夜噺骨董談義

収集品、自分で作ったもの、見せていただいた品々などを題材に感想談など

潮風 酒井三良筆 その19

2025-03-12 00:01:00 | 掛け軸
茶室の前の縁側は普段は洗濯物干し場となっており、放っておくと細かな埃でいっぱい・・・・。見かねて先日の休日には掃除しました。



春めいた陽気となり、縁側は温かくなりました。



竹材で作ってありブラインドがそれなりの演出をしてくれています。



さて、本日の作品紹介は酒井三良の作品です。当方で初めて酒井三良の作品に接したのは叔父の自宅でした。当時は酒井三良という画家を知らなったので、叔父にそういうと寂しそうな顔をされたのを今でも覚えています。不勉強な小生であった頃の今では懐かしい思い出です。


酒井三良の多くの作品を叔父は所蔵していましたが、今では子息らがすべて散逸してしまいましたが、当方ではその後、酒井三良の作品は機会あるごとに購入しています。同じ東北人ということもありますが、やはり叔父の影響が強いのでしょうね。



潮風 酒井三良筆 その19
紙本水墨淡彩軸装 軸先象牙 共箱二重箱 
P10号程度 全体サイズ:横740*縦1345 画サイズ:横535*縦398



酒井三良:生年明治30(1897)年2月16日~没年昭和44(1969)年6月8日 享年71才。

出生地福島県大沼郡三島街 名は三郎。別号に梧水 別名=酒井 三良子(サカイ サンリョウシ)



福島県にて1897年に生まれた酒井三良は、画家修行としてはじめは坂内青嵐に絵の手ほどきを受けることになりますが、結果的に自らの求める画風との違いを感じてしまい、会津に住み込み独学で絵画を描き続けることになります。





大正10年、小川芋銭を知り、その勧めで院展に出品し認められます。10年第8回院展で「災神を焼く残雪の夜」が入選。大正13年日本美術院同人となりますが、住居を様々な場所へ移し、決して豊かと言えない生活を妻と一人娘を引き連れて過ごします。



昭和21年、横山大観の勧めで茨城県五浦の大観別荘に移り、昭和29年、東京都杉並久我山に転居するまで暮らすことになります。



戦後、生活も徐々に安定していく酒井三良は自然と親しんでいた経験を元に、日本の風景や四季を愛しその風景を中心に描きます。自然に包まれながら生きる人々を素朴な筆致で詩情豊かに描いた画風で知られています。その淡く白みを基調とした作品はどこか繊細であり、緻密な表現力で描かれる日本人の琴線に触れるような作風が特徴です。



風景画に優れた作品を残したが、代表作「かまくら」はじめ農村の生活や自然を詩情豊かに描いきました。雪景や田園風景を描いた作品は生まれ故郷の福島の風土への回想が基底にあります。また戦後住んだ茨城の海浜風景や水郷をテーマにした水墨作品も多くあります。



*本作品も戦後住んだ茨城の海浜風景を描いた作品ではないかと推定しています。

**本ブログで数多くの作品を投稿している福田豊四郎と同様に故郷を好んで描いたという点で相通じるものがあります。

 

本作品は三越からの購入のようです。叔父の所蔵作品にも三越から入手した作品が幾点かありました。



今では数万円で入手できる酒井三良の作品ですので、郷里の思い出と重なりあう方にはもってこいの画家の作品かもしれません。

















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