温泉クンの旅日記

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読んだ本 2018年3月

2018-04-01 | 雑読録
  <読んだ本 2018年3月>

 急に思い立ち、九年ぶりの去年十月から再読を始めた「真田太平記」全十二巻もついに二度目の完読を終え、ようやく軛(くびき)から解き放たれた。

 いったんここで時代小説から離れ、気分を一新しようと脚本を読むことにした。
 小説と違って脚本は慣れてないとかなり読みづらい。上巻の予約者数に比べて、中巻と下巻のそれは激減する。



「やすらぎの郷(さと)」は倉本聰が<大人のための帯ドラマ>として書かれた脚本である。
 残念ながら真昼の時間の帯ドラマだからわたしも観た機会は数度しかなく、脚本を読むのを楽しみにしていたのだ。

 昭和世代にテレビの世界で活躍した俳優や、歌手、ミュージシャン、脚本家など選ばれたひとだけが入居できる老人ホーム「やすらぎの郷 La Strada」の話である。
 認知症の妻を看取って半年、ようやく心の整理がついた主役の脚本家「北村栄=石坂浩二」はかねてからの誘いを受けやすらぎの郷に入居する。



 そんな菊村に、郷の住民である往年の大女優役の八千草薫、浅岡ルリ子、有馬稲子、野際陽子、加賀まりこらや、一世を風靡した男優たちが絡み、シニアが直面するテーマを描いていく。
 主人公である菊村栄の短いナレーションのなかの、「“人生はアップで見れば悲劇だが、ロングショットでは喜劇である”と、チャーリー・チャップリンが云っている。(略)」というのがなんとなく心に残った。



 一年経つのは早い。今年も桜が咲いた。
(ああ、この桜をあと何回見られるのだろう・・・)
 遠い目をして、そう秘かに嘆息するのは、決して「やすらぎの郷」の住人やわたしばかりではないだろう。

 続編として、2019年4月からは「やすらぎの刻~道」という新作帯ドラマが放送されるとのことである。

 さて、3月に読んだ本ですが、久しぶりにまずまずの6冊でした。累計で13冊です。

 1. ○真田太平記 (12)雲の峰     池波正太郎 新潮文庫
 2. ○やすらぎの郷 上 第1話~第45話  倉本聰  双葉社
 3. ○やすらぎの郷 中 第46話~第90話  倉本聰  双葉社
 4. ○やすらぎの郷 下 第91話~第130話 倉本聰  双葉社
 5. ○温泉旅行記   嵐山光三郎 ちくま文庫
 6. ○玉ねぎフライパン大作戦   椎名誠  角川書店


 マヤ(=加賀まりこ)はいう。
 もしも明日もう死ぬときになって最後の手紙を書いて出そうとそう思ったときに、出す相手が思いつかない。栄ちゃん(主人公=石坂浩二)、誰かいる?



       N・・・ナレーション=主人公「菊村栄(=石坂浩二)」

  『◆
          キラキラと光っている。
          一人座って、波打際を見つめている栄。
    N  「人生最後の、誰かに宛てた手紙。
        それを書くなら誰に書きたいのか」
          間。
    N  「遺言でもなく、己れの後始末のことでもなく」
          間。
    N  「説教めいたことを云うのでもなく、
        先輩ぶったことを云うのでもなく」
          潮騒。
    N  「ただ愛するものに自分のことを。
        自分が如何にその人に助けられ、その人の
        存在で人生を全う出来、その人あって自分
        は生きられたかという。
        ――結局それは自分にとっての、最後にし
        て究極の愛の手紙になるのか。
        そういう手紙をさしだす相手が、自分にとっ
        て果たして今いるのか」
          間。
    N  「マヤが云ったようにその相手がいないのな
        ら。
        見つからないのなら余りに淋しい」
          潮騒。
    N  「その淋しさは突然私を、針のような孤独で
        凍りつかせた」』

          倉本聰著「やすらぎの郷 中巻 第69話」より

 あらら、どうにもブルーな気分になりそうなので、お口直しにもうひとつ。



  『女という生きものは、何事につけても、
  「よいことのみ・・・・・・」
   を、おもっている。
   先の見通しなどは、ほとんどもたぬ。
   すべての女が、そうだというのではない。
   しかし、それが女の本性なのだ。
   たとえ、それが真実であっても、
  「悪しきこと・・・・・・」
   には、強いて目をつぶろうとする。
   すべての物事を、
  「よいように、よくなるように・・・・・・」
   と、おもいつめる。幻想を抱く。
   それがまた、女のよさでもあり、物事をわきまえぬ強さなのでもあろう。』


      「真田太平記 第十一巻・大坂夏の陣」より

 さすがは池波先生、経験からなのか、女というものを喝破してらっしゃる。わたしなどには女性は摩訶不思議としかいえませんです。ハイ。
 

   →「読んだ本 2018年2月」の記事はこちら


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