<山形、冷やしラーメン>
山形市の繁華街というと山形駅あたりではなく、七日町界隈が繁華街となるそうだ。
表通りにはデパート、裏通りには屋台村などがあったりする一帯だ。
その七日町に隣接した本町に、冷やしラーメン発祥の店「栄屋本店」がある。
たしか開店時間ちょっと前のはずだが客が入っていく。暖簾もかかっているので営業しているようだ。
入ると客がいっぱいいて、空いているテーブル席はふたつだけである。入り口に近いテーブルに座って、もちろん迷わず冷やしラーメンを注文した。
北海道では冷やし中華のことをなぜか「冷やしラーメン」というの知らず、すっかりわたしは勘違いして注文し運ばれた品物をみて愕然としたのだが、ようやっと本物を食べられるのだ。
食べている客が、見える範囲で誰もいないのでかなりの待ち時間を覚悟する。
無聊の時間を潰そうと、メニューをぱらぱらとめくる。
まず、冷やしの中華麺の多さにびっくりする。ワンタン麺、チャーシュー麺、たぬき、薬善、激辛など、ざっと十二、三種類ある。
ワンタンメンなどはいったいどうやって冷たくするのだろうか。熱いワンタンでは合わないだろうし、あらかじめ茹でたワンタンを冷やしておくのか。
温かい中華麺はそのまた倍近く種類があった。蕎麦、うどん類、丼もの、普通の蕎麦屋メニューも豊富である。
やがて空いているテーブル席は相席も含めてすべて埋まり、奥の座敷にも客が送り込まれて満員になり、店の前に行列ができ始めた。
「お待ちどうさまでした」、冷やしラーメンの登場である。
湯気があがっていないだけで、景色は普通のラーメン。氷が浮かびカマボコと胡瓜が載っているのがまず眼をひく。
まずは、スープからいってみる。
きりりと冷たいが、固まらずほどよく混ざった脂も邪魔をしないあっさるした醤油味である。スープには鰹と昆布の出汁をメインに使用しているというが、和牛の煮汁も少量入っているかもしれない。醤油は酸味が少なく雑味がない、山形の醤油屋「マルセイ醤油」のを使っている。
麺は太めのストレート、冷たくしめられているが腰もあり喉越しもいい。不思議とスープも絡む。さすが山形、麺の量はたっぷりだ。
スープ、麺、具の三つが、冷たさのなかで絶妙に調和がとれており、三つすべてが適温に冷やされているので氷もなかなか融けない。
ぱりっとした胡瓜、しゃきしゃきのモヤシ、メンマもぴったりと調和をこわさず、脂肪の少ない和牛の腿を使ったチャーシューにいたっては、いつも残してしまうわたしも残さず食べられた。
「夏には冷たい蕎麦を食べるのだから、ラーメンも冷たいのが食べたい」
そんな常連客の言葉がきっかけで一年かけて研究開発したというから、まあ凄い店主だ。冷やし中華でいいじゃんかと、わたしなんかは思ってしまう。
いまではこの冷やしラーメン、山形県の郷土料理までになってしまったのだから、たいしたものだ。
東京でも真似して冷やしラーメンをだしている店もあり、食べてもみたのだが、「なーんちゃって」レベルの、まったく似て非なるものであることが今日元祖を食べてわかった。
アンサンブルの演奏のなかに、なにか調律されていない音が紛れ込んでいるように不調和なのである。
→「夕張メロン、あーんど・冷やしラーメン」の記事はこちら
山形市の繁華街というと山形駅あたりではなく、七日町界隈が繁華街となるそうだ。
表通りにはデパート、裏通りには屋台村などがあったりする一帯だ。
その七日町に隣接した本町に、冷やしラーメン発祥の店「栄屋本店」がある。
たしか開店時間ちょっと前のはずだが客が入っていく。暖簾もかかっているので営業しているようだ。
入ると客がいっぱいいて、空いているテーブル席はふたつだけである。入り口に近いテーブルに座って、もちろん迷わず冷やしラーメンを注文した。
北海道では冷やし中華のことをなぜか「冷やしラーメン」というの知らず、すっかりわたしは勘違いして注文し運ばれた品物をみて愕然としたのだが、ようやっと本物を食べられるのだ。
食べている客が、見える範囲で誰もいないのでかなりの待ち時間を覚悟する。
無聊の時間を潰そうと、メニューをぱらぱらとめくる。
まず、冷やしの中華麺の多さにびっくりする。ワンタン麺、チャーシュー麺、たぬき、薬善、激辛など、ざっと十二、三種類ある。
ワンタンメンなどはいったいどうやって冷たくするのだろうか。熱いワンタンでは合わないだろうし、あらかじめ茹でたワンタンを冷やしておくのか。
温かい中華麺はそのまた倍近く種類があった。蕎麦、うどん類、丼もの、普通の蕎麦屋メニューも豊富である。
やがて空いているテーブル席は相席も含めてすべて埋まり、奥の座敷にも客が送り込まれて満員になり、店の前に行列ができ始めた。
「お待ちどうさまでした」、冷やしラーメンの登場である。
湯気があがっていないだけで、景色は普通のラーメン。氷が浮かびカマボコと胡瓜が載っているのがまず眼をひく。
まずは、スープからいってみる。
きりりと冷たいが、固まらずほどよく混ざった脂も邪魔をしないあっさるした醤油味である。スープには鰹と昆布の出汁をメインに使用しているというが、和牛の煮汁も少量入っているかもしれない。醤油は酸味が少なく雑味がない、山形の醤油屋「マルセイ醤油」のを使っている。
麺は太めのストレート、冷たくしめられているが腰もあり喉越しもいい。不思議とスープも絡む。さすが山形、麺の量はたっぷりだ。
スープ、麺、具の三つが、冷たさのなかで絶妙に調和がとれており、三つすべてが適温に冷やされているので氷もなかなか融けない。
ぱりっとした胡瓜、しゃきしゃきのモヤシ、メンマもぴったりと調和をこわさず、脂肪の少ない和牛の腿を使ったチャーシューにいたっては、いつも残してしまうわたしも残さず食べられた。
「夏には冷たい蕎麦を食べるのだから、ラーメンも冷たいのが食べたい」
そんな常連客の言葉がきっかけで一年かけて研究開発したというから、まあ凄い店主だ。冷やし中華でいいじゃんかと、わたしなんかは思ってしまう。
いまではこの冷やしラーメン、山形県の郷土料理までになってしまったのだから、たいしたものだ。
東京でも真似して冷やしラーメンをだしている店もあり、食べてもみたのだが、「なーんちゃって」レベルの、まったく似て非なるものであることが今日元祖を食べてわかった。
アンサンブルの演奏のなかに、なにか調律されていない音が紛れ込んでいるように不調和なのである。
→「夕張メロン、あーんど・冷やしラーメン」の記事はこちら
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