあってバタバタしたわりにはまあまあ読めたと思う。

1.○親鸞 激動編 (上)        五木寛之 講談社
2.○親鸞 激動編 (下)        五木寛之 講談社
3. △スイングアウト・ブラザース     石田衣良 光文社
4. ○日本以外全部沈没          筒井康隆 角川文庫
5. ○ショージ君のALWAYS         東海林貞夫 集英社
6. ◎ねじまき鳥クロニクル 第1部 泥棒かささぎ編  村上春樹 新潮文庫
7. ○ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編   村上春樹 新潮文庫

 親鸞の続編の2冊。最初の二冊が面白かったので、」期待しすぎてがっかり。
 スイングアウト・ブラザースも待たされたわりにぜんぜん面白くなかった。

 村上春樹はだんだんわたしにぴったりと嵌まってきたような気がする。この作家、純文学とハード・ボイルドとSFが合体しているように思えてならない。

 怒鳴りたい、殴りつけたいほどの怒りを堪えて、主人公が変わった怒りかたをする。

  『「下品な嶋の猿の話を知ってますか?」と僕は綿谷ノボルに向かって言った。
   綿谷ノボルは興味無さそうに首を振った。「知らないね」
   「どこかずっと遠くに、下品な島があるんです。名前はありません。名前を
   つけるほどの島ではないからです。とても下品なかたちをした下品な島です。
   そこには下品なかたちをした椰子の木がはえています。そしてその椰子の木は
   下品な匂いのする椰子の実をつけるんです。でもそこには下品な猿が住んで
   いて、その下品な匂いがする椰子の実を好んでたべます。そして下品な糞を
   するんです。その糞は地面に落ちて、下品な土壌を育て、その土壌に生えた
   下品な椰子の木をもっと下品にするんです。そういう循環なんですね」
   僕はコーヒーを飲んだ。
  「僕はあなたを見ていて、その下品な島の話をふと思いだしたんです。」と僕は
   綿谷ノボルに言った。「僕の言いたいのはこういうことなんです。ある種の
   下品さは、ある種の淀みは、ある種の暗部は、それ自体の力で、それ自体の
   サイクルでどんどん増殖していく。そいてあるポイントを過ぎると、それを
   止めることは誰にもできなくなってしまう。たとえ、当事者が止めたいと
   思ってもです」


 なんとも屈折した怒りの表現だ。

 叔父さんが悩む主人公に言う。

  『「それをうまくやるためのコツみたいなのはちゃんとあるんだ。そのコツを
   知らないから、世の中の大抵の人間は間違った決断をすることになる。そして
   失敗したあとであれこれ愚痴を言ったり、あるいは他人のせいにしたりする。
   俺はそんな例を嫌というくらい見てきたし、正直に言ってそういうのを見るの
   はあまり好きじゃない。だからあえてこういう偉そうな話をするわけだけど、
   コツというのはね、まずあまり重要じゃないところから片づけていくことなん
   だよ。つまりAからZまで順番をつけようと思ったら、Aから始めるじゃなく
   て、XYZのあたりから始めていくんだよ。お前はものごとがあまりにも複雑に
   絡み合っていて手がつけられないと言う。でもそれはね、いちばん上からもの
   ごとを解決していこうとしているからじゃないかな。何か大事なことを決め
   ようと思ったときはね、まず最初はどうでもいいようなところから始めた方が
   いい。誰が見てもわかる、誰が考えてもわかる本当に馬鹿みたいなところから
   始めるんだ。そしてその馬鹿みたいなところにたっぷりと時間をかけるんだ。
   ・・・・」』

 この言葉、なんとも説得力があるなと感じる。



 →「読んだ本 2012年3月」の記事はこちら
 →「成田のヒラメ」の記事はこちら

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