温泉クンの旅日記

温泉巡り好き、旅好き、堂社物詣好き、物見遊山好き、老舗酒場好き、食べ歩き好き、読書好き・・・ROMでけっこうご覧あれ!

柏倉温泉、桜花爛漫の宿(3)

2017-05-03 | 温泉エッセイ
  <柏倉温泉、桜花爛漫の宿(3)>

 夕食は、わたしの大の苦手である部屋食だ。

 恥ずかしながら性格の中心の、大黒柱みたいな部分にたっぷりネコが入っているわたしは、好きなものから食べるという、生意気で小癪な<我がまま喰い>なのである。
 酒呑みなので、夕食は食事より酒を優先させたいのもある。だから、嫌いなものを残してさっさと席を立てる食事処での夕食が理想的なのだ。

 時間になって、台車でゴトゴトと膳が運ばれ炬燵の上の卓にセットされた。この宿は自前の農園を持っていて、そこから食材を調達しているとのことだ。



 台の物は栃木県産桜山豚、日光湯葉、野菜陶板焼きである。
 前菜は、ほっき貝のサラダ、胡麻豆腐、チーズ揚げ、子持昆布、鰯香梅煮。
 食前酒の自家製果実酒は甘そうなので、冷蔵庫の日本酒をとりだしてスタートすることにした。



 海の無い栃木なのに鮪、牡丹海老、ホタテ、生湯葉のお造りがどれも活きが良く、美味しくて酒がすすむ。あとから思うにこいつだけは完食したのが皮肉である。



 凌ぎのそばがき饅頭をひと口食べて、上山で食べた極上そばがきとつい比べてしまって残してしまう。<相棒>の杉下右京のセリフじゃないが「ぼくの悪い癖」。
 焼物は、一番楽しみにしていた鉄板ステーキ・・・。残念ながらこれも半分残し。



 そろそろのタイミングだな・・・。
「ジツは、チェックインする直前の三時頃に遅めの昼食をしっかり食べてしまったので・・・」
 出入りするたびに食事の進み具合をチェックしたり、皿を下げようか迷っている仲居さんに言い訳をする。
 これは嘘でない。まったく事実なので説得力があり、そうでしたかと愁眉を開いた彼女に半分食べた料理皿を下げてもらう。きっと調理人にも伝わることだろう。酒優先のわたしだから、部屋食のときは面倒だがこの言い訳が必要になる。そういえば二日市温泉でも同じように困ったことがあったことを唐突に思いだす。

 揚物は舞茸と筍の炙り、かじかの唐揚げ、せりの天ぷら。 



 食事の手打ちそばと、最後の水菓子は柚子ジャムがのった自家製プリンとプチケーキ。





 手打ちそばを食べきったところで、入ってきた仲居さんに水菓子だけ残して片づけるように頼み、大浴場に向かった。

 部屋に戻ると、ラップされた水菓子の横に黒い木箱が置いてあった。どうやら夜食らしい。開けてみると、お稲荷さんが入っている。



 甘さを控えた夜食の稲荷は、かなり嬉しいサプライズであった。料理より酒優先なのになぜかご飯大好きという、ややこしいわたしには食事が蕎麦だったのでがっかりしていたのだ。
 

  ― 続く ―


   →「柏倉温泉、桜花爛漫の宿(1)」の記事はこちら
   →「柏倉温泉、桜花爛漫の宿(2)」の記事はこちら
   →「上山名物、原口蕎麦」の記事はこちら
   →「二日市温泉」の記事はこちら



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 読んだ本 2017年4月 | トップ | MOA美術館(2) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

温泉エッセイ」カテゴリの最新記事