温泉クンの旅日記

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続・三朝温泉(2)

2012-11-07 | 温泉エッセイ
  <砂丘と温泉(2)>

 受取った鍵の番号の部屋も、入ってみるとけっこう広い。
 川に面しており悪くない部屋である。うーむ。ますます、不安が広がる。
(まあ、夕食の内容をみればだいたいの宿賃は想像つくだろう・・・て)

 宿賃の心配はさておき、とりあえず着替えてひと風呂浴びる。
 まずは内湯の大浴場「白狼の湯」。



 次いで露天にたっぷり浸かり、飲泉もする。

 三朝の湯は世界一のラジウム泉で、放出される弱い放射線により新陳代謝が活発になり、免疫力・自然治癒力を高めてくれるありがたい温泉だ。飲めば抗酸化機能が高まり、老化や生活習慣病の予防にもなるという。
 病気のための湯治をするのに、東日本では秋田の玉川温泉が有名だが、西日本ではやっぱり三朝温泉だろう。玉川温泉の客は健常者はまずいなくてほとんどが病人が多いが、この三朝は観光客も多いので雰囲気はとても明るい。

 部屋に戻って、いつものように持ち込みの焼酎を水で割ってチビチビ呑み始める。
 さて夕食の時間になった。



 夕食にはなんと蟹もついて、いよいよ宿賃に危険信号が点った。まあええわい、なんとかなるだろうと、ここらで開き直ることにした。


 
 食後にもういちど温泉に入ってから、夜の温泉街をぶらついたのだが、高野豆腐をつかった彫刻を展示しているギャラリーにはちょっと驚いた。





 どういうふうな技を使ったのか、どの作品もなんとも精巧なものであった。

 この宿の温泉だが、いくつもあって楽しめる。
 白狼の湯以外にも、豆狸の湯、さくらの湯と内湯の大浴場が全部で三つあり、時間により男女が入れ替わる。



 別料金を払えば、貸切風呂も三つあるようだ。
 内湯もいいのだが、開放的な露天の「かじかの湯」が一番気にいって何度も入ってしまった。



 翌朝、朝食をすませてお茶を飲みながら、パラパラと卓に置いてある宿の案内みたいのをみていると、「三朝温泉に魅せられた人たち」のなかの「夢千代日記のモデル」という記事に眼をひかれた。

『昭和三十年頃、小染さんという芸者がいました。彼女は広島の山間部から三朝へ来、踊りが上手でしたが、いつも夢みたいなことを話すので仲間から「夢ちゃん」と呼ばれていました。ある日お客にドライブに誘われ、瀬戸内海を見たときのこと「アレはアメリカですか」と島を指して言ったそうです。その世間を知らないウブなところに、その男性はコロリと参り、身請けをされたということです。



 その「夢ちゃん」からイメージをふくらませ、脚本家早坂暁氏が三朝で滞在中に創作したのが「夢千代日記」なのです。最初は三朝温泉を舞台にテレビドラマ化する予定でしたが、モデルとなった人達が各々特定されるおそれがあるということで湯村温泉が舞台になりました』

 えっ、そうなんだ。夢千代日記の脚本はすべて読んでいるのだが、夢千代のモデルが三朝温泉にいたとは・・・これは知らなかった。もっとも前書きとか後書きを読む習慣がまったくないので、そこらあたりに書いてあったのかも知れない。

 チェックアウトでの精算するとき、宿賃は記憶通りのものだった。すばらしい。わたしの三朝温泉の宿はここで決まりだ。


  →「続・三朝温泉(1)」の記事はこちら
   →「湯村温泉(1)」の記事はこちら
   →「湯村温泉(2)」の記事はこちら

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