小樽のパパの子育て日記

日々のできごとを徒然なるままに2006年から書いて19年目になりました。
ヤプログから2019年9月に引越し。

たあ子さんの小さいころのこと その②

2012-02-12 10:38:10 | インポート
海はひろいな~、大きいな~♪
月は上るし~、日は沈む~♬

海をみたことがないたあ子さんはこのうたが信じられません。
たあ子さんは山に囲まれて育ちました。
月は山のかげから出てくるし、お日さまも東の山の向こうから出てくるのです。

13歳になったとき、水戸の大洗海岸にいって、はじめて海を見ました。
広い広い海がたえず大きなうねりをおこしていて、岩にぶつかっては大きな音と
白い波しぶきをあげています。
砂浜に打ち寄せる波はしゅるしゅるしゅるとはいあがってきたかと思うと、
すーっと戻っていくのをくりかえします。

「海水ってしょっぱいってホントかな?」
さわろうとするとくつがぬれそうで逃げます。
やっとのことで打ち寄せる海水に3本の指がさわったのでなめてみました。
「本当だ、しょっぱいね」
友だちも指をなめて、いっしょに大笑いしたのです。

おしまい




たあ子さんの小さいころのこと その①

2012-02-12 10:25:56 | インポート
たあ子さんのお父さんは今夜は山小屋に泊まることになりました。
「たあ子、夕ごはんとあしたの朝ごはんをお父さんにとどけてあげてね」
とお母さんがべんとう箱の入ったふろしきつつみをわたしたのです。

夕日もしずんでしまってあたりはだんだんと暗くなってきました。
お父さんもおなかがすいていると思うので、いそいで歩くのですが、
なかなかお父さんの山小屋へはつきません。

とつぜんバサッと音がして鳥が飛び立ちました。
おどろいて両うでで弁当をかかえ、ひっしで急ぎました。
木の間から紫色の空がチラっと見えるだけ。
自分の足音だけがガサガサと森の中にひびいていくのです。

だんだん心細くなって後ろからだれかがおそってきはしないかとふり返るのもこわくなってきました。
「お父さん、お母さん、お父さん、お母さん」と右足左足のたびにじゅもんのように声に出し
その声は速くなり、やがて走りだしていました。

どれくらいたったのか、道の向こうにお父さんのかげがみえたのです。
「お父さ~ん」と倒れこむようにしてだきついたら「わーん、わーん」と泣いてしまいました。
お父さんはけむりのにおいがしました。

おしまい